ホットミルク!
この小説を読んでほんわかしていただければ幸いです。
これは、とある双子の兄弟の、子どもの頃の話。
その兄弟は、それはそれは仲良しなこと。近所でも結構可愛がられてました。
ここまでなら、普通の仲良しな兄弟なのだが、2人にはお互いに教えていない秘密があるのです。
(※この小説は、「ホットドリンク」の過去編みたいな感じのものとなっております。多分この小説だけでも読めると思いますが、良かったら「ホットドリンク」の方もお読みください。)
兄弟が小学3年生の冬。
2人は、帰宅する途中でよく寄り道をしていました。
そこは、小さな神社。そこには、日光の眠り猫によく似た猫がいるのです。
2人が神社に着くと、猫の方から出迎えてくれました。
兄は、「ネムリ~!待ってたか~?」と尋ね、
弟は、黙って喉を撫でました。
ネムリと呼ばれた猫もそれに答えるかのように、喉を鳴らしながら、「にゃぁ」と鳴くのです。
弟が、「ネムリ、気持ちいいの?」と聞くと、ネムリは頬を擦りつけます。
兄は、「相変わらず可愛いなぁ~!」と無邪気に笑い、色んなところを撫でまわしました。
そんなこんなで日が暮れ、2人は「そろそろ帰らないと」とお互い同時に言い合いました
2人は同時に同じことを言ったことで小さく笑いました。
そして、神社の賽銭箱に10円を二枚入れ、ネムリに猫缶をあげて、帰宅しました。
弟は普通に「ただいまー」と。
兄は妙にアレンジして「たー↑だー↑↑いー↑↑↑まーぁぁぁぁ!!」と歌うように言いました。
お母さんは苦笑いしながら「おかえりなさーい」と言いました。
夕食の時にネムリの話をして、兄弟2人で風呂に入り、歯を磨き、2人同じベッドに入りました。
「お兄ちゃん」
「んー?」
「今日もネムリ可愛かったね。」
「そうだな~。」
「そういえばさ、ネムリってオスなの?メスなの?」
「あー、そういや考えたことねぇな。どっちなんだろ。」
「もしオスだったらさ、今日お兄ちゃんが可愛いって言ったのそんなに嬉しくないんじゃない?」
「あはは、そうだな~」
「それじゃ、お休み。」
「おやす~」
時計の秒針の音と、兄のいびきで弟は目が覚めた。
横を見ると、幸せそうな顔していびきをかく兄がすぐそばにいる。
弟はそんな兄を可愛いと思った。
でもさっき自分で言ったように、男である兄に「可愛い」だなんて言ってもドン引きされるだけだなと思った。
そして、兄弟は一卵性の双子なので、顔がとても似ている。
つまり、兄の寝顔が可愛いと思うのは、自分の寝顔が可愛いと思うのとほぼ同じなのだ。
それでも、可愛いもんは可愛いんだと、自分の意志は否定しなかった。
そして、兄の額に軽くキスをして、自分も眠りに落ちたのだった。
ネムリは結局オスだったのかメスだったのか、それは私にもわかりません。