出会い。
キーンコーンカーンコーン!
昼休みの鐘が鳴る。
トロイ「急がなきゃ!」
立ち上がるトロイだが。
男子生徒「急げ急げ!」
女子生徒「早くしないと売り切れちゃう!」
そう、もちろん昼休みの購買でもレースなのだ。
速車欗「お先〜」
長い足を伸ばし、まさに「一足お先に」と購買部へ歩く。
男子生徒「はえぇ!早歩きでも追いつかねえ!」
女子生徒「あの美脚が今だけ恨めしい!!」
トロイ「はぁはぁ!」
僕も歩く、追いつかない、抜かされるばかり。
男子生徒「ちょっ、トロイじゃま・・・」
邪魔なんだよ、そう真後ろから聞こえる瞬間。
いや、直前?いや。
スゥ・・・
トロイが歩いていた道が空く。
男子生徒がやや右にそれるのがわかっていたのかすかさず左へ歩を進ませたトロイ。
男子生徒「わ、悪いな!」
トロイ「いえ、僕遅いんで。」
ちなみ購買部は1F、僕達一年は1番上の5F。
エレベーター等の文明の利器は無く、歩き。
廊下を抜け階段を降りて200メートル先がゴールの購買部だ。
ありがたくも校長が健康の為とながーい廊下にながーい階段を付けてくれたおかげで毎日食べれる昼ご飯は・・・
購買部おばちゃん「はいよ、食パンだね。」
トロイ「あ、ありがとうございます・・・」
残り物の食パンとマーガリンだ・・・
トロイ「うぅ、今日は初ビリか・・・」
入学してから半月、初のビリになってしまった。
トコトコ・・・
クロノ「おばあちゃんー、食パン3斤とマーガリンとジャムいっぱい。」
購買部おばちゃん「おやクロノ、今日も最後かい?」
クロノ「うん、別に食べたい物も無いし。」
購買部おばちゃん「ほら、食パンにジャムだよ、悪いね、マーガリンはそこの坊やでお終いなんだよ。」
どっさりのジャムをもらうクロノ。
クロノ「・・・」
睨むクロノ、眼光が「じー」っと聞こえるぐらいの視線だ。
トロイ「あ、じ、じゃあ交換します?ジャムとマーガリン?」
シュ!
クロノ「マジか、お前いい奴だな。」
は、速い!
この人、一瞬で近づいて来た!
え?5〜6歩ぐらいの距離あったよ?一歩で来たの?それとも3歩かな?見えなかった!
クロノ「じゃあ、マーガリン貰うからこのマヨネーズ味ジャムと味噌ジャムと交換な?」
トロイ「え、あ!うん!」
入学してから先生以外とまともに会話した〜!
え?マヨネーズに味噌?
クロノ「じゃーな、っと、名前は?」
トロイ「みんなからトロイって呼ばれてます。」
クロノ「トロイ・・・かっこいいな!俺は・・・クロノ、クロノだ!」
一瞬間があった気がした・・・
この出会いがトロイの運命を大きく変えるのであった・・・