怒り爆発その三―敵は身内にあり!―
連続投稿三回目……。皆さん暗がりでの閲覧や長時間の画面を見るのは目にかなりの疲労をもたらします。明るくして見る、ブルーライト対策の眼鏡を着用する、適度な休憩をとってお読みください。
目は悪くなると治りませんよ?
暗殺者君を拾い、白き箱庭経由で帰ろうと思っている紅蓮です。
芋虫共をポイッちょ(丸投げ)して暗殺者君を待たせている森に転送陣で帰ってきました。
そう、芋虫共を集めていた場所は森だったのですよ。広くて見付からない場所が森しか無かったせいです。白き箱庭に入れればもっと簡単なんだけど、入れたくないので却下した。
「あの~ボス? ここからどうやって帰るんスか?」
『ちょっまってね……』
体の力を抜き息を吐く。吐きながら体を縮める様なイメージで人の姿に戻る。
「………ふぅ……」
この時が一番疲れる。何故なら、膨大な妖力を小さな子供の体に納めなせればならないからだ。別に日頃はそんなこともないのだが、一度大きな器に慣れてしまうと小さな器は窮屈に感じてしまうのだ。
「不思議っスよね……何で人の姿と獣の姿になれるんだろ?」
「それが妖怪クオリティーだよ暗殺者君。」
「なんか、ワトソン君みたいな言い方っスね。てか、何でもアリな一族ッスね、九尾って。」
まぁ、言われてみればそうですね?
「そんな暗殺者君も立派な妖怪だろ。しかも純粋な。」
「純粋でもピンキリッスよ。ボスみたく眉間に銃弾受けても死なないなんて頑丈さ無いんで。しかも能力も微妙……チートなのは銃を造り出せる能力くらいっスね~。主属性も樹しか持ってないし……」
「そうだよね。狐なのに炎属性が主属性じゃないのは珍しいよ。」
暗殺者君は何で知ってんの?と行った感じで驚き間抜け面を披露している。ちなみに、暗殺者君が狐だと分かったのは臭いだ。鼻がいいのだ、直ぐに分かる。
「鼻がいいのは両親譲りなんだ。でもさ、副属性には炎あるでしょ?」
「まぁ、銃発射時の火薬代わりにはなりますね~。でもそれくらいッスよ。火種位しか役にたたないんで、その所為で親に見放されましたけど。」
それは酷な事を聞いてしまった。てか、その親一族からの偏見に耐えられなかったのか?
狐妖怪は皆、炎属性が主属性なのが当たり前。私や母さんの様に炎と樹が主属性なのが珍しいのだ。大体は主属性が炎で副属性が樹が一般的。それを考えると狐妖怪で主属性が樹なのは希。それで母さんが気づかない程の高度な睡魔香を使えたのか。作ったのかな?
あ、睡魔香ってのは家の周りに撒かれた妖怪でも眠ってしまう睡眠効果のある香だよ。忘れているかもしれないから一応説明したよ。
「そう言えば、暗殺者君何歳?私は知ってるだろうけど8歳。享年8歳になるところだったけどさ。2回も。」
「うっ。……本当にあの時はすいませんでした。えっと……今年で14ッス。ちゃんと数えてないから多分なんスけどね。」
ほうほう。14歳とな。中々若かった。それにしては大人びて……あ、転生者なら不思議でもないか
。
「さて、無駄話もこの辺にして家に帰るよ。」
「……えっと……その、」
「ん?何かな?」
気まずそうな暗殺者君はもじもじと何か言いたげにしていた。なんだよ、私は早く帰って嫁さんを抱きし……ゲフンッ……様子を見ないとだね……
「その、俺の立場ってなんなんスか? やっぱり奴隷?」
「は?」
驚いた。純粋に驚いた。え?私が君を奴隷にするように見えるのかい?てか、白の国も黄の国も奴隷は禁止されてるよ? まぁ、闇市なんかでは未だに奴隷とか取引されてるとか聞いたことあるけど……私はそんな法を犯す事はしません。てか、この世界の奴隷というのはね、元々賃金を払わない代わりにその奴隷達を大切にしていたのよ?そりゃぁ人権とかは無いに等しいけど、君が思うほどこの世界の奴隷制度は恐ろしくない。いや、恐ろしく無かったと言ったところか。
まぁ、今では自由何て無いけどね。
その昔この世界に在した奴隷制度。元々は孤児達を育て社会に出ても恥ずかしくない様に教育し、世に巣立たせていたのがそもそもの始まり。それがいつしか、重い罪を犯した者に辛い仕事をさせることになり、戦争孤児を金銭目的で売り買いする様になってしまった。最近では戦争が無いので口減らしの為に親が子を売ったり、誘拐されたりと……まぁ、皆が知る奴隷制度に成りつつはある。
「へぇ……この世界の歴史って結構奥が深いッスね。」
「だろ。で、君の処遇だけど。私の眷属として連れて帰る。名前はまだ考えてないけど。眷属の知識は?」
「弱いものが強いものに仕える……くらいしか知らないッスね。」
そこからか。まぁ、知らないのなら仕方ない。説明しますか。
「――――――っとまぁ、こんなもんかな。私と眷属の間には絆があって、最近力が増したから使えるようになった便利連絡網で遠くに居ても会話が出来るって事。けどね、その便利連絡網は結構一方通行な事があるから。例えば私が君と便利連絡網で話している時、「そう言えば昨日合ったあの子可愛かったなぁ~」何て知られたくもない事まで私には聞こえるけど、君には私の「嫁さんが私の毛並みをわしゃわしゃして話づらいなぁ」何て心の声は聞こえない。常に私に優先権があるみたいなんだ。」
「うぁ~。聞かれたくない事も聞かれるんスか?()てか、わしゃわしゃって…?」
「まぁそうだね。けどね、私も人の心の声何か聞きたくないのよ?」
「デスヨネ~」
「ま、要は眷属は家族と一緒。ようこそ、我が家族に♪」
「…………(゜.゜)」
え?何かなその顔は~。おい?え?ちょ、こんな森のなかでフリーズしないでよー!
何がそんなに驚いたのかフリーズしたままの暗殺者君をズルズル引きずって白き箱庭の扉に入ったのでした。ふぅ……君って結構な重量だね。あ、暗器やら銃やらの重さねこれ。
只今白き箱庭の庭からお送りします。
「だーーーぁ……重い!!ちょっ、いつまでフリーズしてんだよ!」
ベシッっとスナップをややキツめに叩き暗殺者君の口から出た魂を注入……闘魂注入ならぬ魂魄注入だ。ホントに勘弁してほしい。8歳の体にコイツの持っている武器の重さは堪える。いくらチートでも疲れはあるのだよ?それに私はちょっとばかしお疲れだ。
「ふぇ?……え、\(゜ロ\)(/ロ゜)/」
不思議な舞を踊り始めたぞ? 私が襟口を掴んで引っ張っていたために首を釣りぎみだが、大丈夫だろうか? 危ないと思い放すとそのまま頭をぶつけた様だ。大丈夫?
「え?なんなんスかココ。え?桜何てこの世界に無かったはず…?」
「ここは白き箱庭……私のもう一つの家だ。」
庭の大きな桜の大木に驚く暗殺者君。この世界のには桜無いからね…驚いたのは分かるけど、何で受け身取れないの?それで良く暗殺者してたね。緊急時にそれじゃぁ死ぬよ?
「あ!」
「な、なんスか!?何かやらかしましたか俺!?」
「いや、君の名前を思い付いたのだ。喜べ、君は今日から八雲だ!」
「………何で?何で八雲?」
「何となく浮かんだ。」
名前なんて閃きだ。閃いたらそれで良いでしょ?
「私ってネーミングセンス無いからねぇ。先輩眷属にポチって読んでるやついるけど?ん?チビって名前にしようか?」
「いえ、八雲で結構です。うわー嬉しいなぁ(棒読み)」
緋色の髪を少し乱し土下座している暗殺者君改め八雲。あ、そうそう、八雲は緋色の髪に緑柱石の目をした今時の若者……かな? 主属性が炎じゃないのに髪が赤系は珍しいね。母さんも緑系統の色だけど八雲の色は深い緑。
外見に関係のない名前になったがいいだろう。そう言えば名前を聞いてなかったな。
「そう言えば本来の名前は?前世の名前じゃなくて。」
「名前ッスか?ないッスよそんなん。その前に捨てられましたから。あの暗殺集落じゃ名前なんか呼ばれなかったし。」
おぉーう……またもヘビィーな話題を踏んじまったぜ。ってなんだよこのキャラ……。
ふむ、なら。はからずも名付け親?になったのかわたし?
「ところで、ココすごいッスね……でっかい屋敷もあるし……平安貴族ッスね?」
「私は貴族じゃないよ。それにココは貰い物だし。」
「……貰い物って、その人ドンだけ太っ腹なんスか。」
「まぁ、神だよ。八雲とは違う神だけどさ。」
へ~俺の神と違ってマトモなんスね。っと言って口を閉じた。それ以降全く話さなくなったのを見て自分に対する理不尽さでも考えているのだろうか?
と、そんなことを考えていると直ぐに屋敷に着いた。まぁ、そんなに距離は無いので当たり前だが。
「ほらほら、ココからは土足厳禁、靴脱いでね。」
「あぁ~裸足で歩くの懐かしい~。日本人はやっぱり裸足ッスね家のなかは。」
だよねぇ。一日中窮屈な靴を穿いてると蒸れるよね。後宮では始終靴を穿いてたから違和感が半端無かった。裸足万歳。フローリングは冬は寒いけど。
『あ、主様ぁぁ!!!!』
「ギャァァー!!!」
…………・・・
『主様!お帰りなさいー!』
『主、少々厄介なことに……』
『ご主人しゃま?この人誰でしゅか?』
『主!大変なのです。』
急に飛び出してきた兎天に蹴飛ばされ踏まれた八雲。哀れみなり。お使いに出ていた兎天と夜夢は戻ってきていた。影に潜んでいると移動が速いらしい。
「落ち着け、落ち着け!!何なの?一体どうした?」
『実は……』
『キュゥゥ……お家に入れてもらえなかったでしゅ……』
ん?何ぞな?
『実はあの後家に帰りました。ですが……』
~回想入ります~
私と奏は無事に藍苺様を家に連れて帰りました。しかし……
『お前達、ココより中には入るな。その疫病神なぞ、入れる訳にはいかぬ。』
偉そうにふんぞり返った八咫烏が玄関で待ち構えて居たのです。
『我らは藍苺様を休ませたい。入れてはくれまいか?』
『ならぬ。』
『どうしてでしゅか?』
『如何に麗春様のご子息の伴侶とて、入れる訳にはいかぬ。その疫病神の所為で麗春様のお加減が宜しくないのだ。さっさと立ち去れ!』
と、なんともな言い草で追い返されました。一戦交えようかとも思いましたが、藍苺様も近くに居ましたし、どれ程鼻持ちならぬ相手でも主である紅蓮様のお母上の眷属。傷つけるのもどうかと思い……
『仕方がない……別の場所で休ませよう。』
『キュゥゥ…ご主人しゃまとっても怒りましゅね。』
『そうだな。(今度は八咫烏も禿げ頭では済まんな)』
と言うわけで、我らは藍苺様をこの白き箱庭に運んだのです。
~回想終わり~
「成る程ねぇ……」
「何か、俺が引いた引き金の所為で……すいません。」
『主、この者は?』
ポチに事の次第を聞き、八雲は項垂れた。まぁ、反省をしているようだし、これ以上は責めたりしないから安心しなよ。
ポチも八雲に興味が行ったのか正体を聞いてくる。
「こいつは新しい眷属の八雲。八雲、こいつらが私の眷属。自己紹介は嫁さんの所でしようか。その方が手間が省けるし。」
『……眷属なのですか……分かりました。藍苺様はこちらで休んでいます。もう目が覚めることでしょう。』
今皆で話していた場所は玄関。藍苺は多分一番奥の部屋かな。その一番奥の部屋に向かう。案内役のポチを先頭に鶯張りの廊下を歩く。殿兎天と夜夢。夜夢は単純に歩みが遅いためだと思うけど。一列ではないが何だがRPGのキャラクターの様で少し笑った。
「すごいッスね……何か迷いそう…」
『迷うでしゅか?通り抜ければ大丈夫でしゅよ?』
「俺にそんな凄い特技ないッスよ。」
かなり広いけれどそれほど入り組んではいない為それほど迷うことはない……と、思う。方向音痴でなければね。
「ココッスか?平安みたいな建物に扉って似合わない……」
それは私もおもうよ。
嫁さんが休んでいる部屋にたどり着いた。扉は青に縁取された洒落た?扉だ。ちなみに私の部屋はその隣の紅く縁取された扉だ。中には嫁さんの部屋と繋がる扉がある。どうも前の持ち主は夫婦だったみたいだ。子供部屋やしきものまであった。
ノックをして一応声をかける。親しき仲にもなんとやら
「藍苺?入るよ?」
返事が無いのでまだ寝ているのかと思い開けるのを躊躇う。だって八雲男だし…眠っている嫁さん見せたくない。嫉妬?そうですけどなにか?
その悩みも数秒で終わった。
バタンッ…と音をたてて開いたら扉から飛び出してきた黒に近い紺色と二つの金を溶かした様な目が眼前まで迫っていた。
ガバァァっと抱きつかれてミシミシ締め上げる腕は私よりも華奢……嫁さんや?嫁さんの中で私を締め上げるのが流行ってるの?
「ボスよりちょっと大きい少女がボスを締め上げてる……」
『案ずるな、あれが日常だ』
『いつもの事です』
『いつもだな』
『いつもでしゅ~』
そうか、端から見るといつも私は締め上げられてるのか。
「嫁さん?苦しいよ……肋骨にヒビが入るよ…嫁さん?」
「………レン?本物だよな?」
「ただいま。」
「本物だな?本物だよな?」
「私の偽物が居たら八つ裂きだよ?」
「ぶ、物騒ッス…」
『仕方ない』
『『ないない』』
『うむ』
「……俺、この職場でやっていけるかな?」
落ち着かない嫁さんの背中をポンポンしながら居間で寛ぐ。親睦会の様なものでもしようかと思い作りおきしたお菓子を出して緑茶を啜っている。
勿論今この瞬間も嫁さんは抱きついている。絞めるのは止めてくれたからよかったけど。
「さてと、はい、注目。この緋色の髪の今時の若者が今回眷属に加わる八雲だ。八雲、私の隣に居るのが嫁さんの藍苺。私の嫁だから手ぇ出したら絞めるからそのつもりで。」
「yes boss」
「で、天狼の璃瑠。いつもはポチって呼んでる。一番の古株だ。何かあったら相談するといい。結構面倒見が良いから。管狐の奏。これでも一番の年上。いつもは嫁さんの下げてる薬入れに入って護衛してる。飛走の兎天。一番の末っ子。末っ子だけど人を乗せて走ったり飛んだり出来るほどの力持ちの種族だから今後に期待してる。確りしてるし頼りになるよ。大蛇の夜夢。何があっても落ち着いている。蛇だけど寒くても動ける。でも、暖かいのが好きだからもしかしたら寝床に潜り込んでるかも知れないけどそこは勘弁してあげてね。」
「あ、どうも、えっと…八雲です。特技は暗殺と隠密。この度はお騒がせしました。ホントにすいません。」
土下座しそうな勢いの八雲を見詰める嫁さん。その目は見定めようとしているのか容赦ない睨みを……は無いか。ただ、じぃーっと見ている。
そんな風に嫁さんに見詰められている八雲は針のむしろ状態なのか冷や汗タラタラだ。誤解してる。嫁さんは昔から興味があるものはじぃーっと見る癖があるのだよ?別に邪な考えはこれっぽっちも無いよ?多分だけど。
「まぁ、それは私も許したし置いといて……」
話題は八雲の事に移る。やれ、部屋は空きがあるか?やれ、布団が無いかも……ちなみに常備している物は只今客人達が使っています。
「そんな、いいッスよ……布団が無くても屋根さえあればどこでも寝れるんで。
「私の眷属ならキチンとした生活をしてもらわないと……私はそんなに不甲斐ない主にしたいの?」
「諦めな、レンは一度言い出したら梃子でも動かない。それに、色々あったんだろ?なら、今からでも少しくらい贅沢したってバチなんか当たらりゃしないって。」
「嫁さんの言う通り! それとも、私に「命令」させる気?」
そう言うと涙目で頷き始めた。首がガクガクいうほどに……そこまで怖がらなくとも……
「うぅぅ……(ココまで親切にされたの前世以来だよ~~~)」
『泣くな泣くな……主は優しいぞ。』
『まだ泣いてませんよ夜夢さん。』
『だが泣きそうなだな…』
『泣きたいときは大声で泣くのが一番でしゅよ?』
同僚達とも打ち解けるもの早そうなので安心した。けど、さっき兎天に蹴飛ばされ踏まれたよね……ま、お互い忘れているようだし良いか。
「さて、家に帰って晩ご飯作らないと……さ、家に帰るよ。」
『あ、主……その』
「大丈夫だよポチ。あんな烏は焼き鳥にしてやるから♪」
『『それはやりすぎです』』
『焼き鳥は塩ダレが良いな。』
『僕は普通のタレも好きでしゅ!』
「成る程ねぇ……ボケとツッコミが半々……俺ってツッコミを期待されてるの?」
「頑張れレンのツッコミ役」
「今のボケてないからね?」
さぁてと、嫁さんを門前払いしたバカラス(バカ+烏)を焼き鳥にしなければ……先ずは羽を毟って……フフフフフフ……
覚悟しやがれバカラス。例え母さんの眷属だとて容赦しないからね♪




