201.伝説の島でピクニックだよね?
私が落ち着いたので皆でご飯にしよう! という事でバブルナの花が咲いている中でご飯タイムです! ピクニックだね! 勿論子青ヘビちゃんの分もありますよ。
センもとても嬉しそう。いつもは厩舎だもんねぇ……。最近はよくノアとハムちゃんが行くから楽しいみたいだけど。もっとセンも自由に飛べるならいいんだけどね……。そこはさすがセンで、エルの用事もないのだから厩舎にずっといても構わないらしい。主を乗せたいのだという。
もう! センが本当に素敵すぎるよね! さすがぺガスだよ!
ノア達眷属様達もセンの事は本当に大好きらしいです。女神様の乗り物というぺガスだけあって、色こそ黒いけれど清浄な気をやはり放っているらしい。
……なるほど。私かセンの所にいるのはそういう気が欲しいのかしらね? うん? 関係ない? あ、そうですか。確かにずーーっと長い間それぞれ一人でいたんだろうから関係はないのか。ただ居心地がいいというだけらしいでした。
「おいしーーー!」
子青ヘビちゃんがヘビだけあって大きく口を開けてカツサンドを食べ、そして叫びました。皆大好きカツサンドです。猫もどき、ハムスターもどき、ヘビもどきと和気藹々と会話しながらご飯って……シュールだ。
「じゃあここに戻って来たくなったらいつでも戻れるだろうし、子青ヘビちゃんも一緒に来る、でいい?」
「はーい! いいですー!」
ノアが手を挙げて賛同した。ほんっと! 可愛い! くっ……やっぱり小さい姿も捨てがたいな!
「いっそ眷属様だと明かせば大きくなっても小さくなってもいいんじゃないか?」
エルがまた私の思った事を読んだのかそんな事を言い出した。
「それはダメだよ。少なくとも今はない。最悪、私が聖女ってバレた後ならまぁ、いいのかもだけど。ノアが狙われちゃうもん! そんなのダメ!」
「いや、僕強いんだけどなー」
「強いからって人から悪意を向けられていいわけはないでしょ! なのでダメですー!」
くすくすと私以外の全員が笑った。え? なんで?
「今代の聖女様は優しくて慈悲深いね。闇の……ノア、選ばれて本当によかった……」
子青ヘビちゃんがしみじみと言った。
「眷属様達は皆優しいね。皆ノアを心配してくれていたんだね……」
「うん」
ノアが肩に飛び乗って来て私にぐりぐりと頭を擦りつけてくる。照れているらしい。
「僕は今本当に楽しくて幸せで……だから皆もずっと聖女様から離れていたから。一緒にいられるならいたいなーって思うのー。今まではずっと……なんで僕だけ黒いからダメなの? どうしてって思ってたけど……ディアに会ってからなくなっちゃったー」
エルが手を伸ばしてノアをよしよしと撫でる。エルも似たような事を思った事あるのかもしれないよね……本当やるせない。
「さ、じゃあ行こうか」
「はーい!」
エルの声掛けに皆で返事する。小さい子の学校みたい。……間違いなく私も小さい子枠に入ってるね……。
さ、ハノウセクに行きますよー! その前にこの間植えたバブルナの花がどうなっているかを確かめないとね!
この間は結局ノアの提案の通りにセンがガスガスと足で水辺の固くなった土を柔らかくして、私が子青ヘビちゃんから貰ってきたバブルナの花を皆で植えていったんだよね。まぁ私はほとんど役に立ってなくて、エルがばばばばっと植えていったんだけども。
……身体強化とかそういうスキル持っているんだろうね。壁を走って登れる位だもの……。ハルダ・ハノウセクとお付きの騎士達も手伝ってくれてあっという間に植え終わったんだけど、早さがすごかったんだよね。
「子青ヘビちゃん、この間いただいたバブルナの花を水辺に植えてもらったんだけど……」
皆でセンに乗って移動です。眷属様達は私の肩に皆乗ってるけど。
「うん! 知ってるよ! 水辺に植えられてる! と思ってちゃんと根付いて増えるように調整しておいたよー」
「え? あ、そうだったの!? わ! ありがとう! じゃあちゃんと根付いたんだね!」
「うん! バブルナの花が増えればこの霧もなくしてもいいかもね」
「そうなの? 霧がなくなったら湖はもっと綺麗な景色になるねー! でも霧があるのも神秘的と言えば神秘的だけど。伝説の島とかちょっとカッコいいよね。あ、子青ヘビちゃんがいなくなっても霧はこのまま? 大丈夫? 人が自由に来られないようにしないと!」
「ふふふ……私がいなくなっても霧はこのままにしておくから大丈夫だよ? 聖女様は人間なのに人間の味方ではないんだね?」
「人はね……貪欲だから。勿論中にはいい人だっていっぱいいる。でもそういう人達だけでは絶対にないから。悪意を持つ人、自分だけがよければいい人もいっぱいいるから。そんな人の為に眷属様が守っている物を簡単に大丈夫だよ、なんて言わないよ? ハノウセクには人になるべくバブルナの花の事は言わない方がいいと一応注意は言っておいたんだけどね……ハルダ・ハノウセクがどういう対応をするのかを見てからだね。子青ヘビちゃんはその後、人がどうしていくのかをきちんと確認して、その後ゆっくり霧をどうしたらいいか考えてもいいと思うよー」
ありがとう、と子青ヘビちゃんが頭を伸ばしてするっと私の頬を頭で撫でていった。ヘビなんだけど、額に青い石があるし、目が黒くて可愛いんだよねぇ。