俺の家族は皆チートだ。
紅蓮の父、朱李視点でお届けします。
俺は感激していた。いや、涙していた。
「う、うっ……麗春に置いていかれて絶望していたが、息子から手作りの朝御飯が届くなんて……流石俺の息子!!」
『な、泣いている……どうしましょう夜夢さん。朱李様泣いてしまわれましたよ?』
『そっとしておこう……それだけこの場所に残ったのが辛かったのだろう。』
馬鹿のお守りの為に残らざるを得なかった俺としてはまさに砂漠のオアシス……あぁ涙が止まらない。ありがとう紅蓮。そして紅蓮の眷属達よ。ここまで運んできてくれて感謝する。あ、この牛肉お駄賃にやるよ。ん?自分達だけじゃ悪いって?良いの良いの…。あ、そこまで言うんだったら……はい、牛肉いっぱい持ってって♪ ん?あぁ…大丈夫だ。これは俺が馬鹿のお守りで貰った物だから。紅蓮達と食べてくれ。え?俺は良いのか?
ふっ……コイツと食べると……味気無いんだよ。だから皆で食べてくれ。客人も居て大変だろ?食費とか。何?紅蓮が狩りをしてくるとな……そうか、うんうん……大きくなってな……あぁ…これは嬉し涙だ気にしないでくれ。
「ん?なんだそれは。」
チッ! 役立たずが話しかけてくるな。俺は今至福の時を……
「見たことのない麺麭だな。どれ、食べて……」
あろう事か馬鹿は俺の息子手作りのサンドウィッチに手を出そうとした。
「知れものが!! 馬鹿にやるモノは無い!その汚い手で触ろうとするなー!!(*`Д´)ノ!!!」
「グブッ……」
俺のサンドウィッチを食べるなど千年早いわ。食いたかったら仕事しろ。
「そうだな……この仕事を全て終えたら一切れならくれてやろう。ま、この書類の山を俺が食べ終わるまで終えればの話だが。」
積み上げられた書類の山は二つ……ま、お前の能力じゃ無理だわな。
「そ、それは無理だろ……一切れくらいくれても良かろうが!」
「じゃかしいわ!! お前が今まで遊んで暮らして溜めていた仕事だ。怨むなら過去の自分を怨め。」
全く。お前が見張っていなければ仕事をせぬから俺がここに残らされたのだぞ。それに昨日まで俺はお前の仕事の半分を手伝っていたのだ……これくらいの仕返し、まだ許されるだろ。
「ん?なんだ……(手紙?)」
「俺は誰にも心配されないのか……orz」
仕事が滞る事は心配してるぞ皆。ま、舞子辺りは同情してたぞ?一ミリ程なら。
俺がコイツに対する心境は姪っ子のダメな旦那を見ている様な感じだ。実際そんな感じだよな……
と、そうだ、手紙手紙……。タマゴサンドにかぶり付きながら一緒に同封されていた手紙を広げ読み始める。馬鹿は始終「俺にもくれー」等言っているが無視だ。タマゴサンドうめぇ♪
何々……
~~~~前略、父上様。黄の国では如何お過ごしでしょうか。私は漸く眠りから覚めこの様に何の変わりもなく動けています。そちらの食べ物や水は体に合うでしょうか? 父上のお体が丈夫なのは重々承知しておりますが、何分気苦労の絶えぬ職場と聞きます。お体の方は大丈夫でしょうか?僭越ながら少しばかりの食事を眷属達に運ばせました。お口に合うと宜しいのですが。季節も移り変わり初夏を迎えております。季節の変わり目に体調など崩さぬようにご自愛ください。処で、話は変わりますが、我が家では少々厄介な事態になっております。母上の体調が宜しくないのです。食欲はあるのですが、何時にも増して注意力が散漫して今朝も中々起きて来ないのです。これは私の個人的な見立てでは有りますが……やや子を身籠られているのやも知れません。なので父上にはお早い帰宅をお願いしたいのです。お忙しいのは重々承知しておりますが、我が家の周りには刺客の影が見え隠れしております。どうも私一人では対処しきれません。父上、我が家に危機が迫っています。どうか一刻も早いご帰還を願います。草々……
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な、何て堅苦しい手紙……いやいや、そこじゃない。え?やや子?子供!?麗春そんな事一言も言ってないぞ!え?刺客!?!?
「こうしては居られん!」
「は?」
「おい、さっさと仕事を片付けろ。一大事だ!!我が家の一大事だーー!!!……ゲホゲホ…」
『これが俗に言う「爆弾発言」何ですね……主様は何と手紙に書かれたのでしょう?』
『あれほど慌てるのだ……余程の事だろう。』
代2子誕生か? いやいや、刺客の方が心配だ。いやいや、子供も麗春の体調も心配だが、あぁ~全部が心配だ!!
「さっさと仕事を片付けろ~!!じゃないと俺はこの国を滅ぼすぞ……わかってんのか?あぁ?」
「す、スミマセン……何分多すぎて首が回りません。」
それはお前の努力が足りないからだ!! 燃え尽きても良いから昼までに終わらせろ。じゃなきゃ……
「黒焦げになりたくなければ……総員キリキリ働け
!!」
この馬鹿だけじゃない。実際に働かない部下も悪い!! こうなりゃ自棄だ! この根性ふにゃふにゃの腑抜け共に日本のサラリーマンの底力見せてやらぁ……ハッハッハッハッハ……
「そこ!」
「ヒィィ……」
肥に肥えた腹の文官に活を入れる。食い物を食べながら、ボロボロ溢しながら仕事をするなど言語道断。仕事なめとんのか!?
「書類にボロボロ食べ物を溢すな! 食べたいなら仕事が終わってから食べろ!書類が汚れるわ! それとそこの!」
「はひぃぃ…」
次は少し痩せた生真面目そうな文官。コイツ真面目なのは分かるが……要点を書かずにべらべらと矢鱈長い報告書を書く……要点を書いてくれ。
「要点を書いて出来るだけ短くまとめろ。長すぎて何が言いたいのか分かりづらい。」
「は、はい……」
「落ち込むことはない。これから直せれば良い。だが……おい、そこのー!」
「何ですか~?」
この世界にもいたかやる気のない若者……何をするために職場に来た。やる気がないなら帰れ。てか、男の前とか以前に化粧を仕事中の机でするのはどうかと思うぞ。正直引く。化粧は見えないところでしなさい。それと、そんなに時間が経っていないのに化粧は崩れんぞ? 気にしすぎだ。
「やる気がないなら帰れ。仕事が出来ないのはソイツの能力。まだ許されるだろう。だが、お前のようにタダ何もせず髪を解かしているならさっさと帰れ。クビだ。違う部署に行け。」
「だって~やる事がないんですよ~。私貴族出身何で、こんなことしたことないですし~」
ならなんでここに来た。
「ここなら~未来の旦那様見つけられるかなぁ~って思いましたから~。」
頭が痛い。仕事が出来ないなら教えて育てるのか上司の仕事だが、端からやる気の無い奴はどうしようもない。ま、やる気を引き出してやるのも上司の仕事か?
「ある程度仕事が出来る女は家の事を取り仕切る能力があると見られ引く手数多だろうな……」
「本当ですか? ん~~なら頑張ってみようかな?」
良かった……コイツが単純でノリが良いやつで。さて、肝心の馬鹿の進み具合は……
「う゛う゛ぅ゛~~。」
「お前に期待した俺がバカだった。」
全く進んでいなかった。
俺は紅蓮から届いたサンドウィッチを麗春作のウエストポーチ(巾着タイプ)に詰め込み自分の分の仕事を始める。………不本意だがコイツらにもやろう……少なめに……仕事が終わったらご褒美にでもやろう。
キチンとやれば……やれば……な?
待ってろ麗春、紅蓮。仕事が終わり次第直ぐに行くからなーー!!!
我が家があるであろう方角を見つめ誓い仕事に取り掛かかった。目標・書類の山を半分にする!!
さぁ、根性見せやがれ野郎共!!
仕事もあと少しとなった昼頃に事態は急変した。
「へ…陛下!!」
「なんだ……」
走るの厳禁な廊下を爆走してきた文官……見かけによらずアクティブだな。その文官が慌てて駆け込んできた。まさか国の一大事か?だが悪いが俺の家族も一大事だ。お前らでどうにかしてくれよ?
「我が国に拠点を置いていた……ゲボッ……暗殺集団が壊滅したと報せが入りました……ゲボッ!」
「……暗殺集団?」
な、何だって!!………な、雰囲気だが正直知らんかった。なに?その厨二臭い集団。壊滅?誰の怒りを買ったのだか……
それよりも、廊下を走って来た文官よ、君はもう少し落ち着いても良いと思うぞ?水要るか?
「いったい誰の仕業なんだ?」
「そ、それが陛下……真っ白な白龍、しかも子供の様です……」
ん!?真っ白な白龍?子供?ん????(;・ω・)
「炎を操り、人の姿であっても小さな身にはあり得ないほどの怪力で手練れ達を放り投げたようです。」
ま、まさかな……まさか……ハハハハハ……は。いや、でも、紅蓮は龍の姿は真っ白だし?白龍は本来銀色だし?………紅蓮?
紅蓮!!!!! せめてお父さんが帰るまで待っててくれても良いんではないか!!
こうしちゃいられん! 仕事はコイツらに任せて俺は帰る!!国なんか知ったことか!!無責任?
ハッ(嘲笑) 家族を守れなくて何が国だ!……それにもとはと言えばこの馬鹿が仕事を怠ったからだろ。俺がコイツに手を貸す義理なんて無いぞ。
「お、おい!どこに……」
「うるさい!俺は帰る!!」
「「「えっ!!」」」
「俺が帰るのは一時的だ。明日には戻る。それまでに終わっていなければ、そこの陛下を吊るす。分かったな?」
白龍の姿になって窓から飛び出した。待ってろ麗春……今帰る!! そして紅蓮、今すぐ帰ってきなさい。心配だから!!(。>д<)
そんな俺を見送る奴等は唖然として見ているしか出来なかったとか……正直すまん、文官達よ……は? お前は論外だ馬鹿者。さっさと仕事を片付けろ。
以上朱李さんの受難でした。 KY陛下は只今とてつもない借金をしております。ですが、あの書類整理はタダ働き同然で王引退後でも働く予定です。返済にどれ程掛かるかは未定です。




