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フラグ?知らないなぁ…  作者: 雲猫’
番外編―後日談―
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怒り爆発

 連続投稿です。ここは最初ですので気を付けてください。




 昼間だと言うのに薄暗い部屋に一人の恰幅のよすぎる男が椅子に座りブツブツと頭を抱えながら、何かに怯えていた。頭は数ヵ月前よりも神が抜け落ちより禿げていた。何か気苦労でもあったのだろう。


 実際、黄の国で行われた大々的な粛清でこの恰幅のよい男も財産を半分押収、爵位の降格により今までの生活は失われた。



 別にそれだけならここまで疲労していない……かな? ま、なんの苦労もしてなかったこの男は落ちた生活には合わなかったのかも知れない。


 だが、この男は逆鱗に触れた。それも二度も。



 一度目は九尾の姫の息子を誤り死なせるところだったこと。それに何より、その妻の藍苺を殺そうとしたこと。


 そして二度目は……はーい、今ここですよ~。


『自分のしでかした事に今更罪悪感で落ち込まれてもねぇ……』


 誰も居ないと分かっているから見えない声に怯えるモノでしょ?人間ってのは。特に小心者はさ。


「ひぃっ!!」


 ホレ、この通り……


『赦すなんて言葉……』


「た、助けっ……」


『生憎と私の辞書にはのって無いんだよねぇ。』



 いきなり影から伸びてきた腕に驚き椅子から落ちた男は助けを求めて出口である扉に近付こうとする。が、暗殺者君に遮られた。


『腰でも抜けたか?』

「そりゃこんな薄暗い部屋で突然声を掛けられたらびっくりしますって。(あ~、何が楽しくてこんなオッサン拘束せにゃならんのか……どうせなら可愛い女の子が良いよ~)」



 要らん事を考えていようとも流石は腐っても暗殺者、禿のオッサンを拘束して直ぐに口を塞いだ。しかもご丁寧に首筋に短剣を当てて。でもそれ、そのオッサンには見えないよ?ほら、恰幅が良すぎて顎辺りの肉で見えてない。脅すなら見える位置に当てようね?


「了解ボス」



 そう言うと短剣の位置を鼻先にした。うん。それなら見えるね。



『喋れば殺す、動けば殺す、私の質問に答えなければ殺す。嘘をつけば殺す、お前は聴かれたことを正直に答えろ。』


「………」


『返事はしなくていい。嘘か真かはお前の目を見なくとも分かる。』

「(横暴だ……味方で良かった。決断した俺、よくやった。)」



 喋るな、動くなと言ってあるので固まった男の後から見えない位置で質問する。そうすればこの小者のオッサンは不安感を煽れる……筈。


『まず1つ……どうして白の国のゴタゴタに関与した?』


「……ッ…」


『あぁ、本当の事を話すなら喋ってもいいぞ。ただし……』


 残り少ない髪を手に持つナイフで数束切る……すると男は青ざめた。あ、先の方じゃなくて根本の方から……ね?血は出てないよ?


『正直に答えろ……次は右耳の耳朶が無くなるぞ。』


「ひぃぃぃぃ……はっ、話す!話すから助けてくれ!!」


 こんなにも小心者なら最初から欲など出さなければいいのにね。あぁ~ヤダヤダ。私は弱い者虐めとか嫌いなんどけどねぇ。虐めるならある程度の強くて虐め甲斐のある奴が良いのだけど……ま、遊び相手()は選べ無いけど、遊び仲間(戦友)は選びたいよね……今回の遊び仲間(戦友)は暗殺者君という名の下僕だけど、いい仕事してくれるから助かるけど。


「わ、私は、元の生活に戻りたかった。だから、奴等の提案に…乗っただけだ。私は暗殺一族に話を持っていっただけなんだ!」



 つまりは、単なる仲介役。下っ端の下っ端……あぁ~もしかして無駄足?



『蜥蜴の尻尾切りか? でも、もう少し叩けば少しの埃は出るかな?』

「どうでしょ? 俺にはこのオッサン、ただの小者にしか見えないですよ? こんな奴が黒幕の情報持ってっスかね?」


 何事もやってみようじゃないか。こちとら二度も命脅かされてるんだし?二度もコイツに。それに嫌な予感もするしで……早く家に帰りたいのよ。詰まりは鬱憤溜まり放題なのだよ。



『毒を妻に飲ませようとしたり、私達に刺客を送り込むなんて……余程死にたいようだからね。多少いたぶっても……』


「あ、俺って尋問得意なんでやってみます? コイツ死なない程度に痛め付ければ吐きますよ。弱そうだし(メンタルとか絶対豆腐だよ。てかボス、俺より年下なのにもう結婚してるとか…リア充かぁ……良いなぁ……ハァ~)」


 とか、暗殺者君が張り切っているので任せてみる。私はと言うと……



『………るじ……主!……』

(………ッ……ポチ?……いや、璃瑠か?)



 頭に痛みと声が響く。これは主人と眷属の間にあるテレパシーみたいなもの。例えて言うなら「便利連絡網」かな。出来るのは知ってたけど、こんなにも皆から離れるなんて無かったからしたことなかった。ちょっと調節が必要だね。痛いのは嫌だし。



(………うっ!!……ッ…と、これでいいかな。



 結構適当にやってみたがなんとか痛みなしに出来るようになった。良かった。痛いのは嫌だもん。



(どうしたの?)

(主! 藍苺様が……)



 ん?何? 私の声が届いてない? 適当にし過ぎたか? もう少し調節が必要なようだ。やはり難しい。



(璃瑠? リ~ルさん? ダメか……)



 仕方ないのでポチもとい璃瑠の視界を覗かせてもらう。これぞまさに視界ジャックだな。それにしても……


『(やっぱり心の傷は本人には解らないモノなのか……)』


 覗いた視界には髪はバサバサ、目は涙を流し、何かに駆り立てられた様に我武者羅に走る藍苺の姿だった。見ていて心が痛む……それに妖気を纏っていては璃瑠も近づけない、何よりこのままでは妖力が尽きて藍苺の命が危ない。


 どれ程本人が乗り越えようとしてもなかなかどうして…難しいモノなのだろう。私は藍苺にトラウマを植え付けてしまったのだ。だが、藍苺とてそれは自分でも薄々気がついていた。


 だから、私達は手を打っていたのだ。こうなるのを予想して。



(璃瑠?……璃瑠!?)


(主……お戻りください。このままでは藍苺様が……)


 悲痛な璃瑠の声が大きくなる。覗いて見た視界からも切羽詰まっているのが分かる。基本冷静な璃瑠が慌てている……



(何があった璃瑠リル?)

(あ、主!!)


 あぁ……やっと通じた……


(お戻りください主!藍苺様が主の血を玄関で見てから暴走しています。私達では止められません!どうか主……お戻りください。)


 玄関で眉間を撃ち抜かれたので多少は血が飛び散ったとは思っていたが……そうか、見てしまったのか……


(………)


 帰りたい。帰りたいよ。璃瑠の視界を覗いた時、見えた藍苺の悲痛な姿が今でも目に焼き付いている。正直帰りたい。「私生きてるから」って言って抱き締めたい。けど


(主!?)

(……璃瑠…私は今戻れない。)


(主!!藍苺様が!!)


 璃瑠から直接見捨てるのかと非難の感情が流れてくる。そんなわけ無いだろ!!


(見捨てるなんてとんでもない!! 今は騒動の元凶の所に向かっているんだ。二時間以内に戻る。璃瑠はそれまで……)


 璃瑠から今度は謝罪と藍苺への愛情深さを称賛する感情が流れてきた。恥ずかしい……純粋な称賛は恥ずかしい以外の何モノでもない。やめてよ……ハズイから(照)


(璃瑠……恥ずかしいからやめてね?)


(はい、すみません主。それで…藍苺様をどうするのですか? 私共には止められませんよ?)


(うん。それは聞いたよ。大丈夫。この事は藍苺(本人)と検討してたから対策はバッチしだよ。)


 今度は目抜けないと思われた……ちょいと璃瑠さん?君は素直に感情を流しすぎですよ?


(抜け目無いとか言われた……ま、良いけどさ。今藍苺を停止させるから……悪いけど家まで連れて帰って。制限を解くから。頼んだよ璃瑠)


 璃瑠に止めた後の藍苺を託して一旦連絡網を切る。そして次は藍苺に呼び掛ける(コール)するが、通信不能……やはり暴走している時は無理か。



 実は今朝、藍苺と血の契約を交わしたのだ。お互いが何者かに操られたり、今回の藍苺の様に暴走したりしたら止められるように……と。ま、急ぎだったからごく簡単にお互いの血を少量飲んだだけで未だに繋がりは弱いけど……。血を、妖力を共有した事によって多少はお互いに干渉しあ得る。ま、不器用な藍苺には私に干渉するのは無理だろうけど。そこは修行して可能にしてもらわないとさ。



 いくら呼び出し(コール)しても応答が無いので、最終手段。本当はしたくはないが、仕方ない。


 今から藍苺にするのは「脳内ジャック」。詰まりは勝手に操ることになる。理屈は知らんが、どうにも人には必ず精神には防御壁が存在しているようだ。脳内ジャックはその防御壁を抉じ開け侵入し、精神を乗っ取る事だ。ある程度の繋がりが無いと出来ないので安心して。読者様にはしないから。



「ボス、ボス? メタ発言は控えろって作者がいってたよ?」



 ヘイヘイ…。暗殺者君はキリキリ働いてそのオッサンから情報引き出してよ。いくら声をあげさせても良いから。どうせ、ここら一帯は侵入不可の結界を張り巡らせたから。あ、勿論防音もバッチし。



「yes boss(マジでおッかねぇこの人……)」



 えっと? 何処まで話したかな? そうそう脳内ジャック。私はジャックじゃなくてハックって言ってたけど、この際どっちでもいいよね。


 ん?藍苺ほったらかして語ってて良いのか?


 安心してよ、とっくの昔に暴走止めたから。嫁さんの事は最優先なんだから。当たり前でしょ。


 そうそう、脳内ジャックに必要な繋がりは、血の共有。詰まりは血の繋がった家族とか、私と嫁さんの様な血の契約を交わした間柄。それと、一方的にされた血の契約(仮)とかな。他にも条件はありそうだけどこれくらいかな。今は通信網は私からの一方通行だけど、嫁さんにも出来るようになってくれないかなぁ~



 それにしても、嫁さんは氷属性か……私とは相性が悪いね。どちらが強いとか弱いとかは属性では決まらないけど、相性は悪いね。炎は氷を溶かし、氷は溶けた水で炎を消す。相反する属性だからね。水と油みたいに。


 ま、異世界での経験上属性云々も大事だけど、最終的に潜在能力と日頃の努力が一番の勝利の決め手になるんだけどね。大事だよ、日頃の努力は。だから、潜在能力が高くて努力家ならそれは凄い厄介な敵になるんだよ。


 特に、日頃から不器用な嫁さんは持ち前の負けず嫌いで確実に化けるだろうね。単純に氷属性だけなら追い越すよきっと。私の狐火が負ける日が遠からず来ることだろう。ちょっと楽しみだったりして。嫁さんの持つ属性は氷と闇……たったの二つ。極めるなら数が少ない方が楽だからね。変に多く持つ私よりは楽だ。要らないほど属性を持ってるからね~私は。



 暗殺者君が私を小脇に抱えて連れ去ろうとしたとき、あの時の殺気と妖気には目を見張った。私も体の芯まで凍るかと思ったし。私に直接向けられた殺気じゃなかったとはいえ、尋常じゃない殺気だった。ホントに嫁さんは化けるよ。この暴走で妖力のリミッターが外れてないと良いのだけど……きっと外れてるだろうね。そうなると制御が難しくなりそうだけど…最悪何かで封印すれば良いか。



 それにしても、血の契約で色々な事が共有出来るが……今回のはもうしたくはないね。何て言うのかな……勝手に人を操ったりするのは何だか心が痛む。



 私は暴走しない様に精神を鍛えとかないと。



 情けないオッサンの悲鳴を聞き流しながら決意する私だった。



『で?聞き出せたの?』

「はい、もうバッチシ♪……で、このオッサンどうします?」

『仕方ないから白龍になってちょっと王宮の方に捨ててくるよ。ポイッとさ。』

「いいんスかね?」

『ノシ付けとくから良いんじゃないの?』





――黄の国・王宮にて――



「おい!あれは白龍だよな!?」

「朱李様にしては白すぎるぞ?」

「いやその前に小さいだろ!!」

「さっき朱李様飛び出していったよ。息子の紅蓮様に呼び戻されたらしいよ。」

「あ、何か掴んでる……」


「ギャー……(チーン……)」


「………なんだ!?」

「何か陛下の声に似てた様な?」

「あ、何かさっきの白龍が陛下の上にオッサン落としたらしいぞ?」

「なんだそりゃ……」

「それに、手紙が張り付けてあったらしい…」

「内容は?」

「そこにいた女性文官によると……」


“今度私達親子を国内のゴタゴタに巻き込めば今度はこうなる。追伸、この男は白の国のゴタゴタに関与していた。早急に調べること。コイツが暗殺者集団との仲介役だった。今後この様な事が無いようにしてくれ。次は無い”


「――らしいぞ。」

「へぇー」

「おまけに尾で陛下を叩いたらしい……」

「へぇー。陛下嫌われてんなぁ」

「嫌われてんのは当たり前だろ。」

「てか、あれって……紅蓮様じゃないか?」

「あ、確かに。言われてみれば…」

「紅蓮様もここに居たときは陛下嫌いで有名だったからな。」

「麗春様もよく後宮から抜け出して食糧やら何やらを買いに行ってたしなぁ……」

「いつも気づかぬふりして見逃してたなぁ」

「懐かしいなぁ……まだ数ヵ月しか経ってないけどな。」

「そう言えば、あの落とされたオッサン、前に紅蓮様に毒飲ませた奴に似てなかったか?」

「あぁ、だから容赦なかったのか?」

「嫌われてんなぁ、陛下も嫌われてるけど。」

「むしろ、嫌われてない方が可笑しい」

「「「「だよなぁ~」」」」




――以上、兵士たちの感想と紅蓮のポイ捨てでした。――







 まだまだ続きますよ。

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