スウィングバイ航法
同じクラスのあきちゃんは学年一の人気者…
だけど…去年からお父さんが病気で入院してる。
あきちゃんにお母さんはいない。
だから、あきちゃんは今も施設から学校に通っている。
施設では、小さな子達の面倒も観ているらしいが
明るいあきちゃんの
その手に僕は見つけてしまった。痛々しい程のあかぎれを…
そんな…僕らをよそに、
銀河特急はゆっくりと滑り出す様に出発した。
特別室は銀河特急の最後尾に連結されている。
特別室の前には貴賓室。
その前にはビュッフェと繋がり。グリーン席、指定席と繋がり一般席となる。
これをアテンダントのお姉さんが教えてくれた。
くれぐれもビュッフェより先には行かない様にと釘を刺された。
理由を聞いても教えてはくれない。用など無いので
あまり気にしなかった。
それにしても銀河特急は
静かに地上を離れ…
地球が丸いとクッキリわかる高さまで上っていた。
本当に地球は青い…
地球の回りをなんだか
ぐるぐる回ってる気がする。
アテンダントのお姉さんに何故なのかを訪ねると
地球の重力を使って、
加速していくそうだ。
これは…ハヤブサなども使った。遠心力を使い引力圏離脱の方法らしい。
最初に試してみたのは
アポロ13号かボイジャー計画だろうと教えてくれた。
太陽系を抜けるまでは
星間の移動はこの
スウィングバイ航法で走るらしい。
エネルギーの節約の為らしい。月と地球の距離は約30万キロ光の速さで移動すれば一秒足らず。光の速さの
99%まで加速すれば、
まばたきしている間に
到着した。
ホームへ降りる人はまばらで、乗り込んで来る人はいない。
短い停車時間はあっという間に過ぎて銀河特急はゆっくりと滑り出した。
こんな水も無い、何にも無い星へ何をしに、降り立つ人たちを僕とあきちゃんは不思議な気持ちで眺めていた。
次の停車駅は火星です。