13.魔力あったよ。
興奮状態が治まるとちょうど日が暮れてきてエルと火を囲んで夜ご飯を食べた。
夜ご飯は屋台で買ってきた小さめの丸いパンと串に刺さった肉。パンはぱっさぱさで、肉は塩のみの野生味だった。
回復薬もキツいけど、食事もキツい。回復薬は常時口にするものではないけど、食事はコレが続くの?
回復薬の改良より料理研究が先かも……。
「結界ってどこまでの範囲?」
「魔法陣が上がっただろう? あの範囲だ」
なるほど。そうするとこの拓けた場所位か。
魔法の弟子になると決定したので色々質問タイムだ。エルは面倒がらずにきちんと答えてくれる。優しい!
バッキバキだった体も痛かったおしりも無事回復薬を飲んで復活。
効き目だけみたら本当にすごい! 病気とかにも効くのかなぁ? 外科と内科は違うのか、どうなんだろう?
でも母は病気だったはずで、それでも回復薬を求めてたんだから病気にも効くのかしら?
結局回復薬を飲んだのかどうかは知らないけど。
「回復薬を飲んだが体は疲れているだろうし明日もある。ディアは寝なさい」
エルが容量のおかしいバッグから毛布を二枚取り出し、一枚を敷いた。
「エルは?」
「寝ない。一日位どうという事はない」
「え……」
「大丈夫だ」
本当に? いいの? え……と思っていたがエルがさっさと私をもう一枚の毛布に包んだ。
「寒くはないか?」
「寒くないけど」
ちょっと肌寒い位なので毛布を掛ければ問題はない。焚き火の火も煌々と点いているし。
「おやすみ」
「……おやすみなさい」
挨拶されちゃったので大人しく横になった。子供の私に何が出来るって出来る事などないからエルに頼りきりだけど……。
分かりきってはいたけど、申し訳ないよね。
寝ようと思ったけど中々眠気が来なくて、目を閉じながら考え事をしていた。
そういえば私にも魔力があるってエルが言っていたし、あるんだよね? どこにあるんだろ?
丹田とか、気とか、そんな感じかなぁ?
エルは魔石をぎゅっと握って魔力を込めていたみたいで、魔法陣書く時も魔力を込めるって言っていたから体の中を移動できる? 血液みたいな感じで循環出来るとか?
むむむ……と体の中を探るような感じで頑張る。顰め面になっていたが気にはしない。毛布にくるまっているし基本夜で暗いからエルにも見えないだろう。
ラノベとかであったように何か感じないかなーと思ってたら、確かに何か体の奥の方にあるっぽい。何か確かに塊というか熱というか、これかな?
体の中を循環させればいい? 使い切ると魔力量が増えるとか、ラノベでそういうのもあったはずだけど、使うってどうやるんだろうね?
エルは魔法陣や魔石を媒介して魔法を使っているわけで。自力で手とか、杖から思った魔法を直接出すわけではないのだ。
うーん……。この塊みたいなのを動かす……出来るかなぁ?
色々試行錯誤していると塊みたいなのがゆっくりと動いた気がした。お? 出来そうな感じ? なんか固まってるからか動かなさそうなので、薄くして血流に混ぜるイメージにしたら体の中を巡っていった。
これ成功じゃない?
「ディア!」
エルが焦ったような顔で私を起こす。
「魔力の暴走か!」
「え?」
何それ? 魔力って暴走するの? 怖っ!
って思ったら流れていた魔力が綺麗に散った。あらら……元の塊に戻ったっぽいね。
「あ? 戻った……? 魔力の暴走、じゃない?」
エルって本当に魔力を感知するんだねぇ。私は全然エルの魔力なんて分からないんだけど。
ゲームでいうスキルとかそういうのなのかしら?
「ディア……何をした?」
「え、あー……魔力ってどこにあるのかなぁ? と思って。なんかそれっぽいのあったから循環させたらいいのかなーと思ったからやってみたんだけど……?」
「は?」
「え?」
あまり表情が変わらないエルが呆けた顔をしていた。
「…………………………もう一回できるか?」
「多分?」
むむっとまたも眉間に皺が寄るのが分かったが気にせずに体の奥を探り、薄く延ばすようにしてから血流に流し込むイメージで魔力を体中に循環させる。
「………………………………暴走じゃない」
「出来てる? これ、魔法使うなら出来てた方がいい? それとも無駄?」
「いや、体に循環させ行き渡らせないと魔法は使えないから、出来ないといけないのだが……出来てる……」
「よかった!」
「いや、まだ八歳で? ありえない……でも、……あ、……それなら?」
エルが一人でぶつぶつ独り言を言っている。その間も私はずっと魔力を循環させた。どうやら体に行き渡らせなければ魔法は使えないらしいから! よし! これから毎日日課にしよう!
循環の速度を早くしたり遅くしたり、血流のイメージだが、太くしてみたり。
イメージだけで変える事も可能なようだ。
これができれば魔法が使えるようになるのかなあ? あ、循環はできても手から出すのはできる?
魔力を手から出して魔石に魔力を詰めなきゃないんだよね?
出来るかなぁ?
手の平を下にして手を伸ばして、水道の蛇口から水が出るイメージで。
「うわ! 勿体ない!!! ディアっ!」
エルの声が夜の山に響いた。
…………魔獣寄って来ないかな? 大丈夫?
とりあえずエルが騒いでるって事は成功したって事だよね? もしかしてこれで魔石に魔力詰め込める?




