死する前に
「ここではないどこかへ行きたい。」この言葉は心を惑わせる。人はどこかへ行きたがる。ここではない、どこか遠くへと。
青春は単純だ。ここではないどこかへ行ければ、それは限りなく理想の青春に近付くであろう。しかし残念ながらそれは不可能だ。それを知ったとき、青春という理想郷は崩壊する。要は大人になる。胸糞悪いまま自分を殺すようになる。その期間が長いほど。自分が死んでいく。そして物理的に「死ぬ」。
マンガというものはマンガだ。リアルというものはリアルだ。事実は変わらない。変えようとしてもそう簡単に人は変わらない。万が一にも変われたとして、世間が、社会が、理がそれを許さない。潰される。それはまさにクソゲーそのもの。それに変わったところで何も起こらないのが落ちだ。「残念だったなバーカ。無駄な努力ご苦労さま。」と、変化を求めない、社会的家畜、まあ社畜のことだが、そういうやつから蔑まれる。この時点で青春を求めた者は家畜以下だ。どうしようもない。
「現実を見ろ。」とっくに見てる。「お前に何ができる。」知らねぇよ。「やめちまえ。」ああ、やめてやりたいさ。「邪魔だからどっか行けよ。」俺だってどこかへ行きたいよ。「ゴミ箱に入ってろよ。カスが。」俺にはお似合いの言葉だ。『死ね。』ああ、死んでやる。
青春には裏側もちゃんとある。前一段落がその中で浴びせられる罵詈雑言だ。胸糞悪いだろ?これが青春を求めたものの末路だ。こうなってはもう普通には見てもらえない。みんながそいつを特別扱い。いじめの被害者。ボッチ。仲間ハズレ。どこかおかしい。
「ここではないどこかへ」行ったところで何になる。何が変わる。変わったとしてその後は?どう生きていける。社会に殺されて生きていれるはずがない。それでも君は青春を求めるか?殺されてなお、死してなお、青春という一種の麻薬のようなものに手を染めるか?ただ俺は思う。
青春は、残酷だ。