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その頃囚われの姫は………

 藍苺が拐われてから色々とありました。そんな時の藍苺視点です。

 折角のレンとの再会とポチや他の眷属達と楽しいふれあい……モフモフタイムを堪能していたが、いきなり知らない場所に眷属達と飛ばされたレンこと、紅蓮の一応嫁の藍苺だ。中身は男何だけどな。前世の記憶的には。


 見知らぬ場所に眷属達と閉じ込められている。が、何故かみんな影に潜んでしまった。ポチだけでも居ればモフれるのに……いや、今考えるのは違うだろ。どうやってここから脱出するかだ。巷で流行っていた脱出ゲームと違いヒントも何も無い……こんな所から果たして出れるのか?



「どうしたもんかな……」


「クウ~」



 しかも極めつけにポチ達と意思の疎通は一方的だ。俺の言葉は理解してくれるが、ポチ達の言葉(鳴き声)は理解出来ない。レンなら言葉を理解出来たのにな……やっぱり妖怪の血が薄い俺には動物の言葉を理解することは出来ないのか…?


 そう言えばレンのやつ「夢を壊したくなかったら知らない方が身のためだよ」何て言ってたな……そんなことよりも!


「なぁ…どうすればいいんだ?」

「きゃん?」


 俺の影から頭だけだして頭を傾げたポチ。可愛いけどビシュアル的に仔犬の生首状態は薄暗い牢獄には不気味だ。薄暗い牢獄じゃなくても不気味だ。


 そう、俺は牢獄に閉じ込められていた。どうすっかなぁ……チートなら色んな手で脱出出来るだろうけど……いや待てよ、俺ってパワーだけはチート並みだったよな?


「きゃん!」(いけません!ここから無闇に出ては怪我をします。)


 牢屋と言えばお馴染みの鉄格子で遮られた部屋だ。その鉄格子を力業で壊せないかと思い鉄格子に手をかけると……ポチが強く吠えた。どうやら「ダメだ」と言っている様だ。



 良く考えてみれば俺って何の力も無いんだ。あるのは力のみ。それでここに飛ばした誘拐犯とばったり遭遇したら……対処出来るか?俺に……



 けど、囚われのお姫様何て柄じゃない。ん~~……どうしたもんかなぁ。



 自惚れかもしれないけどあいつは…レンはきっと助けに来るだろう。ホント自惚れだよな。でもホントに来るだろうなぁ。変な事だけど確信している。


「悪いなポチ。ジッとして助けを待ってるのは性に合わないんだよ……特に、レンが助けに来るかも知れない時は……絶対俺をダシに脅されるだろ? そんな事は無いかもしれない…けど、」


「クゥー……きゃん」(ならば、その様に。我らは貴女に着いていきます。)


 何だか……背中を押されているように見えた。ポチが何か喋ったとたん他の眷属達も影から出てきた。勿論首だけでなく体全体だ。


「きゅー」(ボクもお供しましゅ!)


 薬入れに入っていた奏は薬入れから出てきて俺の周りをフヨフヨ浮かんで元気よく鳴いた。他の兎天と夜夢は静に……多分頷いていた。個性って出るんだな。


 牢屋を出るのは割りと簡単だった。鉄格子を思いっきり引っ張れば簡単に壊れた。パワーチート万歳!




『なぁ、天狼よ。』

『何だ大蛇。』

『良いのか? この様に勝手に行動しては……主殿が迎えに来たとき困らぬか?』

『……ここに置いておくのも心配だ』




 牢屋はかなりの数部屋が有るようで……ここは何処かの城だろう。こんなに牢屋が有るなんて人々を纏める者が住んでいるか、拷問好きの変態が住んでいるかくらいだろう。前者であってほしい。


 ざっと見20程の牢屋が道の両端にズラリとあるよくある(か?)牢屋だ。俺はさっきから何度牢屋って言ったのか?まぁそんな事はどうでもいいか。


 兎天が先導してくれるお陰で誰かに遭遇することは先ずないだろう。多分……



『大丈夫なのでしょうか……主様と無事再会出来るといいのですが。』

『きゅ? このままだとできないでしゅか?』

『出来ないこともないと思いますが……迷子になったらその場を動くなと、両親は言っていました。』

『今回は迷子ではなく誘拐だ。一刻も早く奴らの魔の手より遠ざける事も重要だ……と思う。』

『せ、先輩まで不安にさせないでください!』




 にしても、牢屋に看守が一人も居ないなんておかしい……ここは無人の廃墟か何かなのか?


 廃墟と言えば……幽霊……居ないかな……幽霊♪



 あ、何かワクワクしてきた♪



『……奥方の様子がおかしくないか?』

『この前主が言っていたぞ、「ほらー好き」と。ほらーとは何だ?』


『『(何だろう…)』』『なんなんでしゅか?』



 歩いて直ぐに上の階に上がる扉を見つけた。半開きの扉から階段が見えている。上に上がる階段で間違いないだろう。


「牢屋に誰も居なくても、上には居るよな……」


 敵もか弱い……見た目の俺が鉄格子を壊してまで逃げるとは思ってないのだろう。にしても、相手側の神は何をしたいんだ? 俺がパワーはチートなのは知っていないのか?


「なぁ、上に誰か居るか見てきてくれ……頼む。」

「(コク)」


 鳴かずに頷くにとどめた兎天は影に潜み偵察に行った。レンの言う通りお利口さんだな。



 暫くしなくとも兎天は直ぐに帰ってきた。帰ってくるなり俺の袖を嘴で咥えてグイグイ引っ張り始めた。どうやら早く来いと言いたいみたいだ。


「分かった、分かった。」


 俺もまだ体は子供、八歳のガキだ。兎天も小さいが俺も小さい。袖を咥え引っ張っていても歩ける。


 他のポチと夜夢は、今は影に潜み後から着いてくるようだ。階段を上がる。そんなに長くない階段だった。扉があるのでそっと開けて周りを警戒する。気分は敵地に忍び込んだ某諜報員だ。段ボール好きな蛇のやつ。それか……何だろ……気分はそんか感じだ。結構気楽な自分に笑いが込み上げる。


「(見た感じ誰も居ないな……)」


 ホントに廃墟……というわけではないみたいだ。赤い絨毯が敷いてある……絨毯の端は鮮やかな黄色に縁取られている……


「確か……」


 レンが言っていた。国は自らの国の色を城や邸中にその国の色を散りばめるらしい……特に絨毯やカーテンは国の色が必ず入っている……らしい。他国の色は極力使わないようにするとのことだ。どうやらこの建物は黄の国なのか。それとも、黄の国に属している誰かの館…か。


「(どうする……何処かの部屋に隠れるか?)」


 それが得策かもしれない。俺は頭はそんな回る方じゃないし。ふぅ……亀の甲より年の功とか言うけど、それは俺には当てはまらないようだ。無駄に生きてきた訳じゃ無いんだけどな……前世の記憶なんて役に立たないもんだ。


「なぁみんな、俺のお願い聞いてくれるか?」

「(コクリ)」


 みんな頷いてくれた。ありがとう……


「ありがとな。兎天と夜夢は何処か人気の無い安全な部屋を見つけてくれ…ポチと奏はこのまま俺の周りを警戒してくれ……じゃぁ…解散。」


『任された』

『御意』

『はい、行ってきます。』

『警戒しましゅ!』


 兎天と夜夢が一斉に駆け出した。勿論影に潜みながら。どうやら兎天だけじゃなくみんな(奏は未確認)影に潜む事が出来る様だ。


「(あれ? レンは兎天の特技って言ってなかったか?)」





 疑問を考えている時間はなかった。兎天と夜夢は直ぐに帰ってきた。仕事が早いな……



 さっきのように袖を引っ張られ近くの部屋に入る。夜夢が先に部屋に入り警戒する…トラップでも無いか警戒しているのか……スゴいな。俺には出来ない芸当だな。



『主殿の大切な御方……何かあってはいけない。罠は回避せねば……』

『しかしな、大蛇よ。主は我らが傷付くのをとても嫌うのだ。あまり無茶はするな。』

『肝に命じよう…』



 トラップの類いはなかった。ホントにここは何処なんだ? 何て言うか部屋の感想は「成金趣味」の一言で説明できるだろう。金ぴか…キラキラ通り越してギラギラな宝石類……目が痛い。


『きゅ!め、目が痛いでしゅ…これは罠でしゅか!?』

『奏先輩、これは人間達の一種の「成金趣味」と言うものですよ。これが奴らの収集癖の様なものでキラキラが大好きなんですよ。』

『そうなんでしゅか!……カラスしゃんと同じでしゅね……ボク、前にカラスしゃん達にいじめられたでしゅ……その「成金趣味」しゃんも怖いでしゅか?』

『ん~。どうでしょうね。両親が長様(麗春)に聞いた事によると、動物の剥製を飾るのも趣味見たいですよ。』

『ボクも捕まったら……』

『管狐は剥製に出来んだろ……我らの方が危ういぞ』

『ん。蛇の革は優れた素材らしいな……気を付けよう』



 このギラギラな内装の部屋じゃホラーな展開は期待出来ないな……違うな…うん。違う。そうじゃなくて…これからどうしようか?



「それこそ、下手に動けない……」



 ・・・・そうだ。ポチ達に周りを探ってもらえるだろうか……モノは試しに…


「なぁ……お願いもう一個聞いてくれるか?」


「キャウ?」(何でしょう?)

「………?」(お願いと言わず、命令してもいいのだか?)

「クェ?」(お願いとは何でしょう奥方様?)

「きゅ?」(何でしゅ?)


 これは……聞いてくれるって事で良いのだろうか? まぁ試しにな、試しに…


「周りを探ってもらえるか? 何かレン達の助けになるかもしれない……可能性は低いけど…」


 言ってみるもんだ。俺を話を聞くとポチが小さく一鳴きして奏以外の眷属達は散り散りに駆けていった。俺のお願い聞いてくれるのは単に俺がレンの妻(一応)だからだ。ホントにあいつには感謝しきれない。





『管狐は奥方の側で待機…後の者は影に潜み偵察。では解散。』

『あぁ、了解だ。』

『はい。了解しました。』

『僕はまたおるしゅばんでしゅ……』

『留守番はとても重要だ。奥方の警護だ。』







        *********





 その頃、白の国の王宮一室




「もっと警戒すべきだったわ。」


 私は何度間違うの!!


「レイ、紅蓮が向かった。大丈夫だあの子は誰と誰の子だ? 俺達の子だろ?」


 朱李の言葉を真に受けられない……現に私は近くに居たのにランちゃん達の危機に気づけなかった…何度も!!


「彼方も…人質は無下に扱わない。藍苺は無事だ。そう思え……今だけは。」


 私はそこまで器用じゃないなよ、白の王の貴方のようには考えられないのよ。朱李も、それは分かっているわ。コウちゃんだもの、そんじょそこら魔物には負けないでしょう……けど


「相手は神よ、いくらコウちゃんでも……まだ勝てるか……」


 あの子…舞子と決着を着けるのに8年以上かかってしまった。もしもう少し早く決着を着けていたら……


「俺があの時捕まってさえいなければ…な」


 確かに。結果的にはそうだけど…、そんな風には思いたくない。だってあの時は私も油断していたから……


「それなら私も同罪よ」


「そして俺もな。他国の事と手だししなかった俺にも非は有るだろう。何もお前達だけの所為ではないさ。だろ?」


 ・・・・ふふふ…誰よりも変わらないのは王である貴方のようね。朱李と顔を合わせて笑ってしまったわ。さて、こんな所でくよくよしていられない。


「ふぅ……さて、あの子…舞子が何処に隠れているか…藍苺と紅蓮の行き先を特定しなくちゃ。後悔は後でするわ。八咫烏!」


『ここに』


 何も無いところから突然現れた八咫烏に紅蓮や藍苺の場所を探させる。それに他の眷属達にも探してもらう。こう言うときは人海戦術が有利。総勢80人近い眷属達はこう言う時に役に立つわ……ホントは危ない目に会わせたくは無いのだけど、あの二人の事だもの……手段は選ぶ時間がない。




「ん?」


 白の王の彼が雇っている間者が屋根裏から降りてきた。流石白の王に仕えている者ね。存在感がはっきりしない人ね。それに心音が常に一定なんてホントに人なのかしら……サイボーグなんて落ちじゃ無いわよね?


「ん、分かった。引き続き監視と調査を続けろ。」


 何か分かったのかしら?


「何か分かったのか?狛李。」


「あぁ、……街の上空を白龍が翔んでいる時五体の飛竜が突如現れ白龍に倒されたらしい……(流石二人の子供……恐るべし。)」




―こんな会話があったとさ…―







        ********







 ポチ達が周囲の探索に出ていって少し経った。すると…


 ガチャリ……


 扉が開いた音がした。振り返ると紅蓮部屋に入ってきた……


「藍苺!助けに来たよ。も~、捕まるなんて……心配したよ…」


 歩いて来る紅蓮に違和感がある。しかし俺は黙って見つめていた……実は動けなくなっていた。何かしらの術にでも掛かったのか!?


「ホントに……邪魔なんだよ…」


 目を見開いた……浴びせられた言葉にではなく・・・・・自分の腹から飛び出した…違うか、突き刺さっている…ナイフを見て驚いたんだ。



  俺は紅蓮に腹を刺された……






「お前が居なければ、前世でも私は死なずに済んだんだよ……全部お前の所為だよ……ずっと恨んでたんだ。いつ殺そうかと機会を伺ってた……邪魔な奴等も居ない今、絶好の機会だったよ……ふふふ…ふはははは……ハハハハハ…」



 俺を紅蓮が、ベルが怨んでた?俺が居たから死んだ…………俺が……



『きゅ!! 放すでしゅ!!』


「煩いんだよ……雑魚の分際で!」



『きゅえ!!……………』


「ハッ……弱いな…」



 奏? 紅蓮……何で奏を切ったんだよ……お前の眷属だろ! それに……お前刀何で持ってたのか…?



 意識が……遠退いている? あぁ、こんなに痛いもんなんだな……腹を刺されるのって……切り傷って痛いな……うぅ……あいつは…レンは…いつもこんな痛みを我慢していたんだな……助けられてばっかの俺を……恨んでいても……恨まれても仕方ないよな……恨まれても…? 




  恨んでいるのに俺を何で助けてたんだろ……




 俺が最後に見た紅蓮はあいつに似合わない歪んだ笑みで此方を見ていた……あ、レンの目と少し違うな………・・・・・・・―――――――――












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