怒り爆発その二―貴族に牽制します?―
連続投稿二回目。
いやぁ……疲れました。出るわ出るわ……白の国も腐ってる所はあるものだな。歴史が古い分腐ってる根も深い。捕まえた黒幕共はおよそ30人程。末端まで遡れば何十倍も多いだろうね。そこは白の王に任せるよ。掛かった時間は一時間。白神に転送してもらわなかったら一体どれ程掛かったのやら。
あぁ……疲れた。暗殺者君が居なければもっと掛かったよ……。白神と暗殺者君の協力が両方とも無ければ……うぁ~~考えたくない。
「お疲れっスね……ダイショブスか?」
『ダイショバナイ……』
暗殺者君は私の顔を心配そうに覗き込んでくる。皆は言葉は正しく使おうね?紅蓮との約束だよ?………って、何やってんだよ私は……ヤベェ…疲れすぎたか?
『いやさぁ……体はピンピンしてるよ? 何か精神的に疲れたというか…家に残してきた嫁さんが心配なんだよ……ハァ……』
白龍の姿で溜め息を吐くと下を向いたためか床が少し焦げた。溜め息でこれなら……白龍恐るべし。
私達の後ろに山積みになっている芋虫共…もとい、諸悪の根元共。今は縄でぐるぐる巻きにしているので貴族とはとても見えない。老いも若きも……とはよく言ったもんで、年齢もバラバラの奴等だった。そうだ。コイツらを黒焦げに……はやりすぎが。後が面倒だしね。
『何が悲しくてこんなオッサン共を縄で縛らにゃならんのだ……?』
「ボス、気をしっかり持って! 目が死にかけてるぅぅぅ!!」
ははっ……やるなら嫁さんにしたいよ? いや、しないけどさ。
「やっぱドSっスね。」
『おぉ、言ったな……今なら丁度龍の姿だし?コブラツイストならぬ「ドラゴンツイスト」してやるぞ?勿論全力で。』
「それってただの締め付けでしょ……勘弁してくださいお願いします色々な物(内蔵的な意味)が出るんで勘弁してくださいm(__)m」
ま、確かに単なる締め付けか。フム……
『しかし暗殺者君よ、……君は私の周りに居ないツッコミ要員だな……よし。お前は我が眷属のツッコミ要員に採用しよう。』
「え? それって……拒『否権は無いよ。人の眉間に鉛弾プレゼントするなんて……ねえ?』はい。」
『ま、アレだ。罪人として捕まりたかったら……止めないけど?』
「何処までも着いていきます。(T-T)」
『解れば宜しい。』
丁度下僕が欲しかったんだよね。あぁ、別に虐めるとかじゃないよ? 欲しかったのは従僕?ん~あ、従者かな? ほら、私の眷属人型は居ないでしょ?だから雑用係が欲しかったのだ。
みんな働き者だけど、人型の方が良い時も有るでしょ?
まぁ、本音はコイツが持っている知識を他に漏洩させないためってのが強いんだけどさ。だってコイツは自分自身で銃を作れるんだからね……危ないだろ?
さて、後はコイツら芋虫共を白の王宮にポイッちょして帰ろう。嫁さん成分が不足しているから抱きついて補給しよう。変態だ?夫婦だから良いの。それだけだし。まだキスさえしてないんだよ? ………ま、嫁さんが寝惚けてしてきたのはノーカウントで。それに前世でも夫婦だったし。
これ以上夫婦にはならない。私は男だし、機能するとは思えない。……何より……私は……もう親にはならない。いや、なれない。
「ボス?」
『何でもない』
おっと、脳内トリップしてたよ。この芋虫共を白の王宮にポイッちょしないといけないんだっけ。巣穴から芋虫共を引っ張り出すのも大変だった。一人一人違う場所に居たからね~。まとまって居た奴等もいたけど……各自バラバラに縛ってるからこのままだと運び辛いよね……それに運べるか不安だ、いくらチートでもコイツらを運ぶの無理だろ。
『何かこ~…風呂敷に包むと小さく出来るとか、そんな能力無いの?暗殺者君?』
「そんな便利な能力あったら暗殺稼業何てしてませんって。てか、その能力って漫画で無かったっけ?」
ふぅ~。無いか。なら白神にでも頼もうかな? どうせ某笑顔動画でも見てるんだろうし。
(白神~~。)
『………ん? あぁ…呼んだか?』
(呼んだ呼んだ。あのさ、黒幕共捕まえたらか白の王宮の運びたいんだよね。それで、手伝って?)
帰ってきた返事は即答でOKだった。暇なんだな神様ってのも。異世界でも常に会話してたしな。たまに夢の中で某笑顔動画見せてもらったし。
『………これで全部か?』
(末端までは見つけるのめんどいから。どうせ白の王が芋づる方式で捕まえてくれるよ。)
『要は丸投げか。』
(ま、それは私の仕事じゃない。それに王にも華を持たせないとね。これだけでも私はやり過ぎたのだし?)
実際は白の王に関係した事件なのだ。全部を私がしてしまっては王族の沽券は丸潰れだろう?
ま、それは建前で、本音は面倒だからだけどね。
「ボス?ボーとして大丈夫っスか? 何か何処か遠い所見てましたよ?」
『現実逃避だから気にしないで。』
「そっスか?(現実逃避って、余計気になるって)」
『そいつが新しい眷属か?』
(そ、名前はつけてないけど。それに何処かのバカが関与してるみたいだし……そこんところちゃんとシバいといてよ?
『あぁ。シバき倒しておく。それよりも、』
白神は気になる切り方をした。どうしたのだろう?
『藍苺には気を付けろ。』
(藍苺の何処に?)
『黒龍は元来気の荒い一族だ。今では黒の国の王に君臨しているが、この世界が出来た当初は手のつけられない暴君であった。その血は未だに消えていない。黄童子が世界に介入しなければ今も恐怖の対象であっただろう。』
元の何の手を加えていなかったこの世界は今とは違い殺伐としていたらしい。妖怪は殺戮を繰り返し争い、人間はそれに怯え、魔物や魔獣は居ない為妖怪の標的に人間が……。そんな世界だった。
黄童子のしたことは結果的に妖怪達の理性を誘発させ、大多数の人間を死に至らしめたが人間と妖怪の共存の切っ掛けを作ったことになる。
そ、前に説明した突如この世界に充満した魔素、それは黄童子がこの世界に介入し、魔力の源になる魔素を世界に充満させた為。それにより動物は魔物になった。
しかし、黄童子はバカをやらかした。魔素が強すぎたのだ。
植物は死に絶え、動物は魔物になり凶暴化。勿論食べ物は無くなり餓えで大勢亡くなった。勿論魔素による直接的な死もあったが、餓えで亡くなった数の方が圧倒的に上だ。その為、黄童子の予想より多くが死んでしまった。
神ってのは多少の犠牲も厭わないらしい。白神はそうでもないが、どれだけ死のうがお構い無し……どうせ後何年もすれば増えるだろう?と、高をくくっていた。バカだな。
それで、事態を重く見た灰老神が世界に介入した。どうにか魔物達に魔素を吸収させて濃度を調節し、難を逃れた。これが元で魔物の上位種魔獣が生まれた。灰老神の助力で何とか立て直した世界は国を作るのだけど……それが黒の国と白の国だ。その話はまた今度ね。説明終わり。
んで、今回の件「有り得ない技術の持ち込み」何だけど……。
この暗殺者君はやはり黄童子の犠牲者だった。
いきなり「暇だからお前を転生させるから。あ、勿論チートにしとくよ。どんなチートかはランダムだから知らないけどね(笑) ま、死なない程度に俺を楽しませてよ。じゃ。」等と言って勝手に殺して勝手に転生させた。マジでアイツ絞めとこう。
まぁ、この話も後でね。
(藍苺が黒龍の血を引いてるのは知ってるよ。それがどう気を付けるのさ?)
『藍苺の暴走だ。お前も見たのだろ?あの暗殺者が退散する時に地面や木々が凍りついたのを。アレは藍苺の暴走だ。』
(あ、やっぱり?)
やっぱりあの殺気は藍苺のものだったのか。アレは母さんの眷属の誰がかと思いたかった。でもやはり藍苺だったとは……
『ふぅむ……そうか、血の契りを交わしたか。今の状態では妖気を判別するのは難しいのかもな。互い血を飲み、妖力が混ざると馴染まぬうちは互いの妖力を感知出来ぬこともあるそうだ。』
(へぇ……)
『あまり知られていないからな。それでだ。』
白神の話に驚愕した。何と藍苺は先祖帰りでほぼ純粋な黒龍と変わらないと。何てことだ。それならもし、この先また暴走でもしたら……。
『今回はお前が止めた。だが、それは不完全な力の目覚めだからだ。もし、本当に本気の暴走だったら……』
“世界は半分崩壊する”
何てこと。本当に、何てことだよ。私が怪我をしたり、何らかの事に巻き込まれたり、命の危機に陥ったりすればまた藍苺は暴走するらしい。ならば・・・・
(私は世界の為にも、何より藍苺の心を守るためにも、)
『死ねないじゃないか……。』
「ボス?」
死ねない。死ぬつもりは勿論ない。けど、私は動けないのだ。何があっても……自分の事を第一に考えないといけない何て……。私には藍苺を守ることは出来ないのか……?
これも、因果応報か……
私は、大切な人を守ったつもりになっていた。分かったつもりだったのに、分かってなどいなかった。大切な人の心をそこまでボロボロにしてしまったのだ。
『私って……自分勝手だなぁ』
「……(一体どうしたんだボス?)」
『違うぞ、お前は守りたかっただけだ。結果的に傷付けたが、お前があの時決断しなければ最悪の結果になっていた。藍苺の死という形でな。』
けれど、私はまた藍苺に心配をかけた。わざと頭を撃たれて捕まった……血を残したのは失敗だった。………本当はここで「撃たれない様にすれば…」何て言わなきゃいけないんだろうけどさ、私はヒネくれてて、頭も悪いから……自分を囮にする以外思い付かなかった。慣れないことはするもんじゃないね。
『お前は家族が傷付かないようにそうしたのだろ? 私は仕方のないことだと思うぞ。お前達二人に必要なのは話し合いだな。帰ったら存分に話し合え。誰も邪魔しない場所があるのだからな。』
(白神がくれた「白き箱庭」か。うん。そうだね……帰ったら~~って、何フラグ建てさせようとするんだよ。え?)
『いや、すまん。別にそんなつもりは無かった。』
白神がオホンッ…とわざと咳をして話をもとに戻す。それから私に「無茶を控えるように」と言って一旦話を切る。また動画鑑賞でもするのだろう。今白神が気に入っているのはゲーム実況だったか……
それにしても、設定が中二満載だな。私は自分のチートだけでお腹一杯だよ。
白神が展開させた転送陣に芋虫共を放り投げ、私も白龍の姿で入る。暗殺者君はここで待っていてもらう。勿論逃げれない様に白神が見張っている。もう、逃げる気もないだろうけど。
転送陣が繋いだ場所は多分白の王宮の謁見の間。入ったことは無くとも分かる。
『(だって見るからに……)』
王が座る豪奢な玉座に座る王、その周りに家臣や貴族達。勿論王の隣に王妃が座っている。しかも私の周りには既に異変を感じ取った兵士達が各々武器を持ち私の動向を窺っている。黄の国の武官達とは大違いだ。流石長い歴史を持つ大国。兵の練度は桁違い。一歩でも動けば剣山か針鼠だね私が。
しかし、その兵士達の関心は私だけではない。私が踏んづけている芋虫共も武器を向ける対象だ。だって異様で怪しいもの。
『話がある。白の王よ。』
ここは“妖怪・白龍”として
態度で話そう。いつもの調子ではナメられる。本当は礼を尽くさないといけないのだけど、あえてしない。後で手紙で謝っておこう。
「……我が国の守護・白龍が子よ、我が王宮の謁見の間に何の用か?(え?な、何?まさかうちの子達が何かしたのか?や、ヤバイ…藍苺の事で何かあったなら容赦無いって朱李のやつ言ってたし……( ;∀;))」
白の王は私の茶番に乗ってくれるようだ。みんなに気づかれぬようにウィンクしてくれた。王妃も小さな声で「思う存分やってしまいなさい♪」と言った。私って耳が良いから聞こえたよ。王妃の“やってしまいなさい”が“殺ってしまいなさい”に聞こえたのは空耳だと思いたい。
『白の王よ。我が一族に其方等の厄介事にあまり我らを巻き込むな。我が住みかに刺客が送り込まれてきた。王子等は無事だが、我が妻が心を痛めた……』
「皆無事なのか?(ギャァァ……ドンピシャァァァ)」
「(落ち着きなさいな狛李!)」
『皆無事だ』
暴走したことは伏せる。それと今後の藍苺の危険性についても。だって、彼は父親の前に王だ。国を脅かす存在は……この話はやめよう。
龍は本来とても家族思いな種族だ。龍じゃなくても家族に危機が迫れば誰だって怒るだろうけど。ここは全面的に「私の家族に何かあったらどう責任とんだ?」と思わせておく。何より恐怖心を抱かせておかないと。
『我が“家族”に危害が及ばぬ為、その刺客を取り押さえた。聞けば、この国の貴族が黒幕とな……白の王よ、如何様にするつもりだ?』
みんなわ私に視線を向けているので王の少し面白そうに笑った口元は誰も見ていなかった。
「なんと。では、その縛られている者達は我が国の貴族達か?(つまり「どう責任取るんだよワレ」という意味なのか?)」
『そうだ。此奴等が首謀者共だ。この国に蔓延る根を腐らせる害虫だ。然るべき処分をするのだろ? でなければ……』
「勿論だ。その首謀者共は我々王族に牙を向いた。不満を対話でなく、武力という形でな。もうコイツ等には日の目は拝ませぬ。他にも叩けば埃が出るやも知れんしな。協力感謝する。(ちゃんと罰しないと俺が黒焦げですね分かりますぅっ(恐怖))」
良し、ポイッちょ成功。後は……釘でも指しとこうかな。貴族連中に。
『勘違いするな。確かに我が両親はお前達の友だ。我もお前達が何もしなければ何もせぬ。しかし、お前達が我々に命令し、従属を望むなら滅びると知れ。我らは最良の友にして最悪の敵だ。努々(ゆめゆめ)忘れるな。』
「心得ておるよ。(尻尾を踏めば八つ裂きですね分かりました!!)」
白の王に言っんじゃないよ、周りの貴族連中に言ったんだよ。父さんと長い付き合いだし、知ってるでしょ?
釘も刺したしそろそろ暇しようかねぇ。あ、そうそう。
『我ら龍にその様な刃物は効かぬぞ? 我らの牙や爪よりも柔い物でどうして我が鱗が傷つく? 龍を甘く見ない方がいい。逆鱗に触れれば終わりぞ?』
「それもそうだな。皆武器を退け。いつまで敵と見ているつもりだ。(ギャァァ…解除するの忘れてたぁぁ……怒ってないよね?ないよね?)」
龍の皆さんは沸点がとても低いらしいよ?実際あったこと無いけど。まぁ、気長な人もいるけど、炎龍なんかは凄まじいらしいし。そんな物騒な物を向けるだけで怒るよ?
芋虫共をポイッちょしたので帰ります。さて、帰りは“白き箱庭”経由で帰ろっかな。その方が早いし。最初からそうすれば良いと思うだろ?けどね、これってその場所に行った事がないと行けないのよ。不便だけど、そこは仕方ないよね。元々移動用じゃないからね。
謁見の間に大きな窓があるのでそこから帰ります。お邪魔しましたの意味を込めてひと鳴きして出る。いやぁ…謁見の間って広くて音が響く造りなのね…ひと鳴きが響く響く。バインドボイスならそこらの硝子全部割れてたね。今度からは気を付けないと。
優雅に見えるらしい白龍の飛ぶ姿を見た国民達はまたも面白いことに。コケたり、あんぐり口を開けたり、お茶を溢したり……あ、あのおっさん手に持った果物落としてる……もう売り物にならないだろうね。
何も大勢の面前を翔びたい訳じゃない。白神が「城下町の上空に転送陣出しとくからな」何て言ったからだ。決して私はナルシストではない。見られるのは正直嫌いだ。けれど、色んな意味を込めてわざと人目につくように飛んでいます。
さて、暗殺者君を拾って家に帰りましょうかね。
む?………何やら嫌な予感が………




