魔物
前世で読みあさった「なろう小説」では、ステータスが命だった。
この世界にもおそらく魔物が出現するのだろう。
そうしたら襲われることもあるかもしれない。
そんな時に、こんなステータスでは即死んでしまうじゃないか。
本当なら転移の際にチートスキルとかをもらって異世界で無双するはずだったのに、神様が面倒くさがったばかりに・・・。
なんてことを考えていると、後ろの森から「ガサッ」と音がした。
「魔物!?・・・・にしては、かわいいな」
そこに居たのは羊のような動物、だが、地球のそれとは明らかに違っている。
まず二足歩行をしているし、二頭身ほどのずんぐりとした体形。
羊毛は鮮やかに映えた黄緑色をしている。
『ジョブ「覚悟者」のJPを200消費して、魔物のステータスを理解しますか?』
お、急に、ステータスボードが現れた!
しかし、ジョブ「覚悟者」?
確か、仏教用語で悟りを開いた者、という意味だったが、俺のジョブは「教祖」では無かったのか?
まぁ良い。
俺はとりあえず、頭の中で「はい」と念じてみる。
『ベリタスは、魔物のステータスを理解した!』
おぉ、できた。
っていうかおい、名前の略され方がベリタスになってるじゃないか。
「メェ~~」
魔物の鳴き声がしてそっちの方に向き直る。
するとそこにはさっきまで無かったステータスが表示されていた。
― ステータス ―
スレイシープ(0)
レベル:1
ジョブ:なし
HP:56
MP:70
攻撃力:5
防御力:6
魔力(風):8
素早さ:2
器用さ:2
混乱や睡眠の状態変化を得意とする獣系魔物。
動けなくした相手をウィンドカッターで切り裂いてくる。
おい、こいつレベルは同じでもステータスは俺より全然強いじゃないか。
こんなにかわいい見た目でも、やっぱり魔物なんだな。
というか、俺、いきなりかなりの大ピンチなんじゃないか?
「メェ~~」
しかし、スレイシープは襲ってくる様子はなく何やら鳴いてばかりいる。
『ジョブ「覚悟者」のJPを500消費して、魔物の言葉を理解しますか?』
「え?」