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真の反撃開始!~先ずは翔ぶ事から~

 反撃と言ってますが、まだできません。


 お待たせしました。待っていてくれる方がいるか不明ですが。



 私が藍苺を嫁さんと呼ぶ理由……それは始めは自分へ自覚を持たせるため…あの森に移り住んでからは、人間嫌いの妖怪たちに手を出させないための牽制。そして今は……




 無性に愛しくて……自分のもんだって言いたくて


       嫉妬心から…… 




      **********








 どうも、ただ今現実に戻って参りました。今から嫁さんこと藍苺を救出に行きたいと思います。一応藍苺の旦那の紅蓮コウレンです。


 戻って来たのですが……どういう訳か時間が止まっております……オイ、白神さんよ…どうなってんのよ?


『済まん、言い忘れた、私の声は他には聞こえないからな。私が藍苺の場所までナビゲートする。』


 不安要素しか無いのだけれど、大丈夫なの?


『大丈夫だ、問題ない。』


 それって最大の失敗フラグか死亡フラグだよ。時間戻してくれる大天使様は居ないんだから…


『それも問題ない。私が憑いている』


 漢字が嫌なんだけど……霊的な何かに憑かれてるみたいで。


『霊的な何かではなく神的な神が憑いているのだ。安心しろ。』


 だからそれが安心できない要素何だってば……。


 今話しているのは白神と勝手に呼んでいる真っ白な神様だ。人の心の中の声に勝手に反応してくれるので一人でブツブツ話しているなんて事にならないのが唯一の救いかも知れない。そんな白神が嫁さんの所までナビゲートしてくれるらしい……これも加護のオプションに入っているなら今後絶対に遠慮したい。


『さて、時間を元に戻そう。分かっているとは思うが、お前の母親や神には私の存在は感知出来ない。お前は決して話してはならん。』


 分かった。てか、そう言う事はもっと早く言っておいてよ。もしも言ってしまっていたらどうすんだよ。


 直接頭に入ってくる声が真剣さを増す。


『心配ない、お前は秘密主義だ。おいそれと他人に話したりはしないだろう。何よりそうならない為に時間を止めたのだ。』


 ハイハイ……スゴいですね~。


『お前は本当に神を崇めたりしないな……』


 あんたにはまだ恩が無いし、何処か隠している節が有るからね。そんな奴を慮る心の広さは残念ながら私には有りません。


 きっと感情が見えたなら呆れ果てた顔をしていることだろう。そんな感情が伝わってきた気がした。


『では戻すぞ。』


 止まっていた絵の様な景色は一斉に動きだし、何処か色褪せた様な周りは色を取り戻した。さっきまで違和感があったが……音が一切無かったからか…。


「間に合わなかった……」


「紅蓮!無事か?」


 私が意識を失って白い壁の部屋に拉致られ少し前の台詞を母さんが喋った。そのすぐ後に父さんが部屋に飛び込んできた。どうやら拉致られるのは私だと思っていたらしい。


「藍苺が拐われた。私の眷属達と一緒に。」


 変なタイムラグがあるけど、冷静に状況を伝える。もしこれがあの後直ぐの事ならこれ程冷静ではいられなかった。この点だけは白神に感謝だな。



『そうか、それは良かったな。』


 良かったから、早く藍苺の所に案内してよ。


『それならその姿では無理だな。龍の姿にでもなれ。さすれば飛べるだろう。何よりお前の一族は何者よりも速いぞ。』


 初耳~。へぇ~そうなんだ。白龍ってのは速いのか……。確かに父さんはスピード狂の気が有るけど……あれってそのせい?


『白龍は大人しい龍だが……その気がある。』


 ほうほう。で? 私さ……龍の姿にはなったことが無いんですけど……窮奇じゃダメ?飛べるよ窮奇。


『確かに奇窮は空を翔べるが……何より速さが足りない。』


 白神よ、お前もしかしてそのネタがやりたいだけだろ……。


『ち、違う。偶々だ! ……しかし、速さが足りないのは事実。奇窮も妖怪の中では速い……が、白龍に比べれば…幾分遅い。何より……』


 2度同じネタをやるのは鉄板ネタだけだぞ。


『話の腰を折るでない! オホンッ…何よりな…白の国では白龍は幸福の象徴なのだ。拝む者は居るが、恐れるものはあまりいない。奇窮は恐怖の対象だ。おいそれと姿を見せれば混乱するぞ。』


 あぁ、そう言えばそうか。奇窮は恐ろしい妖怪って言われてるもんな……。でもさ、どうやって龍の姿にはなるのかさっぱり何だけど……


『んー…。どうもお前は我が強すぎるようだな。自分の姿と認識せねば認めないのか……』


 我が強すぎるのは自覚してるけど……もしかして、だから人の姿には直ぐに戻れたのか?


『で、あろうな。だが、今はその事を吟味している場合ではないぞ。そなたが藍苺の所まで行かねばならんのだ。何がなんでも龍になれ。』


 ヘイヘイ……とは言え…う~ん……龍の姿ねぇ?


 イメージは父さんがなった東洋の龍……翼はなく、長い体と長い二本の髭……鱗に覆われ…馬の様な鬣が尻尾の先まで続いて……後は…そうだ、先が枝分かれした短い角があった………



 目を瞑ってイメージする。こんなことで出来るのか不安だが……これ以外出来ることがない。無駄かもしれないが…やるしかない。


「コウちゃん?どうしたの…何処か具合でも悪いの?」

「ん?……レイ、少しそっとしておこう……何かするつもりだ。」

「でも、それなら危ないわ……まさか、」

「そう、そのまさかだ。」


 両親二人が何事か話しているがこの際無視だ。


「状況は!?」

「しー……静かに…」

「な、何だ?」


 白の王まで部屋に来たようだが、知らん…無視だ、無視。



 必死にイメージし続けた。すると…何だが周りがやけに…眩しい…目を瞑っているのに眩しい…


『ほぉ……出来るではないか。』


 は? 白神の言葉に疑問を浮かべると周りも何だが騒がしくなった。


「コウちゃん……あなた…」

「朱李の子だ…白龍だとは思ったが…まさかな…」

「真の白龍か……流石俺の子だ。」



 は?え?はぁ? 真の白龍? イヤイヤイヤ…え?なんのことだよ……


 そう思い、閉じていた目を開けると……いつの間にか床に這いつくばっていた……四本足で…


『説明すると、真っ白な白龍は本来中々居ないからな……白の国の紋章になっているほどだ、国の象徴なのだよ。』


 へ~それは知らなかった。あ、手紙に龍の刻印があったけど……あれか…なるほど。


 白神の説明通り私の姿は真っ白な龍になっていた。本来白龍と言うのは銀色の鱗に銀の鬣らしい……どうも私は白い色に縁があるらしい。


『さぁ、与太話などしている暇は無いぞ、両親には後で言えばいい。今は急げ!』


 ハイハイ……それもそうだね。早く藍苺を救出しないと……嫁さんの事だから抵抗して怪我とかしてないか心配だし……


『あの負けん気はあり得るな……全くお前たちは本当に変わらんな……さぁ、早よう行け!』


『(言われなくても…)父さん、母さん、ちょっと嫁さん取り返しに行ってくるから……じゃ!』


 何か言われる前に全力で駆け出した。頭の中で白神が『窓を開けたからソコから出ろ』とナビゲートしたのでそれに従う。翔べるが分からないが……一か八かの賭けに出る。男も度胸女も度胸だ!!



「「え?ちょっ!!」」


「翔んだ……」


 慌てる両親の声と驚きながら呟いた白の王の声が鮮明に聞こえた。






『どうだ? 翔んだ感想は?』


『平衡感覚が可笑しくなったら終わりだね』


『もう少し夢の有ることを言えんのか?』


 あぁ、……無理だな。生憎とそんな豊かな感性持ち合わせてないわ。何せ……


『石頭で、現実主義者で、冷徹・冷酷・無慈悲。情緒を楽しむ感性のない面白味のない人って言われたことあるし……』


 昔のことだが、自分でも「あぁそうかもね」と思える節がある。実際冷酷なのは自覚している。


『それはキチンとそなたを見たものが言った事か? 他人の言葉に耳を傾けることは良いことだが、時には真に受けない事も必要だぞ。』


 お、白神にしては良い事言うじゃん。でもそれ昔言われたから……ジンに。


『そうか、そなたを真に理解しようとした者が居たか。』


 はい、ただ今上空……何メートルだろ……兎に角高い所を翔んでおります。最初は九尾、次に窮奇と来て、最終的には白龍になった紅蓮です。


 え?何?2回目だって……うん、仕様です。


 高い所から見下ろすのは、家の有る森の断崖以外これが初めてかもしれない。中々に気持ちの良いもの……な訳ないだろ……怖いよ……スッンゴク…怖い。


 下を見ると賑やかな街が見える。これが初めての外出になるのか……出来ることなら街に降りて色々見たいが……今は嫁さん優先。


 おや? 下が騒がしくなった。


『当たり前だ…戯け……国の象徴が空を翔んでいるのだ。驚くだろう普通。』


 あぁ、そうだね。何かとっても視力が上がった目で観察すると、子供は指差してはしゃいでるし、店番でもしているオッサンは口を半開きにしてぽかーん状態だし、お年寄りは手を合わせて拝んでいる……何だが申し訳なくなってきた…あ、オッサンが転けた……上向いて歩くからだよ……


『人は面白い者だな…』


 でもさ…今思えば、私って子供だろ?窮奇の姿になっても空飛ぶ子猫にしか見えないよきっと。


『確かに……だが、やはり速さがな……』


 それとさ、私は父さんの白龍の姿を想像したんだけど……二本の角が小さい。父さんの角はもうちょっと長かったけど…それに髭も短いし……鬣がやけに長いし……邪魔。


『そう言うな、優美だぞ。ほれ、今進行方向に転送陣を展開させる。それを潜れ。』


 転送陣……おいちょっと待てや、それならどんな姿でも良いだろ。オイ。


『そうもいかぬ。猛スピードで駆け、今から有るであろう魔獣達の妨害を突破することも試練の一つだ。』


 ……やっぱりか……楽すぎると思ったんだよ…


『まぁ、全方向のシューティングゲームだと思えば良い…』


 ゲームと違ってこっちは残機が無いんだけど!てか、ゲームじゃねーし!!私の命を何だお思ってる白神!!!(*`Д´)ノ!!!


『案ずるな……当たらなければどうと言うことはない……多分』


『お前今多分っつたな?言ったな! てか、ネタで会話すんなよ!!』


 この白神の奴…多分っつだぞ…オイ。


『そら、敵のお見えだ。確り避けよ。』


 言われなくても避けるっての。



 白神の言う通り進行方向に……つまり、転送陣の周りに5匹程ワイバーン……飛竜が此方を睨みながら警戒している。オイ、転送陣展開するならもつもっとましな場所に出してよ……


 つまりは…この飛竜達を掻い潜って転送陣にたどり着かないといけない…と?


『うむ。因みに…後三回程そんなのが続くぞ?』


『ぎぁゃ!!(あぁ?何つった今!?)


 おっと、ついカッとして言葉を忘れたよ。気のせいか前方の飛竜達が怯んでいるように見えたけどきっと気のせいだ。


『……(確実にお前の雄叫びで怯んでいたぞ…)』


 正面突破するしかないので飛行速度を上げる。今更ながら翼も無いのにどうやって翔んでいるんだろ……ねえ白神、何で翔べんの?


『白龍の様な翼を持たぬ龍は角より魔素を取り込み翔ぶのだ。風の力を使い翔ぶものも居るが、そなたは前者だ。因みに白龍は角より取り込んだ魔素により鱗や爪をより強硬にする。』


 ふう~ん…たから?


『傷なぞつかん。』


 傷はつかなくても、衝撃までは防げないでしょ。硬ければ尚更なんじゃ?


 そうは言っても突破しなけりゃ始まらない。いつまでもこんなところで油売ってたって嫁さんの所に行けるわけでもなし…


 てかさ、下に街が有るのに大丈夫なのか?下に被害が出たらどうすんだよ。


『案ずるな、敵側も街に被害は出したくない様だ、次元を変えて召喚したようだな。どんなに暴れても街に被害は出ないぞ。』


『それは嬉しいやら悲しいやら……でも間違いなく私に喧嘩売ってるよね?』


『……そうだな(こんなに喧嘩早い奴だったか?)』



 威嚇の意味を込め私は前者の飛竜達に吼えた。相手も完全に戦闘態勢入ったようだ。私も本気にならないと…


 そう思うと爪が伸び、鱗は逆立ち、鬣は風に逆らい波打ち始めた。とは言え、闘う訳ではない。飛竜達を出し抜いて転送陣に飛び込むだけ。とは言え、飛竜とデッドレースをするのだ、万全で望まないと。最悪戦闘だってあり得る。





 嫁さん。ちょっと考えて行動してね……もし、怪我でもしてたら……その誘拐犯もとい、側室側の神様……抹殺したくなるから……ね?







「ん?……今何か言ったか?」

「クウ?」「きゅ?」「キュエ?」「……?」






 紅蓮は龍の姿になるを覚えた!


 

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