一網打尽は骨が折れる
大暴れの巻……。誰がとはあえて言わない。
不思議なこの土地で比較的開けた森のなか……ある集団が誰かを待ち構えていた。どうやらイライラしながら待っている。
「奴はまだか!!」
「確かに遅い……」
「これ以上遅ければ長が黙ってはいないぞ」
「ハッ……どうせ奴の所為にすれば良いさ。あのノロマ……いつまで掛かっているんだ。」
散々な言われように私は唖然とした。コイツら仕事舐めてるな。暗殺集団ならそれらしくしてろよ……仕事の時くらい。
「今戻った……」
一人の若い……15歳程の男が愚痴を言い合う集団に近付き話し掛けた。仲間のようだ。
「遅いんだよ……どれだけ時間掛けんだ!」
「腹へったからさっさと帰るぞ」
「終わったんだろうな? ん?その小脇に抱えてんのは何だ?……目標の子供か?」
「テメェも漸く俺らに気を利かせたのか?」
「へぇ~コリャ別嬪だな。」
小脇に抱えている子供の顔を近付いてわざわざ確かめる悪趣味集団。右から長身中肉の中年、低身長のポッチャリ、中背痩躯
目付きの悪い中年。
悪趣味集団はどうやら若い男が連れてきた獲物(遺体)を献上するために連れてきたと思っているようだ。やれやれ……人の趣味にはあまり非難しない方だが……それはダメだろうそれは。それが許されるのは二次元だけだ。いや、主要もそんなに……知らんが、私はそんなのイヤだな……うん。何より倫理的にアウトだろ。
「いつ聞いても気持ちのワリィ趣味だな。生きてる人間に相手にされないからって……死体にそんなことしているなんて……いつか怨みに身を滅ぼすぜ。倫理的にどうなんだよ。相当恨まれてるぞアンタ等。」
「あ゛ぁ゛? お前年輩にその口の聞き方は何だ!」
「誰のお陰で生きていられると思ってんだ!ああ?」
「テメェの親がテメェを棄てて俺ら一族が育ててやったってのにその言いぐさは何だ!!」
親切の押し売りは単なる自己満足……
「あ、その事だけど……俺ってアンタ等に忠誠誓ってるわけでも無いんで……一族辞めます♪」
「「「はぁ??」」」
後輩に辞めます宣言されて驚くマヌケ集団は開いた口が塞がらないようだ。そのまま顎が外れてしまえばいいのに……。それにしてもこの若い暗殺者……ノリノリである。
「テメェ……一族に背くなんてどういう事かわかってんだろうな…」
「テメェの命はねぇーんだぞ!」
「そもそも、テメェみてぇな疫病神なんかどこに行っても厄介者扱いが関の山だろ。それを……」
そろそろジットしてるのも飽きたし……動こうかな?
『まぁ、アンタらの所に居るよりもマシだと思うけど?』
「あ、それは言えてら…。さっすがボス~。もっと言ってやれ!」
水を得た魚の様に生き生きしている若い男、もとい、今回の協力者……名前は知らん。私の眉間に鉛弾をプレゼントしてくさりやがった野郎……暗殺者君だ。
今回彼には色々と協力してもらうつもりだ……バリバリジャンジャン馬車馬の如く働いてもらうのでそのつもりで。なに?人権侵害だ?人の眉間に容赦なく鉛弾をプレゼントしてくる輩に人権はない。
はい、どうも皆様……私、頭を撃ち抜かれてもどこぞの半魔の赤いコートの男よろしくピンピンしております。最近―特に目覚めてから―チートに磨きが掛かってきた九尾狐に窮奇に白龍の血を引く紅蓮です。おやぁ?私が死んだと思いました?
「貴様!!……死んでたんじゃ……」
「テメェ!…仕留め損ねたな!!」
「チッ!役立たずが!」
『散々な言われようだけどさ、こいつの一撃は確かに私を仕留めたよ……私が死ななかっただけで。』
愉快なマヌケ集団は遅い動作で今更各々武器を取り出した。遅い、亀より遅い。亀の方が危険察知能力は高いぞ!
「確かに俺の狙撃で眉間を撃ち抜いたぞ。それに心臓も止まってた……ま、見ての通り生きてっけどな。」
「テメェ!この穀潰しが!!」
『それをお前らが言うな! 役立たず?テメェ等に言えた義理か? ずっと年下のこいつに仕事全部押し付けてお前らはなにもせず高みの見物……テメェ等の方が穀潰しだろ。あと、そのみったくない面をこっちに寄越すな!気持ち悪い!!』
睨みながら言い放つ。若干眉間から血が流れているけど……そろそろ治そうかな? するとマヌケ集団は……
「…ひっ!……」
「ば、化け物っ!」
「く、来んな来んな!!」
愉快なマヌケ集団は面白いほど腰を抜かして慌て始めた…。フハハハハ……愉快や愉快……あ、逃げようとして転けてる……ぶふふふ……ダサァ…
『何だ? 暗殺集団なんだろう? こんな見た目で怖いか??……フフフフフフ……』
「あぁ……あのさ……愉快なのは分かるけど……そのビジュアルはヤバイって。例えるなら……かなり綺麗なゾンビ? いや、すいません。お願いですからその顔でこっち見ないで~…」
大概な言われようである。まだ生きているぞ私は。失礼な……ただ眉間の弾丸が貫通した傷痕から血がドバドバ出てるだけだろ。それと、未だに抱えられているので髪がサ〇子さん状態なのも原因か?
しかも血を流し少々貧血気味で肌の色が真っ白だ……まるで本当に歩く屍だろう。うん、ジンなら絶対に「どっかにハンドガンかロケランかバールの様な何か(撲殺用)ないか? ネールハンマーでも、火掻き棒でも………」とか冗談半分で言いそう。ホラー好きだから。私は断じて死人でもゾンビでもましてやエイリアンでも無いからな? 中々死なないけど……違うぞ!!
「さ・て・と……どうするボス。コイツら縄でグルグル巻きにしといたけど……ここに転がしといてもいくね?」
『別に良いけど、次の日になったら血の跡しか残ってないかもよ? コイツらがどうなろうが別に良いけどさ。』
比較的安全だけど、やはりここは森のド真ん中だ。無防備……それも身動きできない獲物が転がってれば……大人しい奴等も黙ってはいない。食い殺され跡しか残らないだろう。奴等は森の掃除屋だから。それに私の血の臭いが少なからず付いている。もうダメだな。救いようがない。
『この土地の主の息子だからね私は。そんな息子の血の臭いを付けてればタダじゃ済まないだろうね。』
「へー。慕われてんのなお前の母ちゃん。」
『慕われてるのもあるけど、何より強い者に従うからね……コイツらが母さんよりも強ければ……襲われないだろうけどね。』
「無理だな。コイツら俺より弱いし」
『だよね~。今現在こんな見事に負けてるし。絶望的だよね……南無南無……』
「だよな~。俺もボスには負けるしな……南無南無……」
『「………アハハハハ……」』
『勿論アンタも侵入者なんだから……ね?』
「アハハ……助けてくださいお願いします。」
ふっ……しょうがないな~。下僕なら考えないでもないよ?
「しょ、しょっぱい……」
さてと、さあさあ馬車馬君、キミの一族の場所に連れてけ。あ、場所だけ教えてくれれば後はこっちで移動できるから。ん?どうやって?……それは企業秘密だよ。
「泣いていいっすか?」
『泣くなら後にしてね♪』
「(T-T)」
あ、そうそう。この粗大ごみ(愉快なマヌケ集団)は家に持ち帰ってね。邪魔だから。
「了解ですボス。(容赦ねぇー…)」
さあさあ……暗殺者集団に殴り込みに行こうかな。そんで、依頼した黒幕を教えてもらわないと~。口を割らなかったら?……さて、皆様にお教え出来るような事は無いかと……フフフフ……
こうして、とある国に根を下ろしていた暗殺者集団は一夜にして壊滅したのだった。まぁ、一夜何て言ったけど、実際は昼間なんだよね……言葉のあやだよ。
伸びをしつつ廃墟と化した建物を見渡す……別に好きで壊した訳ではない。不可抗力だよ。いきなり襲ってくるから仕方無く…し・か・た・な・く・!応戦しただけだし~。……いや、自分でもやり過ぎたとは思っているよ?
「あー……ん~~……と。いやぁ…勘を取り戻す良い運動になったよ。ハハハハ~。」
「そうですかそうですか……。壊滅した村で高笑いしないでくださいよ……おっかねぇから。」
いや、スマンスマン。何かこんな時は高笑いするのがセオリーかな?と思ってな。ま、壊滅と言っても誰も死んでないし、皆五体満足だよ?
「そのナリでドンだけ怪力なんだよ……一族の手練れが一発KOなんて……さっすがボス。そこに痺れる憧れる~~(棒読み)」
そんなわけで、私は見事暗殺者の壊滅と黒幕の情報を得ることが出来ましたとさ。
それと、馬車馬君コト、暗殺者君と暗殺者集団の協力を手に入れましたトサ♪
フフフ……今に見てろよ黒幕共……捕まえる為とは言え、嫁さんに心配を掛けさせたコト……許さんからね……フフフ……
この話のサブタイは「暗殺者君の受難その二」でした。
ちなみに、暗殺者君は妖怪です。ある理由から親に捨てれました。そんで、暗殺者集団が拾い育てる……と、言ってもマトモな育て方はしていません。その話もどこかでちょっといれようと思います。




