Subjectivity
主観とはいつも恐ろしい。相手の思っていること考えていることすべてわかった気でいて、自分だけが全て知っている気になってしまうから。いやそれこそ実は盲点なのかもしれないね。
(天邪鬼かぁ、って天邪鬼って何だ?僕が思う天邪鬼な人は、んーダンガン◯ンパの狛◯かなぁー。ならそれの真似すればいいってことか!)
僕は天邪鬼に柏木は話しかけた。(のかな?)
「柏木さん、君はなんて美しいんだ!、ああ僕みたいな、ただのモブが君みたいな希望あふれる存在と一緒に行動ができるなんて、なんてついているんだ。」
「んーそうだね〜赤松くん。けど今はそんなじゃれ合いしてる暇はないんでしょ?」
どうやら通じていなかったみたいだ。さてどうしたものか。
いいやこのまま続行で行こう。やんわりと理解させるんだ。やんわりと。
「っはは、君みたいな素晴らしい才能を持った人と話すことを僕は無駄だとは思わないけどね。けどそっちが嫌なら仕方ないかな。」
「あーわかったって、じゃあとりあえず当てずっぽうで言ってみるよ。
"口調を変えなさい„とか?」
微妙に的がずれている。しかし方向性は間違っていない。少しずつ修正していけばいい。
少し他のところに目を配る。どこのペアもこれといって進んでいるようには見えなかった。
いや他のペアを確認できるほど僕らにも余裕はなかった。
「確かに的を射てるのかもしれない。けどねそれだけじゃ君はただの価値ない人間になっちゃうんだ。よくも悪くも人間っていう生物は固定観念に囚われてしまう。君はそうじゃないだろ?」
「固定観念ですか..よくわかんないや。けど今の赤松くん誰かのモノマネしてるよね。多分それはアニメキャラでしょうかね。」
あとはそのキャラの名前を伝えれば言い訳か。というかそもそも初めからそう言っておけば早かったかもしれないのに。
まあ仕方ない。自己紹介をしようか。
「アニメに出てくるような立派な人間には僕なんかがいるわけがないよ。さっきも言っただろ。モブなんだよ。運がいいだけなんだ。あぁ、自己紹介がまだだったね、けど僕の名前なんか伝える価値もないか..。」
自己紹介は結局しなかった。いやできなかったが、収穫はあった。
「あー何でそう変な感じになるかな、落ち着いてよ。あってるのならそれらしいこと言って欲しいし、間違っているならしっかり否定して欲しいんだけど?」
これはいける。答えは出ている。あとはほんの少しだけ背中を押すだけだ。
「君はつくづく面白い人だなぁ。さっき僕は言ったよね。固定観念に囚われちゃダメだって。君みたいな希望の象徴がこんなところでくじけてちゃダメなんだ。」
僕は前にいる柏木だけをみる。ただまっすぐに前にいる柏木のみを信じて。僕は続けてこう言った。
「でも君が本当にわからなかったとしても、それはそれでいいと思うんだ。僕はただ君の役に立つことがしたいだけなんだよ。そのために君がなすべきことは僕を踏み台にして前へ進むことさ。」
それらを聞いた柏木は多少、いやだいぶ参っていたみたいだが、とうとう欲しかった言葉を言ってくれた。
「んーそうだね。固定観念ってそういうことかぁ〜。まあ答えるよ。赤松くんの規則は、
"天邪鬼„になることだね? だけど私は踏み台になんかしないよ。」
「いいや、違うよ。君はそうするべきさ。」
僕は笑った。ついに生き残ったんだと。3度目の教室にして、僕は初めて笑った。
周りの人たちは今も必死にペアの人に気づかせようと努力し、ペアの相手も必死にそれを気づこうと努力していた。しかし勝ったのは僕だった。そんな中でもやっぱり笑いが止まらなかった。
そしてまたあの声が聞こえた。嫌いな声のはずなのに、今回ばかりはなぜか待ち遠しかった。
『えー校内放送、校内放送。今回の問題の正解者は赤松、柏木ペアでしたー。っハハハハハ』
自分たちの敗北を知りうなだれ、消えていく他のペアの人たち。その光景を目の当たりにしても、僕の表情が締まることはなかった。
柏木が不思議に思ったのか心配して、なのかは定かではなかったが、僕に対して何かを言っているようだ。興味はない。
「..んで?なんで、人が死んだ、いや消えたのに笑ってられるの? おかしいよ、赤松くんは一体どうしたの?」
「彼らはNPCなんだよ。彼らに人格なんてない。あるのはただの命令されて動く体と感情だけ。それだけのことなんだ。だから悲しくなんかない。」
「どうしてNPCだ、なんてわかるの?NPCと普通の人間の違いってじゃあ何?、私は赤松くんからNPCに見える?」
表情はあまり明るくはなかった。それどころか、瞳には涙が溜まっているように見えた。
いや、ここまでくると柏木が本当に普通の人なのか、それともNPCなのかわからなかった。
柏木という僕の知っている人が "そこ„ つまり僕の前にいる。それだけで充分じゃないのか。
そしてそれは消えていった30名の生徒全てに当てはまると気づいた。
もう頭がごちゃごちゃだった。気づいた時には遅いなんてよくあることだ。そんなことは前々から知っていたはずなのに。
結局僕が見ている世界は狭いことがわかった。
「そうだね。」
僕が今の頭で返すことのできる精一杯の返事だった。
教室に残っているのは2名。しかし教室は僕らを未だ解放しようとはしなかった。
今回は比較的和む話にしたつもりですが、どうでしょうか?今回み最後まで読んでいただきありがとうございました。




