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118.薬草のお勉強ですよ。

 午後になってサロンでアニタお婆さんを待つ。一応挨拶を、とエルも一緒に待っていた。挨拶したら騎士の鍛錬の方に行くらしいけど。

 ダナがいらっしゃいましたよ、と声をかけてくれたので立って待つ。

 今日の私はお弟子さんなのだ! 先生がわざわざ教えに来てくれるんだからね!


「こんにちは! アニタお婆さん」

「こんにちは、リーディア様」


 アニタお婆さんは荷物を少し持っていた。なんだろうね? 風呂敷包みみたいに布で包んで持っていた。


「こちらは銀級冒険者のエルです」

「僕もエルと行ってくるー」


 エルが軽く目礼する。じっとアニタお婆さんを見ていたが、すっと視線を外すとじゃあ俺は行ってくる、と一緒に行くと言ったノアを肩に乗せてすぐに部屋から出ていった。


 いいけど、エルを紹介するのになんて言ったらいいんだろうね? 私的に保護者枠になってるんだけど、本当に保護者なわけじゃないし。エルも保護者的になっているからアニタお婆さんの事も確認したかったんだろうな、とは分かっている。どうやらエル的に問題なかったみたいだね。


「さて、薬草の種類は覚えましたか?」

「うーん……大体は? でも実際に見てみないと」

「そう思っていくらか持ってきました」


 どうやら荷物は薬草だったらしい。

 そしてエルの事に関して一つも突っ込みが来ないのは何故なのだろうね? ノアの事に関しても、だけど。


「よく使う薬草の種もお持ちしました」

「わー! ありがとうございます!」

「こちらが摘んできた薬草、そちらが乾燥させた薬草です。種類は……分かりますか?」


 私は摘んできたという薬草を手に取ってみた。葉っぱがギザギザで葉脈が緑、葉っぱが赤。はっきり言って毒々しい! アニタお婆さんに貰った本に載っていた特徴は本当に! 独特で! そして名前も独特で! はっきり言って覚えづらいのですよ! もう名前と特徴がごっちゃごちゃになるんだよね。何故もっと分かりやすいのにしないのだろうか?

 薬草のいくつかは厨房でも使っているもので、それらはさすがにすぐ覚えたんだだけど。


「これはバジャールカですか? 本に腹痛の時に煎じる、とあった」

「そうです。こちらが乾燥させたものになります」


 何故!? 乾燥させるとピンク色になっているんでしょうか!? え? 本当に? 嘘じゃないの?

 アニタお婆さんは真面目な顔だ。本当に本当らしい。


「ではこれはどうです?」


 アニタお婆さんが楽しそうに聞いてきた。


「ええと、これは……」


 さっきよりも葉っぱの先が丸くて、でも棘があって、色が青。はっきり言って毒物にしか見えない葉っぱだよね! 青い棘ある葉っぱって!


「ティシンですね。頭痛に効く」

「はい。乾燥がこれになります」


 いやだからさー。乾燥すると黄色に変身だよ。この世界の色についで言及してみたい。色の見え方が私と違うのだろうか?


「こちらがフェカル。薬草を煎じる際にほぼ必ず入れる小さい花の乾燥したものになります。これは乾燥させた方が効果が出ます。花が咲くのは春のみなので春に多めに収穫して乾燥させておきます」


 フェカルは小さい黄色の花だ。これは咲いている時も黄色い小さい花の雑草みたいな薬草で分かりやすい。


「組み合わせと量で流感や熱に効くように調合したりします。それらは基本が出来るようになってからになりますが」


 おおー……先は長いな……。そしてやっぱり鑑定欲しいよ! 鑑定があれば調合とか楽じゃない!? やっぱ王都のあの綺麗なガラスを作っている工房にモノクルを頼もうか。

 ……ずるっこかな? でも鑑定メガネに出来るかどうか分からないしな! はー……回復薬とかまで行きつくまでどれ位かかるんだろうね。焦っちゃいけないんだろうけど。まだ私八歳だしね! あ、でも私が八歳でもアニタお婆さんがお年を召しているから……。


「アニタお婆さん、お弟子さんを取りませんか?」

「薬師になりたい者なんておるかねぇ?」

「孤児院の子に声をかけてみようと思っています。ダメですか?」


 孤児院の子なら貪欲に学習してくれると思う。自分が安定して暮らせるようになれるなら。私だって領主の娘じゃなければ薬師になってみたかった。


「孤児院の子に声をかけて一度お婆さんのお宅に伺ってもよろしいですか? その……私も行ってみたくて!」

 

 そう言うとアニタお婆さんが笑った。だって行ってみたいんだもーん! エルが帰って来たから大丈夫だよね? エルに聞いてないけども。


「孤児院の子は薬師になりたい、という子がいたらですけども……」

「学びたい子がいるというならいいでしょう。私らには子供もいなくて、弟子も逃げだすし子供には縁がないものと思っておりましたが、お嬢様が望まれるなら、お嬢様と学びたい子がいればその子にもこの老い先短い婆の知識を授けましょう」


 わーい! やったー! これで次代の薬師もできるんじゃない? なりたいという子がいればの話だけれども。


「では孤児院で聞いてみて、それからアニタお婆さんにいつお伺いするかお知らせしますね」

「かしこまりました。……お嬢様もよくお勉強してらして教えがいがございます」


 やったー。褒められたー! わたしだってちゃんと真面目に勉強しますよ!

 


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