俺が最強の《狙撃者》だと知った
俺は目が覚めた。鳥の囀りを聞きながら起きるのは久しぶりだな。森の中だからか、少し湿っていて肌寒い。今は夏期だったのが救いだな。俺は昨日街に行った。パーティーの皆から最後に貰ったお金で俺は自分の生活出来る物を全て買った。食料、武器。
職業変更券もだ。
俺は荷物を持ち、草をかき集めてつくった寝床を離れた。
「さて、とりあえず職業変更をするか」
俺は昨日行った街に向かった。あいつらと住んでいた街とは、徒歩1時間程離れている。
最初はステータスを見てもらった。
「あの、ステータス鑑定いいですか?」
俺は街の中心にあるギルドに行った。受付の人で大丈夫だろうか。
「大丈夫ですよー、50Gお願いします」
受付の若いお姉さんは笑顔で答えた。俺はポケットから金貨を手の平に広げ、数えて渡した。
「それでは見ますねー...エエーーーーー!!!」
しばらくしたら受付のお姉さんが叫び声をあげた。周りの人は何かあったのかと、俺に視線が集まる。俺はなにかを疑われるかと思い手と首を思いっ切り振っていると、俺は歓声を浴びた。
「おい、そこの兄ちゃんすげえな」
少年がこちらに小走りで来て話しかけてきた。俺は正直パニックになっている。
「な、なあ。これ、どういうことだ?」
俺は何とか意識を保ち、少年に聞いた。
「受付のお姉ちゃんが叫ぶ時は勇者が現れるんだよ!」
おそらくなんかの本で読んだのだろう、そういう伝説だろうか。うん、そうだ。俺は受付のお姉さんに話しかけようとしたら、瞬時にステータスを見せてきた。驚きの速さだ。
「攻撃力、防御力、脚力、体力、魔力全て低い初心者冒険者かと思っていたら...」
そこで受付のお姉さんは止まった。そんなに俺の事馬鹿にするか?酷いな...
「レベル89じゃないですか!!!(音割れ)」
鼓膜が破れそうになった、てか破れた。
レベルってなんだ?そういやあいつらもレベル上げるぞーとか言ってたな。正直話が難そうだから適当に流してたな...経験値の事か?
「レベルの事ご存知なさそうですね!レベルとは...」
あっ、これスイッチ入ったやつだわ。折角だし聞くか、為になりそうだし。
「レベルとは経験値を貯める程上げることが出来ます。そして経験値を貯めると任意の能力にステータスを振ったり、スキルを覚えることが出来ます。ここまでレベルを上げているのにステータスに無振りって、相当な才能の持ち主です!!!」
うわお。とても長々と説明されたな。ステータスをあげることが出来たとは...いつも経費をケチっていたのがここにきて...金は適度に使おう。
「...てことは、ステータス上げられるんですか?」
「勿論です!!!しかもそこら辺の人達とは比にならない程!!!」
今のステータスランキングは上位99%のようだ、これがどこまで上がるのか。とりあえず職業変更を...
「ここまでのレベルですとユニークスキル【百発百中】が身につけられます。どんなに離れていても必ず攻撃が当たり、超遠距離も見える《狙撃者》に最適なスキルです!経験値はかなりの量を使いますが、おそらく遠距離戦では最強になるかと...」
それなら《狙撃者》を続けられそうだ。それでも近距離戦はキツそうだな。低い攻撃力をなんとか上げるか、脚力を上げて逃げ回るか...なんか良い案はないのか。受付のお姉さんに聞くか。
「近距離の戦闘はどうすればいいと思いますか?」
丸投げしちゃったよ。これで良い案が出なかったらただただ逃げ回る弱虫になるぞ...
「魔法で近距離を戦うのはどうでしょう?」
その手があったか。最近では魔武両刀とかあったな。取り敢えず話の流れ的に相当経験値量が多そうだから五属性魔法は身に付けられそうだな。
「それじゃあ、スキル一覧みたいなの見せて貰えますか?」
俺がそう聞くと受付のお姉さんは急いで机の中から分厚い本を取り出した。本当にあるとは...というか多いな!!!ざっと万はありそうだ。さらに大量の経験値を使えば自分でもスキルを創れるそうだ。どのくらいスキルを身につけられるか参考に聞いた。
「俺の経験値だとどのくらいスキル覚えられますかね?」
「いっぱいです!!!」
一気に語彙力低下したな。ステータスは《狙撃者》が上がりやすい防御力を上げ、半分の経験値を使い魔力をMAXにした。これで実質無限に魔法が使えるらしい。スキルは気になったのを選んだ。
ステータスを見たら上位1%まで上がった。どのくらいだろうか。まあ、これで少しは戦えるようになるだろう。あいつらのためにももっと強くなるぞ。今日は一旦森に帰ってスキルを試すか。
「ありがとうございました」
「待ちなさい!!!」
俺はお礼を言って立ち去ろうとした時、誰かの声が聞こえた。なんだか俺の本能が逃げろと言ってくるが、もう目の前にいた。動きが速いな。
「わたしと勝負しなさい!!!」
「え?」