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記念すべき会議室

 めでたく部員が増えたところで、早速我らが管理棟防衛部に今年度初の依頼がやってきた。

「三年生の生女栄(しょうじょえい)さんから、会議室の掃除をお願いします。とのことだよ。」

その生女さんはどうやら生徒会に属しているらしく、つまり生徒会からの依頼である。

そんな棗の知らせに少しだけ背筋が伸びる一同。

「すごーい!!本当にこんな風に依頼がくるんだあ。」

「意外としっかりしてますね。」

最初の依頼に、早川さんと佐々本さんはなんだか楽しそうである。でもきっとそれは最初のうちだけだろう。

 いくら管理棟での問題解決といっても、そこまでたくさん問題が起こるわけでもない。よって、自然と生徒会の雑用が増えるのだ。その証拠に霧島は、依頼主の名前を聞いた途端に普段明らかに読んでいないであろう、わけのわからない参考書のようなものを読み始めた。


「ということで、今から会議室へ向かうよ。さあ、準備。」



 そして五分後。

 会議室についた俺たちは、ジャージに着替え、雑巾片手に部屋の中央に突っ立っていた。

「掃き掃除は普段から誰かがやってくれてるみたいだから、拭き掃除やるよー。」


……これは俺の出番だな………


「よーし。者ども一斉に作業に取り掛かれーーっ。」

「はいっ!隊長!!」

まっすぐに、細い腕を上げる。

「なんだい、早川クン。」

「隊長は何をされるのですかっ。」

まったく……これだから早川クンは困ってしまうよ。

「俺は指揮をとr・・・」

「それじゃあ、僕と佐々本が壁。霧島さんと早川さんで床を掃除する。でいいかな?」

「「「イェッサーーーっっ!!隊長ぅぅうう!」」」

棗の指示で、部屋のいたるところへ散らばっていく部員たち。その中部屋の中央に取り残された俺と棗。

「あの・・・、俺はどこを掃除すればいいのでしょうか。隊長。」

棗はこちらへ振り向き、男子とは思えないくらいきれいな笑顔を見せて、

「天井。」

たった二文字で答えた。

「天井?」

「天井。」


・・・・・・


「マジで天井?」

「本気で天井。」


・・・


「俺、自分でいうのもなんだけどよ、背、170cmもねえぞ。」

「知ってるよ。」



「なあ、棗……」

「何?季流。」

「………ごめん。」


************************************


「ねえ乙葉ちゃん。」

「どうしたの?藍佳ちゃん。」

霧島たちが話し始めた。俺は二人の話に右手を動かしながら耳を傾けた。

「乙葉ちゃんさ、どうしてここの部活を選んだの?存在すら知らない人とか結構いるけど。」

うーん。と少し考えてから早川さんは話し始めた。


「簡単に言うと、いろんなことが体験できそうだなと思ったんだよねー。それと、人数が少ないところ。

あたし、大人数があんまり得意じゃなくてさ。本当はバレー部やめた後何か部活やるつもりじゃなかったんだけど、百枝に勧められて入部したんだ。

まだちょっとしか経ってないけど、すごく楽しいよ!管理棟防衛部。珍しい部活だよね!」


そういう早川さんは本当に毎日楽しそうな様子だった。バレー部を辞めたのには何か彼女なりの理由があるのだろう。

特に気にすることもなく、俺はひたすら右手を動かし続けた。



 終了の時間が近づいてきた頃には全員口を開くこともなく、それぞれ作業にのめり込んでいた。

「じゃあ、みんなー、そろそろ終わりにしよか。」

棗がこの空気を切り裂き、指示を出す。

「いやーー意外と疲れたねー。」

「私は乙葉ちゃんのことが聞けて楽しかったけどね。」

「腕が痛くなりますね。」

やっぱりずっと腕上げっぱなしだと痛くもなるよな。俺も腕痛えよ、佐々本さん。


「会議室もきれいになったところで、今日は解散でいいよ。」

ぞろぞろと帰りの支度をしだす部員たち。

霧島と早川さんがどこからか出してきたホウキでチャンバラごっこしている。まあそれはいつものことなのだが、その後ろで佐々本さんがカバンの中に間違えて雑巾を入れようとしたのが、たまたま目に入った。

それがもし、チャンバラごっこしてる二人だったら盛大にからかっていただろう。でも今は何も言わないでおこう。俺はまだ死にたくない。


 そんなこんなで今日の活動は終わった____。

棗の身長は178cmです。

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