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幕間2

「それではありがとうございました」

「うむ、また遊びにおいで。マイスイートハニー」

「師匠……」

「冗談じゃよ、冗談」

 わしは弟子といつもの漫才をくり広げた。やつらは昨日来て、今日帰るという弾丸ツアーでここに来たそうだ。もう少しゆっくりすればいいのにと、わしは無責任にそう思う。こうみえても20代まで<堅物のジジ>というニックネームがあったくらいなのにな。わしは過去に捨て去った異名をあざ笑う。


 あそこで、もう少し正直であったらな。今とは違った人生になるに違いない。今の性格は、その後悔で作られたもうひとつの自分だ。


 この200年間で、一体何度後悔したかわからない後悔をわしはくり返す。せめて、あの馬鹿弟子にはそんな後悔をしてほしくはないものだという親心みたいなものがそこにはあった。


「少し散歩に行ってくるよ」

 赤鬼たちにそう言って、わしは森に出向く。日光は木に遮られ、少しずつ影が深くなる。少しだけ昔話をしたい気分だった。あの戦争を知る友人と。そして、それはおそらくもうひとりしかこの世界には生きていないだろう。


「そろそろ、でてこい。昨日の男よ。いや、アイザックよ。たまには昔話でもせぬか」

 わしは森のなかにむかって、叫んだ……。わしの背中には、すでに炎が舞っていた。

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