7話 ゴーストは戦隊モノみたいな色をしていました。
魔法…というかアイスシールドが使えるようになったからウルフの相手がとても楽になった。
見てわかる通りウルフはめっちゃ速い。流石敏捷に極振りしてるだけあって速度は一級品だ。
だが、速すぎて真っ直ぐにしか進めない。
そのお陰で走り出したと同時にその直線上にアイスシールドを作り置いておくだけで頭から自分のスピードで突撃して、死んでしまうのだ。
「今まで出会った魔物尖りすぎじゃね?力が強すぎて地面に釘ぶっ刺さって抜けなくなるオークとか速すぎて曲がれないウルフとか。」
今までで一番しっかりと戦えてたのはゴブリンだと思う。
ゴブリンがしゃがんでくれたお陰で顔面サッカー出来たけどしゃがまなかったら……しゃがまなくてもち○こ蹴れば良かったか……ほぼ丸出しだったし。
「まぁいいか。」
そんなこんなで常時アイスシールドを俺の前に展開させて3階層を突破し、4階層に行くための階段を見つける。
「んぉ?」
4階層に降り立つと今までとは違い、洞窟の壁に薄っすらと光る水晶のようなものが適当間隔に埋め込まれている。
「綺麗だな。これって取れるのか?」
俺は壁に埋められている水晶をスイカの種をホジホジするように取ろうと触れると、何か温かい、生温いものが身体の中にはいってくる。
「気持ち悪っ!!……でも、これって、」
俺が触れた水晶は中の光が無くなり、ただの水晶になってしまっているようだ。
「多分…魔力、だと思うんだけど。」
最初に魔法を使えるか試した時に心臓の近くの温かいものを探すという魔力の探し方は間違っていたんだろうけど魔力自体は温かい。多分血とかと同じなんだろう。
血も大量に出たばかりの時は少し温かいからな。
「コォォォーーー」「コォォォーーー」
何処からか声とも違うような息を吐き出している音が聞こえてくる。
「壁に埋められた魔力が吸い取れる水晶………多分魔力特化の何かが来る。」
視線を感じる。
道は俺の前後にしかない。
だが、上下左右からも視線を感じる。
「コォォォーー!!!」
「ぬぁ!!!!」
いきなり壁から現れたゴーストが火の玉を俺に向かって射出してくる。
そのゴーストが打った火の玉が地面に着弾した瞬間様々な方向から、水の玉、風の玉、土の玉、氷の玉、雷の玉が飛んでくる。
全方向の至る所から現れたゴーストは火魔法を打ってくるやつは赤、水は青、風は緑、土は茶色、氷は白、雷は黄色とそれぞれの属性によってゴーストの色が変わっている。
「あぁ!!うぜぇ!!!サンダーバースト!!」
俺は咄嗟に使ったことのない魔法を使う。
思い浮かべた魔法は、全方向に雷撃を打つというものだが、全方向に打つということで難易度が上がっているが無意識に行い成功させる。
「コォォォー……」
黄色いゴースト以外は消えて魔石だけになったが、黄色いゴーストはその場で残っている。それに俺の放った雷魔法を吸収しているようだ。
あれ、やってみるか…
「アイスシールド、アイスシールド」
右手で1つを操作し、左手でも1つを操作する。
丁度サンダーゴーストが真ん中に来るようにアイスシールドを置く。
アイスシールドが出せる最高速度でサンダーゴーストをアイスシールド同士で挟み、消滅させる。
「んー、もうちょっと速度が出たらなー。アイスシールドも攻撃に使えることがわかったしいいか。」
この階層はもうクリアしたもんだ。
♾神side♾
「なーんで、1人だけ転移しちゃったのかなー」
確かあれって前回の出現の時に誰かがクリアしてダンジョンマスターしてるダンジョンだよね。
「あぁー、ちゃんと管理しとけばよかった……まっ、楽しいからいっか!」
(全く、人類は愚かだねー、前回の経験を全く活かせていないじゃないか。
なんだっけ?前回の最も栄えてた国、アトなんとか大陸にも出現して滅びたのに学ばないとは…
聖書とか、神話とかにもそのままの内容が載ってるのに。)
頑張りたまえ、人類よ。私をもっと楽しませてくれ。
そして、いつか………
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