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第二話:学び舎と神器


 生前の当時の私だったら興味のない授業であれば先生には申し訳ないが授業中に寝られる自信があるとクラスメートに豪語していただろうがーー


 しかし、授業中にも関わらずに私の目はぱちくりと開いているので、死んでからもまだまだ世の中分からないものが多いものである。


 私の目が覚ますほどの興味があった授業内容は属性による検査だった。


 人間には生まれ持って属性を持っており、ほとんどのものは覚醒することなく死んでいくらしい。


 生前の私もそんな力が使えたら不法侵入してきたあのクズ男に殺されたりはしなかっただろう。


 そしてもう二度と悪いことをしないようにコテンパンにしていただろう。


 怨霊になりかけた時にクズ男は発狂させたりしたが私に対する仕打ちに比べれば安いものである。


 ふふふと腹黒い気持ちになりながらも私はどんどんと勉強にのめり込んだ。先生が黒板にチョークで文字を書いていく文字を追った。


「まずは五行の意味から教えます」


 木は木行→樹木の成長を・発育する性質


 火は火行→光り輝く炎が元となっていて、火のような灼熱の性質


 土は土行→万物を育成・保護する性質


 金は金行→金属のように堅固・確実な性質


 水は水行→泉から湧き出る水が元になっていて、これを命の泉と考えて胎内と霊性を備える性質。


 それぞれの五行の性質を先生から教えてもらい、紙片を一人ずつ配られた。


「この紙片を持って、強く念じて見てください 紙に変化が起きたらそれがあなたの五行です」


 先生がそれぞれの変化を黒板に記した。


「木」は紙の色が変化して、「火」は紙を燃やし、「土」は硬くなり、「金」は切れて、「水」は湿る。


 先生に返事をしたみんなを含めた私は紙に集中して強く念じた。


 すると、あら不思議、私の持っていた紙片はヘナッとなり倒れ込んだ。


(これでいいのかしら)


 先生は報告するべきがもし汗で紙片が使い物になくなっていたら公の場でこっぱ恥ずかしい、どうしたものかと唸っていると。


「では雨弓さん、あなたの五行は何でしたか?」


「あ、えっと」


 クラスのみんなが注目する。


 ええいままよ思いながらしどろもどろに口を開いた。


「これって……水で合っていますか?」


「うん……そうだね 紙が湿気っていたら水行の属性ですね」


 私はその言葉を聞いて、ほっと安堵し席についた。




(水か……)


 私はその時、現世で一番お世話になった友人を思い出しくすりと笑った。


 それからメキメキと私は上達して勉強はトントンだったが、実技の方は成績がよくて、ある説明会を受けた。


「都にある学校?」


「そう、この高天原には都があり、そこには多くの神様たちが住んでおります。そして神様には神器というものを持ち、自分の眷属を持つものですが、そのためには神器になるための育成するところがあります」


(なるほど……)


 でも、待ってと私はあることが気になった。



「すみません、先生」


「はい? なんでしょう」


「神様と神器って相性とかありますか?」


「そうですね。 先日、自分の属性が判明したと思いますが、君たちのように神様も属性がある」


「属性の相性が良いのを「相生」といい、逆もまたある。相性を悪くしてしまうのを「相剋」といいます。


「だから、雨弓さんの場合は水の場合は木との相性が良い」


 私は納得して、そういうものがあるのかと勉強になった。


(そういえば、真澄さんって水を使う術みたいなものを使っていたな、ということは真澄さんは水の属性でいいのかな それじゃ私と相性が良いんじゃ……ってもう会えないじゃんと)


 心の中で自分に突っ込んでいると、自分を呼ぶ声がようやく聞こえた。


「雨弓さん、聞いていますか?」


「ふへ?」


 クラス中に寄声を発した私はみんなに注目を浴び、恥ずかしがったが正直に話した。


「えっと、すみません 話を聞いてませんでした」


 先生は雨弓の素直な言葉にクスリと笑った。優しい先生でよかった、おかみさんだったら小言のひとつは言われそうである。


「ふふ もし、神様の神器に選ばれたとしたら下界に行けるかもしれないとのことです」


 何のことを言っているのか分からなかったが、妙な高揚感と期待を感じた。



「下界って」


「あなたたちが生前いた現世のことです」


 私は一瞬何を言われているのか分からなかった。下界、現世という言葉が頭の中をループする。



(下界……それってもう一度真澄さんに会えるかもしれないってこと!?)


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