最弱だった俺に弟子が出来た
「【火炎】!!!」
なんだこの娘は?何の挨拶も無く勝負を仕掛けてきたぞ。折角だし獲得したスキルを使うか...
「【瞬間移動】」
ここなら安全だろう。自分の目視可能範囲に瞬時に移動できるスキルとか、【百発百中】との相性最強だな。ここから威嚇射撃して様子見するか。
「あれっ?あいつはどこに...っぶな!!!地面ヒビ割れしちゃってるじゃん」
危ねー、あの娘に当たるところだった。しっかり狙った場所には当たったな、【百発百中】すげえな。涙目になっちゃっているし、戻るか。
「おい、大丈夫か?」
やばい、気絶している。森に戻って休ませた方が良さそうだな。周りの人の視線も集まっているし。
そうして俺は昨日寝ていた森に行った。様子を見ている内に、気がついたら俺は寝ていた。
「おーい、生きてるかー?」
気がついたら寝ていたようだ。誰の声だろう?この顔どこかで...髪の毛は緑色で短め。かわいい娘だな...
「おい、遠くから攻撃するなよ。卑怯者」
ああ、あの時の娘か。というか急に勝負仕掛けるなよ。あの街の人達は皆温厚だったんだけどな...なんでこいつは。
「普通勝負といったら火力勝負だろ!」
やはり流行りは火力なのか。落ち着くためにも少し話をするか。
「ちょっと待ってくれ。せめて、名前ぐらいは教えてくれ」
「わたしの名前はサラ、サラって呼んで。職業は《魔術者》よ。」
「分かった。おれの名前はカズキ、呼び方は何でもいいよ。職業は《狙撃者》だ」
「カズって《狙撃者》なの?なら近距離戦も魔法も使えないじゃん...そりゃあんな卑怯な戦法をつかうよね。っていうか、あの急に移動するやつ何?」
もうあだ名をつけたのか、早いな。おそらく【瞬間移動】の事だろう、俺の戦法は卑怯だとは俺も思うが...
俺のスキルはスーパースキルが多い。所得必要経験値が大量に必要と言っていたから、おそらくあまり使う人が少ないから見かけないのだろう。
「俺のスキルだ。あと、魔法使えるぞ。」
「はあ?《狙撃者》で魔法が使えるなんてカズ凄いね。燃えてきた、勝負しよう」
やっぱ《狙撃者》が魔法を使うのは珍しいのか。それよりも何故そんなに俺と勝負がしたいのか。
しょうがない勝負をするか。
「よし、勝負をしよう」
「よっしゃ!早速...」
「ここだと俺の寝床が吹っ飛ぶから、近くの草原でな」
俺は食い気味で答えた。流石に今夜寝る場所が無くなるのは、辛すぎる。昨日街に買い物に行った時に見つけた草原なら大丈夫だろう。多分...
俺はサラの手を握った。
「ちょっ!いきなりなにするの!?」
「大丈夫、攻撃しないから。【瞬間移動】するんだよ」
俺は草原に移動ををした。サラから勝負の説明をされた。
「魔法が使えるなら、魔法勝負ね。魔法以外のスキルは禁止 、距離は中距離までね。」
距離の基準でいうと、近距離は剣を振って届く距離。中距離は魔法が届く距離。遠距離はそれ以上だ。
「用意、初め〜!」
サラは開始の合図をした途端に、魔法を発動してきた。女の子を傷付けないようにしなくては...俺が負けそうだが。
「【火炎】!!!」
草を軽く燃やしながら、火の玉が俺に向かってきた。あの時のスキルか。俺のスキルでも相殺できるだろうか...このままじゃ俺、燃えるぞ。目には目を、火には火を。
「【獄炎砲】!!!」
その時俺の手から渦を巻くように、火が凄い勢いで噴いた。サラの【火炎】は俺の【獄炎砲】に包まれ消えてしまった。そしてそのままサラの身体を包んだ。
「やばっ【熱反射】!!!」
い、生きてるか?
「その技を使えるって事は私に勝ち目は無いわね。ってカズ、後ろ後ろ!!!」
良かった、生きてたー。って後ろ?俺の隙をつこうとでも...ん?サラ、マジで焦った顔してるじゃん。何かいるのか...?
「チャンス!【水砲】いっけー!!!」
後ろを向いた瞬間サラがスキルを使った。いや、セコッ!!!ここはある程度力を見せるしかないな。俺の方が実力は上のようだし。確か、水を操るスキルがあったはず。
「まったくだ、もう。【操水術】!」
俺のスキルによってサラの放った水は動きを止め、俺の周りを漂い始めた。《狙撃者》なのにここまで魔法を使いこなせるなんて、驚きだ。
「私には無理だ...すみませんでしたーーー!降参です!!!」
サラは泣き顔で謝ってきた。地面に涙で水溜まりが出来るほどの勢いで泣いている。
「《狙撃者》なのにここまで魔法を使いこなすなんて、しかも上級魔法を。是非弟子にしてください!!!」
「弟子???」
弟子ってどういうこと?でもここまで頼まれると了承せざるを得ないな。
「俺弱いけど、いいのか?」
「こんなに強いなんておかしいよ。上位何%なの?」
「確か1%だが」
「それって、SSSランクじゃん!!!国一つ相手でも勝てる程の強さって言われている...」
そんなランク制度があったのか。国一つに勝てるって、俺の元パーティーに戻れるんじゃないか。けど、今更戻るのも恥ずかしいし、経験値制度が知らなかったなんて言えない。
「それで、弟子にしてくれますか!?」
「ああ、いいよ...」
街にいた少年が言っていた伝説は本当だったのか...伝説かは微妙だが。俺はサラとしばらくお小遣い稼ぎのクエストを受けることになりそうだ。
「それで、なんでサラは俺と戦いたかったんだ?」
「戦いたかったから!」