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断片的な

 お読みいただきありがとうございます。


 今回のお話は……ちょっと暗いです。




 懐かしい記憶……


「酷いよね~私の第1印象が「御菓子の人」何て……女心云々以前に人として見てないよね?」

「悪い。ミケが持ってきたゴマ饅頭が美味しかったから…ついな。」


 ああ、コレは……そうだ、大事な人との思い出だ。この時は俺が初対面で「御菓子の人」って失礼な事を本人の前で言ったことを思い出して笑っていた記憶だ。どうして今まで忘れていたんだ?


「あの時は私も意地になってたしねぇ…どっちもどっちだったよね。」

「そうだな。「そんな捻りの無い呼び名しか思い付かないの?」って言われるなんて思わなかった…」

「あはは……ゴメンね、あの時は私も大人気なかった。


 そうそう、ベルのやつ大の男嫌いだったもんな…よくもまぁ俺と……


「でも、あの時ジンと結婚するなんて思いもしなかった。一生する気何てなかったし。よく私の男嫌いを克服させたよね~。人生は何があるか分からないね。」

「……大変だったよ。俺も恋愛初心者だったし、何より異性と付き合ったこともなかった。」

「ミケのおかげかねぇ……」

「そんなこと本人に言うなよ調子に乗る。」

「フォローできない…」


 結婚……そうだな、結婚していた。ベル……俺は…あいつを置いてきたのか?


「そうそう、ミケがこの間言ってたんだけど、またゲームのキャラの声やらないかって言ってた。」

「まさか、受けてないよな?」

「あんなの2回で充分。2回目だって渋々受けたんだし……『紅蓮』だけで充分だよ。」


 紅蓮?……ベルが……演じた……?


「俺も渋々だったし、今度なんて絶対受けない。あんな高い声なんてもう出ないしな。」

「あの当時は声変わりしてなかったもんね……随分と遅い声変わりだよ。」

「漸く男らしい声に……」

「はなってないね。ちょっと高めだし……でも好きだよその声。女声でも男声でもない声で。でも、そんなにその声が気に入らない?」

「気に入らない。女みたいだって散々言われてきたからな。」


 そうだ、あの女みたいな、でも低い声が嫌いだった。


「アルト声で良い声だけどね~。本人が嫌ってるなら仕方ないけど。」


 ベルはいつもあの声を誉めていた。


「男の声は嫌な記憶しか無いからね……その声だと安心する。勿論声だけじゃないからね。」

「………ホントに?」

「うん。ホントに。」



 最初は険悪な仲だったけど、いつからか打ち解けて、恋人になって、結婚した。別にドラマみたいな人生じゃなくごく普通の人生だった。喧嘩も人一倍したし、同じ数仲直りもした。ホントに普通の……普通の夫婦だった。なのに………






「………出血も激しく……亡くなりました…。」


 医者らしき白衣の人物が話している。

 亡くなった? 誰が?


「お子さんも…」


 近所のおばさん達が話している。


「奥さん…まだ若いのにね…」

「まだ30歳だって……お子さんも8歳なのに…」

「旦那さんも大変ね…」


「…………」


 ああぁ…そうだよ、死んだ…死んだんだよ。置いていかれたのは俺の方だ。





 ベルは死んだ。原因不明の多重事故によって。大勢の犠牲者が出た酷い…酷い事故だった。あいつは…ベルは死んだ……俺を迎えに来る途中で子供も一緒だった。子供を……庇いながら……




「………」


 置いていかれた、誰も居ない。幸せだった生活は一気に地獄になった。誰も居ない家、誰も居ない食卓……誰も居ない………誰も……



 俺は……一時は自殺も考えた。けど、ベルに「馬鹿なことするな!」って言われる様な気がして止めたんだ。一時は脱け殻同然になったが、何とか空元気でも立ち直ったことにした。二人の分まで生きようとした……なら、俺は……何で死んだんだ?








「!!!………っ……はぁ…はぁ…」


 夢……か。やけにリアルな…ホントに夢か?


 窓から外を見るとまだ真っ暗だ。けれども夢の所為でもう寝る気にもなれなかった。


「レン………」


 間違えて使っていたレンの紅い組み紐を握りながら出た名前。


『お前はまた俺を置いていくのか?』


 何処からか聞こえた声は前世の自分の声にも聞こえた…………
















『今日未明、〇〇〇市内の〇〇〇〇さん宅にて火災があり全焼しました。焼け跡からは身元不明の遺体が見つかり、現在連絡の取れないの家主の〇〇さんのものではないかと現在身元確認をしています。また、火災は放火と見て現在調査を………………』






『…………続いてのニュースです。…〇〇日に起きた火災で見つかった遺体が家主の〇〇さんのものと断定されました。また、警察は放火と殺人の疑いで、住所不定無職の〇〇〇〇〇を放火と殺人の疑いで逮捕しました。なお、………………』







『………にしても、怖いですね~〇〇日に起きた放火殺人。あれは逆怨みの犯行でしたからね。』


『本当ね。奥さんの義理の? 血の繋がっていない…祖父の犯行だなんて……〇〇さんどう思います?』


『それは恐いですよ……〇〇さんも奥さん亡くしたばかりで……金銭的なトラブルらしいですよ……』








 




 はい。これが再会時の藍苺の寝不足の理由です。


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