大物を釣るには大きな餌が必要だ
三話連続投稿最後の話です。
俺はどうすれば良いだろうか、このような場合は……。
あ、どうも。紅蓮の妻(不本意)のちょっと根暗と呼ばれる(ゲームでの事)藍苺だ。前世は男で同じく前世は女だった紅蓮の旦那だ。今は妻だけどな。現在二人とも8歳の子供。最近まで前世の事を大半忘れていたが、あの「魔の2週間」騒動(命名俺)の間に大方の記憶を取り戻した。細かい記憶はまだ戻らないが……。
レンは……イヤ、ベルは俺にとって大切な存在だ。勿論前世で息子だったシュウも大切だ……天秤に掛けるなんて出来はしない。だが、あの子はもう俺達の子供では無くなってしまった……喪失感というのはいつまでたっても消えないものなんだな……。俺もベルも未だにシュウの事は忘れられないでいる。特にベルは未だにシュウの事を気に病んでいる。自分の所為で死なせたと思っているから。
あいつは昔から本音を隠すのが上手い。そりゃあ人をおちょくって遊ぶほどSっ気があるが、人並みに弱い部分もあるんだよ。いくらあの2週間で何か成長する事があったとしても……そうそう人ってもんは強くなれはしない特に精神的なモノは。分かるんだよ……俺も弱いから。
さて、話が変な方向になったが戻そう。今の状況は、レンの眷属の管狐の奏がイガグリの首を絞めている。危険な状況だ。
俺はどうするべきか……。イガグリは一応は黄の国の王子だ。ここで死ねば外交問題に発展するか?そうすると白の国にも迷惑がかかる……だろうか?白の国も一応は俺の故郷だし、それだけは回避したいが……コイツがまた暴れでもしたら面倒だし。え?酷いだろ? ハッ(嘲笑)自分の身を守ることの方が優先だろ。それに、いくら奏でも絞める力に手加減はしているだろ。
『きゅきゅ!! ご主人さゃまの大切な人に触るなでしゅ!!』
「グァ…グッ!…ウ゛ゥ……」
奏が何と言っているか俺には分からないが、俺に近付くな的な事を言っているのだろう。レンの眷属は皆総じて主思いだから、その妻という位置にいる俺も保護対象になるのだろう。特に奏は黄の国に俺が連れ去られレンに化けた黄童子に刺された事を気にしていた。二度と同じ過ちはしないと意気込んでいるのかも知れない。が、やはり首を締めるのは不味いだろ。
「奏……首はやめてくれ。出来れば胴体に巻き付いて腕の自由を奪うくらいが良いと思うぞ。じゃないとソイツ死んじまう。事を大きくさせたくない。頼むよ、奏。」
『きゅう~~…仕方ないでしゅ。頼まれてしまいまちたし……きゅう…』
仕方ないと言わんばかりに首を緩めた。俺はイガグリの背後に回り両腕を拘束して奏が胴体に巻き付き易いようにした。そして首から胴体に移動して巻き付いて拘束する。管狐の体は一体どうなっているんだろうか?伸縮性が驚異的だぞ。イガグリは確かに子供だ。その子供の胴体だからといって何重にも巻き付く何て驚きだ。本当にどうなってんだ?
『きゅ!大人しくお縄にちゅくでしゅ!!ご主人さゃまのけんじょく(眷属)になってから力には負けないでしゅよ!』
「(何て言っているのか気になる……あ、この事麗春さんにいった方が良いよな……)」
呑気にそう考えながらキッチンから出てリビングに向かう。それにしてもイガグリは一体どうしたのだろう……ここに充満する魔素にでも当てられたか?
リビングに続くドアを開けようとした。しかし、ドアノブに手がかかる前にドアが開き報告しようとしていた麗春が目の前に立っていた。ナイスタイミング?それとも俺は遅いと言うべきなのか?
「ランちゃん!!」
「ナンデスカ麗春サン?」
自分でも驚くほど片言になっていたのには突っ込みは無しで。結構驚いていたのだ。
「………大丈夫そうね?(な、何で片言?)」
思いの他勢いよく開けられたのだろうドアから衝撃波でも出ていたのだろうか?後ろを振り向くとイガグリが巻き付いた奏ごと倒れていた……衝撃波何て感じなかったのだか?それとも奏に絞められた影響が今頃来たのか? 遅いなぁおい。
「……奏ちゃん……何で大雅王子に巻き付いているの?」
「?(イガグリが暴走したから来たんじゃ無いのか?)どうかしたのデスカ?」
未だに片言が出てしまった。
「あ!そうよ! ちょっと奴らが動き出した気配がしたの。リビングに来て。一ヶ所に固まっている方が守りやすいの。」
なんだ、奴らが動き出したから防衛の為に俺(とイガグリ)を呼びに来たのか……。まさかホントにイガグリの異常さに気がついてないのか?まさかなぁ……え?マジで?
「あの……麗春サン?イガグリ……じゃない、大雅王子の様子がおかしいんですけど……」
俺はイガグリの異常性を有りのまま話した。病んでる所とか、自分なら俺を幸せに出来るとか多少ナルシストが入ってる様に見えた事とか……
「え?……あぁ……アレね、遺伝ね。舞子もダメ陛下も思い込みが激しいのよ……そんな血をダブルで引いたら……ほ、ほら、多少~…そんなところがあるんじゃないかしら?(多分それって魔素の影響かも……この子そんなに耐性無かったの?)」
「迷惑だな。心底(そんなの知らねぇよ。原作の主人公だか何だか知らねぇけど、俺とレンを巻き込むなってんだ!)」
原作がどうとかかなり神経質になっているレンや麗春さん達には悪いけど、言いたいことはコイツに言った方が良いと思うぞ。レンから聞いた原作主人公の性格は、世間知らず・無知・能天気・暑苦しい程の正義感……らしいぞ。能天気と暑苦しい程の正義感は性格だ、仕方ないと言えるが、世間知らずに無知は無いだろう。
思うんだけど、主人公のコイツを更正すれば多少どうにかなるんじゃないか?
レン達は「主人公が変に知恵をつけて勝手に動くのは予想できない」「変なところで正義感振りかざされると目障り(レン)」等など……フラグ回避に必死だ。特にレンは本音が出るほど必死だ。
「大雅王子は私が運ぶわ。舞子も心配してたのよ。急に居なくなるから……。でもまさかランちゃんの所に来てそんなことを言うなんてね……(原作でも主人公は藍苺に横恋慕だったものね……。コウちゃんが大雅王子を快く思っていないのも分かるわ)」
「本当にビックリした。」
麗春さんに担ぎ上げられているイガグリはとても滑稽だった。あんな細腕でよく様に持ち上げられると感心しながらリビングに向かった。
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『ホレ、お前の言う通り「お前が家から出るよに見える」細工をしたぞ。その扉から入ればよい。』
白神の言う扉は森のなかに突如出現した。白い扉が森のなかにポツリと浮かんでいるように見える。まるで青い真ん丸頭のネコ型ロボットの秘密道具のど〇でも〇アみたいだ。色違いの。
「ありがとう。さて、さっさと帰ってお邪魔虫は退散してもらわないと……
『そのお邪魔虫はあの王子達も入っている様な口振りだな』
実際その通りだろう。あと数日はのんびり嫁さんと過ごしたかった。二人っきりで……二人っきりで!!
『大事なことだから二度言ったのだな。』
(ちょっと、心を読んでいいのは、この()内だけって決めただろ。人権侵害だ。)
『いや、()の中って……メタいな~。「(# ゜Д゜)」………いや、すまん。』
ふぅ……気をとり直して。さて、狩りも予定より早く終わったしとっとと家に帰ろっと。
『昼頃まで掛からず終わったな』
そうなのである。思いの外早く終わった。コレで大物も簡単に釣れれば良いのだけど……
そうもいかないのが現実だ。
扉を開けて入る。他から見たら私が丁度玄関から出てきた様に見えるだろう。
見慣れた玄関前の庭……気候が年中常春のおかげで花壇の花はいつも咲き乱れている。それにこの場所は春以外に咲く花以外でも咲くのでとても見ごたえがある。特に今咲いている花は夾竹桃……花言葉は……
どこからか火薬の臭いがした。それと金属の擦れる臭いと音……乾いた発砲音……そして
「……ッ…!!」
頭に感じた激痛に私は意識を飛ばした。
どうなる紅蓮。
帰ってきてもこんなのばっかでごめんよ紅蓮。
花の名前に間違いがあったので訂正しました。「沈丁花」× 「夾竹桃」○




