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うつ病

私が実際に体験した出来事をそのまま皆様へお送り致します。お時間に余裕があればお読みください。



私は今、入院をしている。


その場所は精神科専門の病院だ。


現在約3ヶ月うつ病で入院している。


この入院生活が始まったのは去年の12月26日。

年の瀬、世間ではクリスマスが終わり年末年始の準備で忙しい頃だろうか。

しかしその時の私は地獄の底にいた。


うつ病など今ではネットニュースやテレビ番組でもよく取り上げられるし、逆に知らない者の方が珍しいのではなかろうか。


ただ、うつ病とは「そうなった者」にしか解らない地獄が確かに待っていたのだ。


私はうつ病になる前まで営業マンとして働き、世間で言う一般家庭の中で生活してきた。

妻も子供もいて順風満帆に過ごしていたとそう思っている。


いつ頃だろうか、夜「眠る」という当たり前のことが出来なくなってしまった。

酒なんか1ミリも飲めないのに寝るためだけに酒を飲むようになって、悪いときはいくら飲んでも酔うことも出来ず朝を迎える日が多くなった、それが心と体が壊れ出した信号だったように思う。


段々と会社でミスが多くなり上司から叱責され、同僚からは貶されているのではないか、と勘ぐるようになり全員が敵に見えた。人間不信と言うものだろう。


このような状態が何ヵ月も続き、次第に「死にたい、消えてなくなりたい」という気持ちが大きくなり、家族の前でも笑えなくなっていった。


妻の勧めで心療内科を受診し、医師からはうつ病だと診断された。


安定剤なるものと睡眠薬を処方され、個人差はあるのだろうが眠気が酷く、仕事中に居眠りをしたり、集中力を保つことが難しく段々とミスが増えていくばかり。


忘れもしない、12月20日。

仕事で大きなミスをした。

内容を記載することは出来ないが、取り返しがつかないほどのミスだ。

上司や同僚に多大な迷惑をかけてしまった。

私はこれがきっかけで自殺をしようと思い立ったのだ。

今思えば、償う方法はいくらでもあったのだろう、しかしその時は「死ぬ」という選択肢しか頭にはなかった。


その立場にいた人間だからこそ言えるのだが、死ぬ前とは意外に冷静なもので、車のローンや通ってるジムの解約方法、その他諸々の手続きなど、妻宛の遺書もスラスラ書けた。


そして一番楽な死に方を検索し実行しようと思った。


私の選んだ死に方は、車中での『首吊り』。


通っていた心療内科から処方された眠剤を何十錠も酒で流し込み、首を吊ればそのまま眠るように死ねると思った。


私が今、この文章を書いていることから自殺は失敗に終わったのだと言うことはお分かり頂けるだろう。(当たり前だが)


自殺未遂は実家の駐車場で首吊りしていたところを母親に見つかり家に引きずりこまれ失敗に終わった。


朦朧とした意識の中、家に運ばれ、気が付くと「死ぬのにしくじった」そう思った。


覚醒してからは、嫁と母親に思いっきり泣きながら怒られ、父親からは呆れられた。

今考えると有り難い事だと思える。


「死にそびれた」という思いが頭の中を渦巻き、隙さえあればいつ首を吊ろうかと考え「死」を考えない時間など無かった。


その後、うつ病の祖父から精神科の病院に入院する事を勧められ、今に至る。


精神病院への入院は怖かった。

精神病院という偏見が強すぎて牢獄のような場所に入れられるのではないか、まるで刑務所に入る気持ちのまま母親が運転する車に乗って病院へ向かった。


都市部から少し外れた高台にある病院。

山の上、都市部から外れた場所、牢獄を連想するには充分な材料だ。

簡単には逃げられない、死ぬ事すら許されない生活が始まるのだと、実感したのを今でも覚えている。


不安と緊張で喉が渇いた、あの気分の悪さは今でも忘れることはできない。


母親が受付をすませ、ベンチに腰かけ数十分待っただろうか診察の声が掛かった。


入院をするか、しないかを決める為に年配の医師から軽い尋問のようなものを受けた。


「死にたいって気持ちは今もあるのか?」

「いつから死にたいと思ったのか?」

「原因は何なのか?」


あまり覚えていないが、こんな内容の質問に淡々と答え、入院が決まった。


病室の案内を待つよう言われ、少しすると精神保険福祉士と名乗る女性から声を掛けられ別室へと移動する。

彼女の印象は彼女の方がうつ病なんじゃないかと思うほど無愛想で声が小さく、医師から質問されたのと同じ内容の質問をされ、私はそれに淡々と答えた。

なんだ?引き継ぎとか行われていないのか?と疑問を感じざるを得なかった。


やり取りが終わると、また受付のベンチで案内され待つよう促された。

30分ほど待つと松下由樹似の看護師から声を掛けられ、病棟へ案内されることになった。


入院する病棟は診察を受けた病棟ではなく入院する場所は別の病棟だと説明された。

隣の病棟に移動するだけでも鍵のかかったドアやエレベーターに何度も乗り降りをして、一回一回施錠を外し掛け直す看護師を見ながら、俺はついに檻に幽閉されるのではないか

、と恐怖心が高まる。


実際、行ってみると普通の病棟で色んなとこに施錠はされているが檻らしき物は見当たらない。木目調の綺麗な病棟だ。


個室へ案内され、ソファーに腰かけるように言われて入院の概要説明が始まった。

ここも緊張のせいか記憶が曖昧で、ただ注意事項のようなものを聞かされサインしたのを覚えている。


概要説明が終わると病室へ案内された。

4人部屋で各ベッドはカーテンで仕切られていると事前にその説明だけを教えられていた。


なんだ普通の病室じゃないか、と安心したのも束の間、4人部屋の同居人の1人が顔を出して来た。


大柄で顔は長渕剛に似た見るからに堅気ではなさそうな男性だ。


やはり刑務所なのではないだろうかと、油断し安心したのも束の間、不安が掻き立てられる。


既にこの部屋以外のベッドは埋まっており、変更等はできないと告げられていた。


「最悪だ」最初に思い浮かんだのはこの言葉だった。


このあきらかに堅気ではない方と同居することになるとは...

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