エピローグ的な何か
紅蓮視点の再会
ようやっと戻って来たら見知らぬ部屋で寝ていた。しかも周りには誰もいない……あれま、見棄てられた?
「でも、嫁さんの匂いはするし……」
今居ないだけなのだろうか。あ、匂いとか変態臭い事言ったけど、私、狐だし、虎でもあるし……基本獣的な考えなんですよ。だから変態とか言わないでね?
さて、部屋を出てみよう。扉を開けて出てみると……
「うわぁ……」
広間……かな、まるで湖に浮かんでいるように建てられた建物の様だ。何て言うのかな……屋根がある清水寺+崖ではなく湖な感じ。うん。私の説明では無理があるな。
そんな感じの建物の様だ。建築様式は平安次代辺りの建物に似ている。でも平安次代の建物に扉は無いんだろうけど……基本御簾で遮られているだけだって聞いたし。
長い異世界旅行は殺伐とした事も多かった為、こんな綺麗な景色を見る暇はあまり無かった。早く帰りたくて自棄になって周りを見なかった所為もあるけど。
ここにはポチ達の気配もする。この2週間でポチ達と縁が切れてないと良いけど・・・大丈夫だと信じたい。
手摺りから身を乗り出して湖を眺めていると、懐かしい匂いがした。これは・・・桜?
ずっと見たかった桜の匂い。長い異世界の旅でも似たような花はあったが桜は結局無かった。それが、この世界に戻ってきて有るなんて……白神のやつ何かしたのか?
気になる桜の匂いに引かれて見覚えの無い邸をさ迷う……やけに広い邸だ。私が眠る前こんな邸は無かったハズだ。いくらハイスペックものスッゴいチートの母さんでもたったの2週間でこんな邸を作れるだろうか……アレ?出来るかも……ハハハ……
何はともあれ、外に出られる所を見つけよう。
「確かここを真っ直ぐ行った先に吹き抜けの渡り廊下があったはず……ソコから外に出られる。」
…………何で知っているのだろう。いや、邸とか造りは何処も大体一緒だろう…多分。
邸の造りを何故か知っていることはさておき、庭に出るため渡り廊下に足を向ける。どうやらここは戦闘等想定されずに創られた訳では無いようだ。何だかえげつない……罠がところ狭し…とはいかないが、かなり仕掛けられている。が、
「罠が外されている……なんで?」
こんなときナビの白神が居ないと不便だ。旅では居たくなくても四六時中一緒だった。
まぁ良いか。罠にハマる心配をしなくていいし。本来侵入者を捕らえる仕掛けが取っ払われた庭に出る。何故か罠を仕掛けてある場所が分かるため「あぁここのも罠が外されている」等と思いながら桜の匂いを追う。何とも不思議な事だ。
そして私はたどり着いた。
「…………」
何処か懐かしさがある桜の大木だ。何十年、下手すへば百年その場所に鎮座していたのだろう桜の木が花を散らさずに其所にあった。周りの桜は少しずつ散っているが、この大木だけは全く散る気配がない。それに懐かしい……なんで?
暫く大木の根元で桜の木々を見上げていた。すると後ろから熱烈な視線を感じた。これは・・・・
誰かが走ってくる気配がする。私は何処か確信を持って後ろを振り返る。すると…
「(ほら、やっぱり)」
「レン!」
ガバッと突進しながら抱き付いてきた藍苺を抱き止める。少しふらついたが何とか受け止めることに成功した。2週間眠り続けて多少は体が鈍っていた様だ。
涙でぐしゃぐしゃになっている顔驚きながらも、
「ただいま藍苺」
やっぱり帰ってきたときはこの言葉でしょ?
ほらほら~泣かないで~。日頃泣かない嫁さんが泣くとどうして良いか分からなくなるからね~。あぁあぁ…目を擦らない……
心配かけてごめんね、藍苺
その後、藍苺と一緒に桜の木下でくつろいだ。ポチ達も嫁さんの側に居た様であの後飛び付いてきた。
「そっか……この庭昔は神様の所有地?だったんだ…。だから誰もいないのか……隔絶されているんだっけ?」
「あぁ、白神の言葉が正しければ。今のところ俺とポチ達以外入ってきてないな。」
嫁さんにとっては2週間ぶり、私には何十年……だったんだか分からない程昔ぶりの再会だ。ポチが持ってきた私のポーチから作りおきした肉まんを取り出して即席お花見をしようかな。
「それで、私が寝てた間に何かあった?」
「はむ……むぐ……もぐもぐ……うんぐ……」
肉まんに勢いよくかぶり付いて頬袋を一杯にして頬張っている。さながらハムスター……可愛い♪
「……うん。急がなくてもいいから。ゆっくり食べてよ。」
「むぐむぐ……んぐ!!」
「!!だからゆっくり食べてよ!はい水っ!」
「ゴクゴク……ぷはっ……あ~苦しかった……」
長いこと見てなかった嫁さんの食い意地の悪さに苦笑い。だけどそれが久しぶりで、ずっと見たかった嫁さんにホッとする。あぁ…幸せなんだね……
「実は、側室側の神様…あ、そいつ黄童子って名前何だけど、そいつが場を盛り上げるためとか言って丈勇(白の王の兄にして藍苺の伯父)とかミン(喧しい女術師)、黄の国の宰相のどら息子どもとKY陛下と舞子に感情を煽る様な術を掛けたんだってさ」
なにその迷惑な術。ソイツ黄童子じゃなくて危(険)童子の間違えじゃないの?
それから話を聞くと結構ちょくちょく妨害工作をしていたようで嫁さんの母親にKY陛下をけしかけたのも黄童子だった。理由は黄童子曰く「だって物語通りにならないでしょ」らしい。は?って思ったよ。アレだよ、黄童子は底無し沼にゆっくり沈んでいけば良いよ。今なら50キロの重りもおませするから。沈んでくれないかなぁ……
それと、丈勇さん(ホントは呼びたくない)なんどけど、生まれた時から黄童子の術に掛かっていたらしくて……一番の被害者だった。嫁さんにそう聞かされて慌てて不能の呪いを解こうかと思ったら「まだ完全に術が解けた訳では無いからまだ保険として掛けたままにしておいてくれ…」らしい。ホントに同一人物か疑いたくなる。
KY陛下はマトモになるのか心配だが、完全に正気には戻った様だ。だが、あのKYっプリは健在。未だに母さんにアタックしては父さんに返り討ちにあっているとか。舞子も前よりは性格が軟化したらしいが……私は自分の目で見ないと信じない。KY陛下を支えるより自分で天下とる方が良い…何て言っているらしい。まぁ、前よりもマシにはなっているようだ。それよりは父さんと舞子が親戚ってのに私は驚いたよ。前世の話だけど。
煩い女術師のミンはアレから左遷された。自分から申し出たらしい。何か思うことでもあったんじゃないか?
さ宰相のどら息子の馬鹿二人はマトモに……はなっているようだ一応。弟は脳筋の古典的な体力馬鹿なのはまだ良いが、兄のサディストの方は……うん。元がマトモでないのだから仕方ないよ。その二人は今、兄弟で一番のマトモな弟にコキ使われているとか。ザマァ。
白の王達も忙しそうに黄の国の復興に尽力している。王子は幼いながらも派遣する人材を集め、一姫は物資を集め、弟王子は……笑顔を振り撒いている。王妃は他国の動きに目を光らせ笑顔で牽制し、王は……王妃の尻に敷かれている。いつも通りだそうだ。
そして一番の驚きは……緑の髪の少女……実は……
「ミケだったなんて……」
「俺も聞いたときは驚いたよ…」
世界って案外狭いのね……
そうそう、私達の運命は予め決まっていたんだって。藍苺は子供の時に死んでしまう何て未来だったそうな。ふざけんなの一言に尽きる。
そんな神に決められた死亡フラグを私はへし折った……うん。よくやった、私。
そんなわけで……フラグ?知らないなぁ……何てね。
―おわり―
一応この物語はおしまいです。………が、番外編的な話はちょこちょこ書きたいと思います。
それでは、これまでお読みいただきありがとうございました。m(__)m




