裏RUN
トロイ「これって、噂の裏RUN・・・」
観客A「おら!いけいけ!赤1!」
観客B「青2ぃ!ぶつかれ!足引っ掛けろ!あぁ?なんでお前が転ぶんだよ下手くそ!」
トロイ「うわぁ・・・凄いなぁ。」
裏RUNとは言えRUNはRUN。
協会側にもある程度は認知されてるらしい、けど普段のRUNと走ってはダメで早歩き以外はルールはなく、先の観客の言った通り「過度な接触」・「コースアウト無し」と正しく何でもアリなのが裏RUNだ。
あと、表と違いスポンサーや賞金レースも多くなく、RUN-Kも関係ない、その代わり一回のレースで賭け金上限は無く、その数割が選手の賞金になる、もちろん額は賞金レース並みの時もある。
その分公にはなるべくせず、事件は揉み消される。
半分以上の人がマスクや何らかで顔を隠したりしている。
そう、裏RUNの選手は表RUNに出る事はない。
逆もまた然り、スポンサー付いている選手が裏でルール無視のRUNをしたら即解雇だ。
過去に表裏の親善試合があったらしいが、その時の映像もニュースもない、まさに噂だけだ。
トロイ「初めて見るけど皆んな速いなぁ・・・」
ヨイドレ「おーい坊主、そんな茂みでなにしてんだ?うOこか?」
ば、バレたー。
トロイ「え、いや違います。」
ヨイドレ「わっとるわい、がははは!」
ほれ、こっちこい!と、茂みから引っ張られるトロイ。
ヨイドレ「ここが特等席よ。」
トロイ「ゴール前がですか?」
ヨイドレ「おう。」
トロイ「けどRUNならスタートから中盤なんじゃ?」
ヨイドレ「あー、それは表の方だ、こっちじゃゴールするのは本当に実力がある奴らだ、そんな奴らの最後、まさにゴールを見るのが醍醐味なんだよ。」
トロイ「はぁ。」
ヨイドレ「まぁ、人それぞれだがな、がはは!」
トロイ「あはは・・・」
ヨイドレ「俺はヨイドレって言われてんだ、アンタは・・・ジャージだけど選手か?」
トロイ「まさか、選手じゃないです、僕は・・・」
杏果実況者「さぁさぁ!来たぜ来たぜ!レース終盤!最後に一勝負どうだい!」
ワァァァア!
観客A「俺は白1に10万だ!」
観客B「こっちは緑2に15万だ!」
トロイ「な、何ですこの騒ぎ!」
ヨイドレ「ラスト500メートルの速賭けだ!これが裏の醍醐味よ!」
飛び交う額は跳ね上がる、どうやら10万以上らしい・・・
ヨイドレ「坊主、賭けてみるか?」
トロイ「いやいや、僕お金ないですし。」
ヨイドレ「俺の金だ、心配すんな!」
トロイ「いや、余計に・・・」
ヨイドレ「そうかい、お姉ちゃん!赤1に20万だ!」
杏果実況者「はいよ!賭けは終了だ!残りRUN者は4人、白1・緑2・赤1・黒1だ!」
観客A「黒だ?まだ200メートル後じゃねーか!」
観客B「さすがに来るわけねぇだろうな。」
残り400メートル、黒は600メートルはなれている。今日の僕のレースみたいだ。
黒1「・・・」
トロイ「えっ?」
目が合った?
黒いアイマスクをしている黒1、この人、仕掛ける!
そう思った瞬間、足元が伸びた。
暗くて見えなかったがこの黒1、ワザと遅くRUNしていた。
グン!っと伸びた黒1、白、赤を抜き去りのこり200メートルで緑に並ぶ。
トロイ「あそこから僕は抜かされて・・・」
緑2「っち!喰らえ!」
少しスピードを緩め、ワザとらしく肘を振る。
もちろん黒1にぶつける為にだ。
目線、というか顔面に肘を当てにきた。
黒1「・・・」
スゥ・・・。
トロイ「避けた!」
ヨイドレ「円を描くように避けやがった!」
緑2は右肘を当てにいったが、黒1は足を止めず右脚を前にした状態で上半身のみ後に下げ、右に円を描くように避けた。
緑2「俺の肘鉄砲を避けやがった!」
黒1「減速どうも。」
スピードを緩めること無く黒1はそのままゴールへ。