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第59話 ふたりの朝?

 わたしはいつも通りの時間に目がさめた。

 魔術の練習をしている癖が旅先までに出てしまった。

 せっかくの旅行中なので、もう少しゆっくりすればよかったななんて考えていると。

 なんだか、腕に違和感を感じる。

 なにか人の頭のようなものが。


 それに気がつき、わたしは目をしっかりと開けた。

 横には、カツラギさんが…………

 カツラギさんが……

 カツラギさんが


 わたしに抱き着いて眠っていた。

 声にならない悲鳴をあげる。

 どうしてこうなった……。


 

 陛下が目をさましたようだ。

 正直、ドキドキして、あまり眠れなかった。

 無理な姿勢のせいか、手が痺れてしまった。

「あ、あの、カツラギさん??」  

 王様が小声でわたしに声をかけてきた。

 どうしようか?

 もう少し意地悪してもいいかな?


 そんな悪いことを考えていると、王様の心音が大きくなったような気がした。

 そうとう緊張しているようだ。

 さすがに可哀想だから……


「おはようございます。王様」

 わたしはあたかも今起きたような声で、あいさつをする。

「あ、あのどうして、こんなことに……」

「昨日のことおぼえてないんですか?」

「えっ」

 彼の顔が少し白くなったように見えた。

「冗談です。王様が寝ている間に、どんどんこっちに来てしまって……」

「来てしまって?」

「覆いかぶさるように、寝返りを打ったんです(笑)」

「失礼しました」

「ビックリしましたよ」

 王様の顔が真っ赤になった。


 正確に言うと

「(わたしがあなたに)覆いかぶさるように、寝返り(笑)を打ったんです」

 だけど……。

 昨日の夜のことはわたしにしかわからないのだから、少し調子にのってしまった。


「恥ずかしいですね」

 王様は消えそうな声でそうつぶやいた。

「かわいいですよ、とっても」

 わたしはさらに王様をからかった。

「あんまりからかわないでください」

「本音です」

「くううう」 

 彼は変な声を出して、背を向けてしまった。

 でも、これがわたしの本音なんだからしょうがない。

「ごめんなさい、少しからかいすぎました」

 そう言いわたしは彼の背中にぴとっとくっつく。

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 冷静な王様が、小声だが発狂した。

 どんだけ初心なんだろ、このひと。

 ああ、楽しい。

 だって、好きなひとと、こんな何気ない時間を過ごせているんだから。

 本当に幸せだった。


 今日も楽しい一日がはじまろうとしている。

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