街へ行こう1
空を巡った太陽が地平線にすっかり沈む頃、『死の樹海』の境界から少し離れた平原で野営を始めている一団があった。設営も一段落してそれぞれ思い思いに動く人影は六つ。少し前にようやく森を脱したセレスティナ一行である。
「……よし完成だ! はい、どうぞ召し上がれ、可愛い恩人さん」
『――セラ、食べるように促しているようです』
「あ、エット……ありがトう、ごザイます」
「どういたしましてってね。喋りもなかなか上手くなってるね!」
『――褒められたみたいですよ、セラ』
「あ、ありガとう、ゴざいマす」
「あぁんもう、可愛いな!」
差し出されたスープ入りの椀を受け取ったセレスティナがたどたどしい発音のお礼を聞いた女は何か琴線に触れたらしく、堪えきれないといった様子で小さな身体を抱きしめようとした。がしかし、すぐ隣に控えていたアレイアが即座に割って入って阻止される。
『少し自重してください、ライラさん。あなたが今の状態のセラに抱きつけばそのスープがセラにかかります』
「え? ……あ、スープか。ゴメンゴメン、今あんたの分もよそうからさ」
『――私は食事を催促したわけではありませんよ?』
セレスティナの抱える椀を指さして言ったアレイアを見て勘違いした斥候の女――ライラがいそいそとスープをよそい分けるのを見ながら、立ちはだかる言語の壁に仮面の眉間を押さえたアレイアであった。当のセレスティナは渡されたスープ入りの椀を抱えながら、その様子をキョトンとした顔で眺めている。ちなみになぜアレイアが一方通行ながらも通訳を行えているかというと、同じ憑依体にいるガウルからリアルタイムで翻訳を受けられるため、聞き取りに限れば内容をしっかりと理解できているからだ。
あの後同道することとなった一行は、意識を失っているルースの仲間二人を抱えて樹海の外へと向かった。負傷者運搬の内訳は斥候の女をルース、魔術師の少女をアレイアが担当し、グウェンは特大の背嚢二つの運搬とセレスティナのお守りをアレイアから命じられた。最初は力のある男だからと運搬を引き受けようとしていたのだが、下心をうかがわせる笑みを見たアレイアがすげなく却下したのだ。その時の至極残念そうにしているグウェンの様子を、純真なセレスティナは不思議そうな顔で首を傾げながら眺めていた。
出会う魔物をグウェンが片端から斬り捨てつつ急ぎ足に外界を目指す道中、運ばれていた二人は目を覚ました。影も形も見あたらない負傷と増えている同行者に戸惑う仲間二人にルースが軽く事情を説明したりなどもあったが、半日をかけてどうにか日が暮れる前に樹海を抜けることができたのだった。
そしてその瞬間、ルース達冒険者組は大きく安堵の息を漏らしていた。頼れる仲間を一人失い、自分達も死ぬ直前まで追い詰められたのだ。セレスティナ達が居合わせなければ二度と目の前の光景を見ることができなかったのだと思えば、感慨もひとしおだろう。
完全に日が沈む前に樹海から距離を取り、比較的安全だろうという場所で野営の準備を始めた一行。ちなみルース達は逃走の際にほとんどの荷物を投げ出していたため、資材や食料はセレスティナ達の物が利用された。もっとも、彼女達の旅支度はそれを必要とするセレスティナ一人分の物であったため十分とは言い難いのだが、それでも何もないよりはマシである。
「メルフィエ、さン、これハ、なニと、いうマすか?」
「ああ、ええと……《外身の名は「椀」、内に在りしは「スープ」》」
「わン……すープ」
「《なお加え、先の言は正しきに「何と」及び「言いますか」》。何と言いますか」
「なんト、いイますカ」
気を取り直したセレスティナは、アレイアとは反対隣に腰を下ろしている魔術師の少女――メルフィエに受け取ったばかりのスープを掲げて尋ねれば、メルフィは身体を緊張させながらも魔導言語を交えて返答。セレスティナは間に織り込まれた西ラーブル語――この辺りで広く使われている現代語を反復した。
いったい何をしているのかというと、道中でアレイアから『話が通じないなら支配もできない。世界を征服するためにも、まずは言葉を覚えることが重要』だと諭されたセレスティナは、自ら積極的に西ラーブル語を学ぼうとしているのだ。どうにも自分達の話す言葉がこの時代ではマイナーらしいことを受けて、それを広めるよりはすでに広まっている言葉を自分達が覚えた方が早いというアレイアの判断からだ。
下僕二人の能力に絶大な信頼を置いているセレスティナは森を移動中も何くれとなくルースに話しかけて言葉を学び取ろうとし、過剰なまでに周囲を警戒していたルースも恩人である彼女を無下にできず、言語の壁に頭を悩ませながらも指し示された物の名前や基本的な動作の呼称を繰り返して伝えた。そのおかげでただでさえ遅いペースがさらに遅くなりはしたものの、元々物覚えの良かったセレスティナは着々と単語を覚えていった――そこまでは良かったのだが、いかんせん共通の言葉がないので文法はどうしようもなかった。
しかし、その状況はメルフィエが目を覚まして喉を潤すために水を生み出す魔術を行使してから一変した。なぜならその呪文の内容がセレスティナにも理解できたからである。
魔境の奥地から出たことのなかったセレスティナは知らなかったのだが、元来魔術を行使するための呪文に用いられる魔導言語というものは、一定以上の魔力を持つ人間でなければ発音も聞き取りも不可能である反面、使用する魔術系統によらず共通という奇妙な言語体系なのだ。
それがなぜなのかは大昔から『世界のありように影響する高次元言語であるから』や『力ある言葉であるため、扱うには一定の資格を要する』など諸説あるのだが、逆に言えば魔術師であれば誰でも理解でき、かつ個々人の性質に合わせた呪文が構築できるほど自由度の高い言語であるため、会話に転用すること自体はさして難しくない。なにせこの世界の魔術師の間では、一般に秘匿したい事柄に関しては魔導言語を用いてやりとりするくらいなのだから。
かくしてセレスティナは魔導言語を用いてメルフィエに教えを請うたのだ。そして請われたメルフィエは大いに戸惑ったものの、魔導言語で意思疎通が可能だとわかったルースが頼み込んだことで承諾、先の会話のように合間合間で西ラーブル語を教えているのだ。
そしてセレスティナは元々齢十四にして一通りの魂霊術を修めるほどの聡明さを持つ。そのため慣れない故に発音こそたどたどしいものの、すでに基本的な文法は押さえ、ごくごく簡単なやりとりなら成立する程度にはなっていた。
そんな風にひたむきに努力を重ねるセレスティナの姿をこの場のほとんどの人間が――元死人を含めて――微笑ましいものを見る目で見守る中、調理担当であったライラの手によって全員にささやかながらも夕食が行き渡る。ルース達冒険者組が食材の提供に感謝しつつ猛然と器を空にしていく中、野外にもかかわらずいつの間にか荷物の中から用意された小さなテーブルに向かって行儀良くスープを口に運ぶセレスティナと、そんな主人を見守るだけで食事には一切手を付けようとしない下僕の二人。
「――あれ、食べないのかい? アタシが手を加えたとはいえ、元々あんたらのものだったんだ、遠慮することないよ」
それに気づいたライラはテーブルのことは華麗にスルーしつつも食事を促したが、実のところ魂霊術で創り出された下僕は主人の魔力によって維持されているため、栄養摂取という意味では一切の食事を必要としない。しかしながらそれを知らず、セレスティナ達のことは道中で『危ういところを救ってくれた命の恩人』程度にしか聞いていなかった彼女は単純な親切心からそう言ったのだ。
ちなみに生物型の憑依体であり、かつセレスティナが丹誠込めて作り上げた人型の肉体を持つグウェンは味覚を有しているため食べ物の『味』を楽しむことはできるのだが、そうすると非生物型の憑依体にいる先達から猛烈なブーイングが浴びせられるため自粛している。さすがのグウェンも食べ物の怨みの恐ろしさは生前の経験からも身に染みているのだ。
さておき、未だ円滑とは言い難い意思疎通を考慮して早々に理解を求めることを放棄したアレイアは、『わかっているな』と言わんばかりの雰囲気をかもし出しながら仮面の目を真っ直ぐルースに向けた。それを受けて若干気圧されつつも、ルースは改めて聞かされていたセレスティナ達の事情――当然カバーストーリーの方――を仲間達に伝えた。
「こんな可愛い子が、追放……」
「伝承にある死霊術師――いいえ、正しくは魂霊術師と言うのですね」
そして偽りながらも十分に衝撃的な事情を聞かされた二人の視線は自然とセレスティナに向いた。説明中は妙に品よく食事を続けていたセレスティナであったが、一同の視線が自分に集中していることに気づいて同行者を見回すとにっこり微笑んだ。もちろん未だ断片的に単語を判別できる程度なので話の内容は理解しておらず、とりあえず笑ってみただけである。
「――ああ、可哀想に!!」
それを見て辛抱堪らずと言った様子でセレスティナに抱きつこうとするも、さっと割り込んだアレイアにあえなく阻まれるライラ。ちなみに、相手が女性と言うことでグウェンの接触はアレイアが固く禁じている。
「……ルースさんは、彼女についてどうするべきだと思っているんですか?」
対してメルフィエはルースに向き直ると、固い口調で問いただした。
「どうするって、当然クランバートまで案内するつもりだよ」
「……その後は?」
「後は、それだけで命の恩を返せるとは思わないし、できるだけ手助けして――」
「彼女達が世界征服を望んだら、それを手伝うつもりですか?」
返答を遮って発せられたメルフィエの問いかけに、ルースは表情を固くした。
「……それは、彼女を追い出すためにひねり出された口実だろう? まさか本当にそんなことを――」
「経緯はともかく、事実としてあの子はその口実を鵜呑みにして生まれ故郷を発ったんですよ。そして幸か不幸か、森を出てしまいました。その苦し紛れの口実を自分の使命と未だ思っていても不思議じゃないと思いませんか?」
そう言ってセレスティナの方を見やるメルフィエに釣られ、ルースもその視線を追った。
そこでは静かな攻防が繰り広げられていた。攻め手はルース達の頼れる斥候、ライラ。普段は陽気で快活な彼女の顔は滅多にないほど真剣だった。それこそ『死の樹海』の奥地に踏み入った時と負けず劣らずなほどである。
対する守備側はセレスティナにかしずく謎の仮面、アレイア。常から凛と研ぎ澄まされた彼女はすでに完全な臨戦態勢であった。その表情をうかがい知ることはできないが、雰囲気から察すれば張り詰めたものであるに違いないと確信させられる。
ライラは斥候として培った体捌きを駆使し、巧みなフェイントを織り交ぜつつアレイアの守りを抜けようとしている。しかしながら迎え撃つアレイアはその変幻自在な動きを冷静に見極め、一歩も通すまじと不退転の姿勢を見せている。
そんなアレイアの背後では守られるセレスティナが不思議そうに、かたわらのグウェンは物欲しそうに、二人の無駄に高度な攻防を眺めていた。
……見るからに馬鹿らしい、実に平和な光景がそこにはあった。
「……不思議じゃないと思いませんか?」
非常に多大な努力を以て気を取り直したメルフィエは、再びルースを見つめると今の光景を見なかったかのように問いを重ねた。
同じように毒気を抜かれつつも、彼女の指摘には理があるとわかっていたルースは慌てて弁護に走る。
「だ、だけど世界を征服するなんてどう考えたって無理に決まって――」
「確かな伝承として一時は世界を制覇したとされている『死人の魔王』、それが用いたとされる魔術を受け継いでいるんでしょう? どうして無理だなんて言い切れるんですか?」
「それは……」
いちいち筋の通ったメルフィエの言葉に、ルースは言葉を詰まらせるしかなかった。彼としてはそこにいる小さな少女が世界を征服する様がまるで想像できないのだが、出任せとしか思えない言葉を信じているらしいのは聞いた話から簡単に想像できる上、成し遂げるだけの力を持っている確率が高いのも動かし難い事実である。
「――要はあのお嬢ちゃんの気質の問題ってことだろ?」
そこにひょっこりと首を突っ込んだのは仮面の人物。
「アレイアさん……ですよね?」
「いや、ガウルなんだろ。どうしたんだ?」
割り込んできたのは主に迫る不届き者の前に立ちはだかるアレイア――ではなく、流ちょうに砕けた西ラーブル語を話すことからわかるように通訳の任を負ったガウルだ。漏れ聞こえる話の雲行きが怪しくなったことを聞き取ったため、アレイアは守備をグウェンに任せてルース達への介入を優先したのだ。会ったばかりの他人の貞操よりも自らが仕える主の行く末の方が重要なのは言う必要がないことである。
説明はされたものの、この姿になったガウルとまだ話したことのなかったメルフィエは急に雰囲気の変わった仮面の人物を訝しんだが、すぐに判別することができたルースは何か用があるのだろうと話を促した。
「アレイアさんから『説明不足による誤解の解消のため』って替わってもらったんだよ。まあその前に、メルちゃんも無事――とは言い切れねぇが、とにかくよかった」
「……話には聞きましたが、本当にガウルさんなんですか?」
「おうよ。まあ信じられねぇ気持ちもわかるがな」
「……わたしが受けたルースさんの誘い文句は?」
「『君が必要とするなら、俺は剣として君を守るよ。君の声が響く限り、絶対に誰にも手出しはさせない』」
「それを聞いた師匠は?」
「大・爆・笑。ついでにメルちゃんは耳まで真っ赤っか。あれは実に傑作だったな」
「……本当にガウルさんなんですね」
流れるように行われた本人確認を聞いて微妙な表情を浮かべるルース。毎度同じネタで身に覚えのないからかいを受ける彼としては可能なら避けたいのだが、それで話がまとまるならと忍の一字で耐えていた。
ちなみに、その時のルースは剣士として仲間の魔術師を守り抜くことを誓っただけのつもりであり、その発言が口説き文句に等しかったという自覚は全くなかったりする。
「それで、気質の問題と言いましたね? 誤解があるとのことでしたけど、どんな誤解があるんですか?」
「それがなんでも、お嬢ちゃんは『世界を征服するにはどうしたらいいか』ってことをアレイアさん達に聞いたそうなんだよ。まあ、ある日いきなり『世界征服してこい』なんて何も知らない子供に言ったらそうなるわな」
「まあ、確かに……じゃあ、あの人達はなんて答えたんだ?」
「聞いて驚くなよ? 『出会う人を助け、友誼を結ぶのです』って言ったんだと」
予想だにしなかった答えを聞いてポカンと目を瞬くルースとメルフィエ。ガウルも戸惑う気持ちはわかるとばかりに何度も頷いていた。
――当然のごとくこの説明は作り話なのだが、しかし端的に真実を言い表してもいる。
本来、魂霊術師にとって魂霊とは隷属させる対象である。ゆえに術者である自身を上位に置いた支配関係を形成するのが必然であり、対話を行おうという発想すら浮かばない。
しかしながらセレスティナは自らの生み出した魂霊といえど、未だかつて粗略に扱ったことはなかった。強い未練を抱え嘆き荒ぶる魂へ穏やかに語りかけ、その想いに共感しては時に涙し、時に励まし、懸命になって未練の解消に挑む。魂霊術師の常として代償に共にあることを望むがそれでも決して縛ることはなく、未練を解消した魂が望めば契約を破棄して別れを惜しみながらも輪廻に戻しさえする。
つまるところ、性根の優しい彼女にとって魂霊とはただ使役するためだけの物ではなく、確固たる意志を持った対等な存在なのだ。ゆえにセレスティナにとっての『下僕を作る』ということは、一般的に言えば『死者と友誼を結ぶ』のと変わらない。それこそが彼女と契約を結ぶ魂霊達が一致団結し、魂霊術師の一門に対してひた隠しにしてきたセレスティナの魂霊術師としては異端な、しかしながら好ましい本質であった。
だからこそ、世界を征する方法を母親から『下僕と同じにするように』と諭されたセレスティナは、世界を征服するための手段が『友誼を結ぶ』ことだと思いこんでいるのである。下僕代表として旅立ちの場に居合わせたアレイアとグウェンはセレスティナが母親に助言を求めたときは焦りを覚えたものだが、結果的に彼らが最も望む形に落ち着いたので万々歳であった。
そして真実に方便を合わせた言い分を聞いたルースとメルフィエは改めてセレスティナを見やった。
そこにいるのは未だ幼さの残る可愛らしい顔立ちをした、小柄で華奢な少女。守り手がグウェンに交代してからいつの間にか攻守が入れ替わり、鼻の下を伸ばして怪しく両手をうごめかせながら目にも止まらぬ速さで腕を伸ばし、そのあまりの速度に回避はおろか防御も間に合わず、いいように身体を触れられては悲鳴を上げるライラという攻防の様子を前に、どうしていいのかわからずにオロオロとしている。それはとてもではないが伝承にある『死人の魔王』の様に恐怖と絶望を振りまく光景は思い浮かぶはずもなく、むしろ『世界中に友人を作る』などと微笑ましいことを言われた方がすんなりと納得できる姿だ。
真面目な雰囲気を維持すべく仲間の醜態を見なかったことにした冒険者一同は、再び顔を見合わせるとしばしの沈黙を挟んだ。
「……俺は信じる。見ず知らずの俺達の窮地を知って駆けつけて、死にかけるほどの傷を治してくれて、その対価に『近くの街まで連れて行って欲しい』なんて程度の要求しかしないんだ。まだ出会ってそんなに経ってないし言葉もろくに通じないけど、それでもあの子が優しくて純粋な心を持ってることくらいはわかる」
「……わかりました。ルースさんがそう言うなら」
「まあ、オレもあの嬢ちゃんが力で無理矢理言うことを聞かす様子なんかちっとも浮かばねぇしな。それでも心配なら命の恩を返すまでしばらく一緒にいてればいいさ――え、あ、はい。じゃ、話もまとまったしオレは引っ込むからな」
それぞれの結論を聞き届けた所で仮面の身体から力が抜け、次の瞬間には凛としたたたずまい戻る。
「ありがとう、ございます。よろしく、お願い、します」
「ああ、アレイアさんか。うん、こっちこそ教えてくれてありがとう」
そう言って自然に手を差し出すルース。それを受けてアレイアは一瞬驚いたかのように差し出された手を見つめたが、すぐにその手を取るとしっかりと握手を交わした。
その様子を複雑な表情を浮かべながら見守るメルフィエ。もう一人の仲間にも意見を求めたいと思ってそちらを見れば、いつの間にか攻防は終結していたようでひどく満足げなグウェンと、その足下で顔を上気させ荒い息をつきつつ倒れ伏すライラ、そしてそれを健気に介抱しているセレスティナの姿があった。当のライラは悔しげながらもセレスティナに世話をされて若干満足そうであり、控えめに言っても参考となる意見は聞けそうにない。
メルフィエは少しばかり憂鬱そうにため息を吐いたものの、それ以外はさしたる問題もなく夜は更けていくのだった。
セレスティナの世界征服計画、作戦名『友だち万人できるかな?』。
ちなみにこの場合の『万人』は一万人じゃなく、あらゆる人と言う意味の方です。