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289.ダナ最強説。

「……何事です?」


 お茶の用意をしに行っていたダナが戻ってきて首を傾げました。


「あ、仕事に戻りますっ!」


 ぱーっと蜘蛛の子を散らす様に厩番や騎士達がいなくなった。

 …………ダナの顔を見て。


 エルと顔を合わせ、エルは何も言うなと言う感じで小さく首を横に降る。

 ダナ最強説……なのでは? そういえばエルにも平気で怒ったりしてるよね。

 私の為って分かっているけど。何故そんなに忠実かな!? 別にそんなにされるような事していないと思うんだけど……。


「マハルナ、反応がよかった」

「ありがとうございます!」


 エルが批評をしだしました。マハルナはエルに褒められて嬉しそうにしながらナイフを戻し定位置のドア前に移動しました。


「それに比べて騎士達は……」


 騎士達に視線を向けると騎士達はしゅんとしていました。


「館内でも油断するなと言ってあるはずだが? まだ分かっていないようだな? 館内の使用人相手だとしても油断するな。もし使用人に不審人物が混じっていたらどうする? もしくは侍女長の例がある。万が一誰かが唆されていたら? ディアの近辺にいる者は信用しているし唆されるような者でないと信じてはいる、が、護衛としては力不足がすぎるな」


 うぐっと騎士達が凹んでいます。

 仕方ない所もあるよねぇ。エルは銀級冒険者、マハルナは王宮に務めるザハールカの中で修行してきたわけで。それに比べツィブルカなんて領主は来ないし、いたのは我儘娘だけで、仕切っていたのはずっと問題ありの侍女長だったんだもの。

 むしろあの侍女長の下で、領主に振り向かれない領地の中よく腐らなかったなーと褒めたいよ。


「私からしたら騎士達も使用人達も皆がんばっていると思うよー? 王宮とかに比べたらそりゃ落ちるかもしれないけど、領主も来ない廃れた田舎領地で腐った警備隊とか侍女長が闊歩していた中、腐っていなくてこうしてがんばっているんだから」


「…………ふむ」


 なるほど、とエルが頷き騎士達はお嬢様っ! と感激したような声を上げていた。


「確かにディアの言う通りだな。意識から変えないとダメという事だな」


 騎士達がうひーー! というような表情になっている。どうしたのかな? 朝の訓練とか、結構きつめなのかな? 騎士団や警護とか軍関係はエルにお任せ状態なので全然分からないよね。しかしなんでもエルを頼りにしちゃっているんだけどいいんですかね?


「がんばってー。あ、そうだ。侍女をもう一人増やしたいんだー。テオドルに相談かな?」

「…………私では、私とマハルナだけでは行き届いておりませんか……?」


 ダナとマハルナがショックを受けた様な顔になった。顔色もざっと蒼くなっている。


「違う違う! もうー! ダナとマハルナにお休みをあげなきゃないじゃない? 休みの日にはパティスリーでお茶しながらケーキとか、買い物とか、色々楽しんでほしいんだよね。それにはやっぱりお休みを作らないといけないし! 今のままじゃお休み全然ないんだもの。だから。ダナ、マハルナ、よさそうな子いる?」


 ダナとマハルナの二人と仲いい子がいいよねぇ。

 ダナとマハルナは顔を合わせた。


「私達の為……?」

「そうだよー。ずーーーっと! お休みなしなんだもん。ブラック企業にはしませんよ!」

「ぶら……?」


「ディア」


 エルから注意が飛んできました。はい、すみません。


「それなら……オルガはいかがでしょうか? 無口ですがとても気が利きますし……あの、それはよろしいのですが、あの……そちらにいらっしゃる……」


 ダナがテーブルでわちゃわちゃしている眷属様とセンに視線を向けた。


「あ、センだよー」

「…………エル様の……? ……ペガス、の?」

「そう。小さくなれるんだってー」


 ダナが固まった。そして虚空を睨み目を閉じる。

 ……飲み込めたかな?


「承知いたしました」


 にこりと笑みを浮かべて通常に戻るダナがすごいね。なんか……想定外の事でもすんなり受け入れてくれているよ。


「夜はノア様達とご一緒にお嬢様の寝台でしょうか?」

「いやいや、センはエルと一緒がいいでしょ」

「……そうですか」


 ダナが残念そうだ。

 毎朝子青ヘビちゃん以外の眷属様達のブラッシングはダナが一手に引き受けているんだけど小さいセンのブラッシングもしたかったのか……。


「侍女を増やす……休み……。……そういえばそろそろデニスから許可が出そうなんだよな? 店の開店にはディアも行きたいだろう?」

「はい! 行きたいですっ!」


「ずっとディアを閉じ込めておくのも無理があるしな……一応人の出入りは多くはなっているが不審者は今の所入ってきてもいないようだしいいだろう」

「不審者が入ってきていない?」


「ああ」


 ああ、って何で分かるわけ? 私が首を傾げるとエルが苦笑を漏らした。


「街やギルドに周知してあって情報が入ってくるようにしてあると言っただろう?」

「……聞いたね」


 え? それって今もずっとなの!? 暫定的にじゃなくてずっとなの!?


「宿屋の親父は前に泊めたヤツの顔も覚えているらしいし、ギルドでも裏がありそうな奴の気配に聡い者がいたりするからな」


 な、なるほど……。ただ単に不審者って言うわけではないんだ?

 ……ホント私よりもエルの方が領都の情報を豊富に持ってるよね!?



 

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