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202/302

202.やってきました、ハノウセク!

「ディア、バブルナの花の水辺で人が待っている」

「あー……センが飛んできたのを見た人でもいたのかな? 待っているのはハルダ・ハノウセクかな?」

「かもな。普通は領主がほいほい外には出ないのだが、ハルダ・ハノウセクならありうる」


 センに乗って霧の中を通過中ですが、どうやら誰か待っているみたいです。

 厚い霧の中から抜けると確かに岸には二人の姿が見えた。やっぱハルダ・ハノウセクかも。この間の騎士と一緒かな?


「ん? んんん? あれ? エル……あんなにバブルナの花植えたっけ?」

「……………………いや」


 私達が植えた範囲よりも何倍にも広くなっているんですけど!? 水辺にちょっとだけだったのに、広範囲の水辺に白いふわふわの花が広がっているよ!


「私が増やしておいたよ? 聖女様欲しかったんでしょ?」

「えーーーー! いいの!?」

「いいのよー! バブルナの花が増える事は私は嬉しいし。島を出れば夏しか咲かないしねー」

「あ、でも人にまた乱獲されたら大変だからほどほどにね!」


 子青ヘビちゃんがふふふと笑ってはーい、と答えてくれる。

 センが旋回して降りる準備をしていると下からハルダ・ハノウセクが手を振っていた。それに手を振り返しながらセンがバブルナの花がない所に翼をバサバサさせながら降り立つ。


「こんにちはー! この間はお世話になりました!」

「いやいや、こちらこそ! なんだか無理を言ってしまって申し訳ない」


 ハルダ・ハノウセクがはははと苦笑している。


「全然大丈夫ですよ! お求めくださって嬉しかったです」

「いやー……陛下もノルベルト様もユリウス様も大絶賛だったもので、つい……」


 ぽりぽりとハルダ・ハノウセクが額をかいている。ホント憎めない人だねぇー。

 ところで、えーっとノルベルト様って……宰相様か! ユリウス様がエルのお兄さん、だったよね? 名前忘れかけてたよ!


「お館様! 立ち話じゃないでしょ!」

「お? あ、すまん。あ! バブルナの花が! 見てくれたなら分かるだろうがすごく増えたんだ!」


 とてもとても嬉しそうにいい笑顔でハルダ・ハノウセクが笑顔を浮かべていた。


「私の代でまさかバブルナの花がこうして拝める事が出来るようになるなど思ってもいなかった」


 そう言うと、ハルダ・ハノウセクが膝をついて私の手を両手で取り、額につけた。


「本当に感謝しております」

「や、やめてくださいーーー! エルぅーーー」


 たーすーけーてー! 

 エルがくすりと笑いながらハルダ・ハノウセクを促してくれるとやっと手を離されてほっとした。格上の方から膝をつかれるなんて! 心臓に悪いのでやめて欲しいっす!


「アレクサンドラがそわそわして待っておりますのでご案内いたしますね。あ、これは私の護衛騎士でダヴィッド・チャダティ・アダメツといいます」

「主よりも弱い護衛騎士ですが、どうぞ気軽にダヴィットとお呼びくださいませ」


 あー……ハルダ・ハノウセクは近衛騎士副団長だもんね。強いんだろうねー。


「リーディア・ブラダエナ・ツィブルカです。よろしくお願いします」


 ハルダ・ハノウセクに案内されハノウセク領主館に向かう。距離があるので馬に乗っての移動だ。私は勿論エルと一緒です!


「この間のドレスも可愛らしかったが、今日のは凛々しくて可愛らしいな」

「ありがとうございます!」


 うふふ。褒められるのは嬉しいよね! そういえばエルは今日も素で可愛らしいと褒めてくれましたよ。一番に。だからそういうとこがさー……。エル黒持ちじゃなかったらモテモテだったんじゃないか!? 強いし優しいし、ちゃんと褒めてくれるし、紳士だし。悪いとこが一つもないよね。うん、黒持ちでちょうどいいんじゃないか? なんて事はないけども!


 ハルダ・ハノウセクも脳筋だとエルは言うけれどちゃんとした貴族で紳士だよね。奥様の事を大事にしている所なんてとても素晴らしいと思うよ!


 ほどなくしてハノウセクの領主館が見えてきた。どうやら奥様が外まで出てきているみたいです。


「リーディア様、エル様いらっしゃいませ。お待ちしておりました」

「アレクサンドラ様、こんにちは」


 きゃー! と飛びつきたくなったけど、我慢! カーテシーで挨拶をする。もう私の中ではアレクサンドラ様は同士で友達枠だよ! アレクサンドラ様は私を子供扱いもしないしね!

 いいけどエル様、と様付きにしたって事はエルの事も承知って事だね。そりゃそうか。


 ご案内しますね、と柔らかな笑みを見せるアレクサンドラ様はこの間は顔色が悪かったけれど、今日は大丈夫そうみたい。

 ハノウセク領主夫妻と護衛騎士に混じって私達も移動する。センはまたも玄関で待機です。なんかセンだけ仲間外れみたじゃない? センは柔らかな声で大丈夫ですよ? と言ったけれども。


「あの、リーディア嬢……肩に乗っているのが……」


 ハルダ・ハノウセクが恐る恐ると言わんばかりに言ってきた。ああ、うん。増えちゃったもんね。


「お気にせず」


 ハノウセクの護衛騎士とかもいるので言えないよねー! 水の眷属様が増えましたなんて。


 

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