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23.家令から話を聞きましょう。前編

 家令と侍女長から話を聞くので、今日はサロンではなく三階の執務室などがある部屋の近くの一室を用意したらしい。三階に上がっていくとテオドルが待っていて案内された。

 

 館全体がどうにも寂れた様子だが、三階はさらに薄汚れた感じがする。館は広いとはいえ、これはちょっと……。侍女の人数は何人いるのか? 結構な数いるはずなんだけどねぇ。侍女長が取り巻きを連れて勘違いしている人物なのだからお察しって事かな。

 その侍女長は隣の部屋で待機中だ。何を言ってくれるんだろうね?


 部屋はそれなりに広く、会議なんかに使えそうな部屋だ。そして椅子はやっぱり木の椅子。細工なんかはしてあるけど、ふわふわソファはないのかしらね。そういえばベッドも木で曲線がかった凝った細工はしてあったけれど敷布団だったわ。マットレスとかもないんだね。

 バネ、コイル? 作れるのかしら?

 三大欲求の内の食と睡眠の改善を考えよう。付随してクッションの効いた椅子も作れるだろうし。

 木の椅子じゃセンに乗ってる位おしり痛くなりそうだもんね。


 私がエルにエスコートされ椅子に座ると、エルは私の横に立った。本当に護衛のつもりなんだね。


「テオドルも座ってちょうだい」


 テオドルは私とエルの顔を見比べながらおずおずと向かいに座る。


「私がいなくなってからの詳細の説明を」


 何か聞きたそうに口を開け閉めしてからテオドルはこくりと息を飲み込んで話し出した。

 テオドルは中年で体型はかなり細めでなんか幸が薄い顔をしている。苦労人という様な印象だ。家令とか執事ってこうびしっとした感じじゃないの? って思うんだけど。どうにもおどおどしている感じ。


「私はブラダ・ツィブルカに書類の決裁をいただきに王都に参ってました。あまりこちらを長く留守にするのもと用事を終えてからすぐに戻りましたが、それでもどうしても日数はかかってしまい、帰って来たのは一昨日の昼過ぎでした」


 ああ、留守にしていたってなるほど色々用事はあるわけだね。領主が来ないならこっちから行かなきゃないわけだ。


「帰ってきたら侍女達がお嬢様がいない、とおろおろしていて……いつからいないのか侍女に確かめた所、三日ほど前から姿を見ていないと言われ愕然としました。すぐに侍女長を呼んで事情を聞くとやはり三日ほど前からお嬢様を見ていないと。早馬で知らせるなり出来ただろうと問いただしましたが、侍女長を問いただすよりもまずブラダ・ツィブルカにお知らせしなければと手紙を書いて早馬を頼みました」


「もう五日も前に早馬を出したならすでに王都に着いているはずだ」


 エルが身を屈ませ私の耳元にそっと囁いた。ふーん……早馬は父の所に着いているだろうに今朝もまだ私の捜索はされていなかった、って事なんだね?

 私の事などどうでもいいって事なのかな? 今までほぼ会ってもいないしそうなのかもね。


「私が王都に行った時、ブラダ・ツィブルカはご立腹でして……王都で王太子殿下のお茶会があり、リーディアお嬢様も招待されたのでブラダ・ツィブルカはお嬢様に王都に来る様手紙を出されていたのに来ず、私が一人で現れたそうで……」


「はい? 王都で王太子殿下のお茶会?」


「そうみたいです。なんでも王太子の婚約者を選定する為とか……すでにそれは終わったそうですが、姿を見せなかったお嬢様に大層ご立腹のご様子でした。私はブラダ・ツィブルカから王家のお茶会の手紙を受け取っておりません。受け取ってなかったのでその様なお茶会があるのも知らず……」


「ブラダ・ツィブルカは魔法具の手紙は使わなかったのか?」


 エルが口を出してきた。魔法具の手紙ってどういうの? 興味ある!


「……ブラダ・ツィブルカは高価な魔法具など無駄だ、と」

「大事な手紙を紛失される方が損失だと思うがな」


 テオドルが身を縮こませる。ま、それを家令に言っても主がそういうんじゃどうしようもないね。

 なるほど、父は王都に私を王太子のお茶会に出させる為に呼び寄せようとしたが来ず、イライラしてた所に私ではなくテオドルが現れ、その後、私が行方不明だと知らせが行ったわけだ。

 役に立たない娘など知らん! とかなりそうではあるよね。


「昨日お嬢様がお戻りになり王都に、ブラダ・ツィブルカにはお嬢様がお戻りになったと早馬を出しましたが……」

「そっちはどうでもいいわ」


 私はぶった切る。私を放置していた、心配などしないだろう父の事などどうでもいいよね?


「こちらではどのような対処を?」

「冒険者ギルドに依頼を出そうとしましたが、侍女長がブラダ・ツィブルカの指示もなく勝手にそのような事をすべきではないと言い張りまして。確かにブラダ・ツィブルカからは勝手に動いてはならない、と常に言われておりまして……」


 勝手に動くなと言われてもここに本人がいないのにどうしたってタイムラグが生じるだろうにね? それにしてもやっぱ侍女長怪しすぎじゃないの?


「騎士達に内密にお嬢様の行方を捜すよう指示しましたが情報は集まらず……」


 館を出てすぐに人目のない所で馬車に詰め込まれ、袋詰めにされちゃったもんね。

 なんだかなー……どこもかしこも本当に問題だらけだよねぇ。


 


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