1章1話 開眼
1章 力の目覚め
1話 開眼
それは突然だった。
昨日はいつもどおり眠りについて、いつもどおり朝7時に目覚める。
そしていつもどおりに顔を洗おうとしたときに気づいたんだ。
ー額に第3の目が生えてる。
「・・・なんだこれ」
当たり前だが僕の両親は僕の知る限り一般の人族だ。
父は外交官、母は専業主婦で元気に過ごしている。
祖父母は父方が田舎で農家をしており、母方の方はもうすでになくなっているとのことだが人外が混ざっていたという話は聞いたことがない。
聞いたことはないが、それ以上先祖を遡っても同様だと思う。
僕自身についても平々凡々なパーソナルだ。
成績は教科によってばらつきはあるがだいたい平均くらいだろう。
運動についても同様だ。昔体育の課題で練習したため二重跳びが30回連続でできることだけは密かな自慢だが、それ以外は一般の15才男子の平均を大きく外れないだろう。
性格について人付き合いが苦手、もう有り体に言ってしまおう、コミュ障ではあるものの、数少ないが友だちもいるしーと、いっても向こうもそう思ってくれているとは限らないがー自分のことを情緒不安定とか、凶暴だとか思ったこともなかった。
そして、これが一番の問題なのだが・・・
「これ多分寿命だよな、で、地獄ってあの地獄?天国が灰色で表示されているし、多分そうだろうな」
そう、鏡を見ると自分の顔の横に自分の寿命と思しき数字と天国と地獄が両方書かれており、天国は葉色、地獄は白色で表示されている。
ちなみに寿命の日付は1週間後だ。
つまり、見たままを信じるとするなら、このままだと1週間後に死んで、その後地獄に落ちるということが確定しているように見える。
「冗談きついよ」
僕自身は別に死んでもなんとも思わないという自負がある。
15年間生きてきて、それほど楽しいこともなかったし、友達も少ないため死んでもせいぜい親と祖父母が悲しむ程度だろう。
そこについても多少の疑問符は生じるが、とりあえず置いておこう。
しかし、地獄に落ちるのは許容ができない、僕の想像している地獄ではないということも十分に考えられるが、逆を返せば想像している地獄ということも考えられるだろう。
死んでまで苦しみたくないという思いは誰でも共感してくれることだろう。
あるのかないのかもはっきりわからない場所だが、こう文字として出てきている以上あると思って行動?してもいいだろう。
さらにもう一つの問題がー
「これって他の人にも見えてるのかな」
第3の目の存在だ、見た目的にはいわゆる邪眼のように額の真ん中で縦に開いている。虹彩は紅でちょっと気味が悪い。
恐る恐る手で触れてみる。
「感触はない」
触っていても皮膚の感触があるだけで眼球のような感触はない。
これなら大丈夫なのか?と思いつつ瞼を閉じるような感覚で目を閉じるように念じてみる。
何度か本当の目も閉じてしまい、閉じれているかわからない状況であったが、繰り返していると第3の目を閉じることができ、自分の意志で開けるようになった。
とりあえず急場はしのいだと考えていいだろう。
「あと気になるのは、他人の寿命も見れるかかな」
対象は母しかないだろう。真正面から見てしまうともし第3の目が他人にも見える設定のとき説明ができないため後ろから覗くしかない。この時間なら朝食の支度をしているため覗くのも容易だろう。
少し、かなり心情的に怖いものもあるが好奇心を抑えられないのも事実。
洗面所から台所は扉一枚を隔てたのみで、お誂え向きに位置関係的に扉を開けたとき母の背中が見えるはずだ。
なるべく静かに洗面所の扉を開く。
母の背中を見る。リズミカルに包丁の音がなっている。
味噌のいい匂いもする。母の作る味噌汁は好きだった。これもあと1週間と思うと寂しい思いはある。
いや、それより母の寿命だ。
母の背中に狙いを定め、第3の目を開く。
「・・・見えない」
母の寿命は見えなかった。しばし呆然とするが母が振り返るとまずいので慌てて第3の目を閉じる。
考えられる可能性は2つある。そもそも他人の寿命は見えないか、顔を合わせる必要があるかだ。
どちらにせよ今の僕に解決できる問題ではないので保留するしかないだろう。
朝食を食べ学校に向かうことにしよう。
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