幕間3
不思議な夢をみた。
小さいころの夢だった。
わたしはまだ小さなこどもで、いつも遊んでいた近くの公園にいた。
久しぶりにスマホを操作したからだろうか。懐かしいあの世界は、セピア色だった。
いつもの公園は、いつもの光景ではなかった。
近所の子ではない見知らぬ少年がひとりで泣いていた。
もう夕方だというのに、たったひとりで泣いていた。
「どうしたの?」
とわたしは心配して、彼に声をかける。
彼は迷子になってしまったと言った。
わたしは彼を家に連れ帰っていた。お母さんに相談しようとしたのだ。
わたしは彼のことをお母さんに説明した。
お母さんはすぐに交番に電話して、こう言ったのだ。
「大丈夫だよ」と……。
お母さんは夕ご飯を用意してくれた。
それはポトフとカレーだった。
わたしたちはそれを美味しい、美味しいと喜んで食べた。
とても安心するご飯だった。
「食べたら一緒に交番に行こうね」
お母さんはそう言っていた。
男の子は「こうばん?」と不思議な顔をしていた。
「そう、交番よ。そこにいけば、あなたのお父さん・お母さんを見つけてくれるわ」
「本当!?」
「本当よ。だから、安心してね:
「うん」
男の子は大きな声で返事をして、笑顔を浮かべた。
今日、一番の笑顔だった。
ご飯を食べた後、わたしたちは3人で交番に向かった。
仲良く手をつないで。
交番に着くと、わたしたちは笑顔で別れた。
「またね」
とわたしは彼に言い、彼は元気に
「うん!」
と答えてくれた。
それ以来、彼とは会えていない。
彼の名前も思いだせない。
朝、目がさめると、わたしは静かに泣いていた。
どうしようもなく、涙がでたのだった……。




