possibility
2度の死から学んだことは3つあった。
一つは自分から問題に向き合わなければならないこと。
もう一つは1回目と2回目ではそれなりの誤差があったということ。
しかし何よりわかったことは、"忘れ物を取りに行かない„ことだ。
忘れ物を取りに行かず 教室へ入らなければ、そもそも死ぬこともないし、わざわざ危険を顧みて問題を解く必要もないのだ。
つまり、僕は "生き残る „為に "逃げる„のだ。
そうして僕は教室へ忘れ物を取りに行くこともなく、ただまっすぐ自分の家へ帰った。
まあ色々あって疲れたのだろうか、家に着くとすぐにベッドへ行き、倒れるようにベッドへはいって、瞳を閉じた。
すると、すぐに声が聞こえた。
(..赤松くん、逃げちゃダメだよ。)
なんだか懐かしい声だ。その声が僕を知っているように僕もその声を知っていた。
( 逃げちゃダメ?僕は、、)
(私は君を助けられなかった。そしてあの教室で本当に消えたのは私だけ。いや、もう本当はもっと消えてるのかもしれない。あの教室内で3回死ぬと本当に消えるんだよ。)
何を言ってるんだこの人は?流石の僕も意味がわからなかった。しかし言葉は出た。
(大丈夫だよ。僕の場合死んでも元に戻るんだから。そういう力を手に入れたんだよ。でもね、あの教室は危険なんだ。苦しいんだ。だから逃げてもいいでしょ?)
(ダメだよ。だって赤松くんは言ってくれたでしょ、「必ず一緒に出よう」って。けど私はもういない。これが最期みたい。教室から抜け出して...」
その声を聞き終えると意識が戻り目が覚めた。
「ようやく忘れ物の正体がわかったよ、ありがとう柏木。」
外を見るが空は夕暮れのままで、時計も全く進んでいなかった。
いや、進んでいるのは僕だけのように思えた。
その後すぐ足速に教室へ向かった。
教室まで走って行きついた時には少し過呼吸になっていた。しかし苦しくはない。やることはただ一つ。この教室から出ること。
そして、教室の横の廊下で立っている山川を無視して、僕は3回目の教室へ足を踏み入れた。
僕が席に着くと山川が皆を起こした。
「よし、これで全員揃いましたね。みなさん起きてください。」
その一言で皆はまるで何度も見たような光景になっていた。
しかしなぜか僕の目にはみな予定通りに動かされてるように見えた。
その中に柏木の姿もあった。しかし声はかけなかった。
自分に自信がなかったから、かもしれない。いつもと違う友人の姿を見るのは思った以上にこたえた。
そして山川が淡々と皆へ第1問を質問した。
「ここにあなた方を閉じ込めた犯人がいます。その犯人を特定すれば先に進めます。しかしそれだけではつまらない。そこで規則を設けました。あとは机にある髪紙を参照してください。」
もう迷わない。協力も惜しまない。
(さあ安楽よ、いつものように僕に意見を求めてくれ。今度こそ正解へ導くよ。)
しかし、この教室に安楽という男はいなかった。
いやクラス全員で35名はずが、いつの間にか32名になっていた。
僕以外の人はただただNPCのように慌てるだけだった。
1日2本の投稿。これならリア友も許してくれるかな。できれば一日1話ペースでいきたいと思ってます。最後まで読んでいたただきありがとうございます。




