value
もし暴力が正義ではないのなら、正義の味方が暴力なんて用いちゃいけない。よく"正義„と対になって言われるものがある。それはもちろん"悪„である。もし正義の味方がしていることが全て正しいとするなら、それは努力の否定になるんだ。なぜなら正義は悪を成敗すること以外をまず目指さない。その為にしか努力ができないのだ。逆を言うならば悪には野望、いやはっきりとした目的がいつもそこにはある。それは世界征服しかり、地位や名誉の獲得である。そして悪はその推敲なる目標の為に日々精進、努力を惜しみなくする。そしてその悪のことも知らずに、ただその努力を水に泡にするように奪いさるのが、
"正義„ なんだ。
そう、その悪を成敗する手段こそ暴力なんだ。
なんて聞いたら、どっちが悪かどうかなんてすぐにわかるよね?
「間違ってなんかない。僕はこの教室に出なければいけないんだ。どんな手を使っても。」
(そしてこの状況下に置き換えたってそうだ。僕はこの教室から出る。その推敲なる目的のために正義だって使ってる暴力で、解決を試みてるんだ。だってそうだろ?僕の推敲なる目的を阻む者は誰だろうと、たとえそれが柏木だったとしても僕は止まらない。そう決めたはずなのに。どうしてなんだ。どうして俺が泣いているんだ!。)
涙が止まらなかった。やはり自分は弱い人間だったのか。違う。絶対に違う。
「...ぁ、あれなんだこれ、別に悲しくなんてないのに、、」
涙を拭い、精神を統一するのに手こずっていた間、足と手はいつの間にか暴力をやめていた。そして僕の前にいる虫の息である柏木に問いかけた。
「僕は間違ってないよね?」
「.......うん。」
そうゆっくりと柏木は僕に返してくれた。けど暴力をする気いや、この教室に出ようという意欲さえなくなって感じがした。
目的がないほど自分の意味がわからなくなるのだ。
「...けどさ、暴力はひどいょ。..一応私女の子
なんだ..よ?」
「そうだ...ね。こんな状況にした張本人が言うのもなんだけど、答えがわかっちゃった。」
僕はまっすぐ柏木の目を見た。その目はNPCなんかじゃないとはっきりわかった。NPCのように操られていたのは実は僕なのかもしれない。いや邪推か。
「....っていって..も この教室から出られるのは1人なんだ..よ?」
「ああ、そうだと思ったよ。けど違ったんだ。今回の問題で教室に出れる人はいないんだよ。まず規則として、この教室に残ろうと思うなら紙に解答欄に記入せよしか書かれてないでしょ?」
不思議な顔でこちらを見てくる柏木。
「..つまり?」
「つまり、紙に書いたところで何も起きないってこと。だって何も言ってないし、書いてないじゃん。あの声はただ選んでくださいとしか言わなかった。教室から出られるとは言ってはいない。同時にこの紙にしたって残る人を決めるだけであってその人が一生教室に囚われるとも書いていないからね。」
そう言って僕は柏木に手を伸ばす。細いその手に向かって
「..ぁあ、なんだ。じゃ...あぁ、私はただの殴られ損だったん..だね。」
ちょっと不満な顔だが言葉は笑っていた。そして僕の手を握り立ち上がった。
「改めてというか、ほんとうにごめん。全部僕が悪かった。といっても許してはくれないだろうし、許されることをしてないから仕方ないんだけど、けど、柏木は正しかった。それだけは本当だったよ。」
「うん。あの状況なら、、まあ仕方なくもなくもないかも、痛かったんだよ。ずっと我慢してんだんだよ。だって好きな人にこんなにされたら流石に辛いよ。」
不意打ちだった。まさか告白してくるとは、思いもしなかった。
柏木は笑って、傷だらけの状態の最高の笑顔を僕に見せてくれた。
「うん。後でゆっくりと話そう。二人で教室出た後に。」
そう言って二人は互いに笑顔で見つめあった。この教室に来て1番の幸せだった。生まれてからの1番の幸せだった。
(もう間違えない。
違う。間違う、間違えるじゃない。僕は、やっぱり自分本位だったんだ。僕はもう柏木のために、その為にこの教室を抜けてやる。)
毎日投稿とか言ったくせに最近全く投稿できませんでした。多分次かその次かで一章は終わるつもりです。




