次世代チートを舐めんなよ?
どうも皆さま、お読みいただきありがとうございます。
評価も頂いて……感極まって鼻水が……スミマセン鼻炎持ちなんで…。
今回は紅蓮が多少吹っ切れます。
万能薬を作り後片付けも終わり身仕度も終えました。紅蓮です。万能薬が入った瓶を片手に「フフフ…」とノリで笑ったら兎天に引かれました……。マッドな科学者じゃないからね。
「何もそこまで引かなくても……」
『すいません主様……』
いや、マッドに見えたのが悪かったんだよ。そんなどうでもいいやり取りをしていると人の気配がしたので兎天は影に隠れた。兎天が影に隠れて少しすると突然ドアが開いた。
「紅蓮様、お待たせいたしました。用意が整いましたので……」
おや? 啓璋さんではないのか? 忙しいのかな? どうやら今回は啓璋さんは来ない様だ。まぁ、筆頭侍女なのだから忙しいだろう。けどこれ何か………
「(怪しい(;¬_¬))」
何も言わずに入ってくるなんてまるで黄の国の礼儀を知らない女官みたいだね。
兎天にはちょっとだけ黙ってもらい様子を見ることにした。
「あの……紅蓮…様?」
戸惑いぎみに問い掛けてきた侍女。どうしたもんかな……
「先程の侍女の方ではないのですね」
「はい。先程の者は雑務が有りますので。」
怪しい…。カマをかけてみようかな。
「雑務と言うのは衣装部屋の整理ですね。私の衣装を出す時にかなりバタバタしたようですから…」
「はい。あの者達の仕事ですから。」
「確か…あの三人は衣装担当でしたね」
「ええ、それがなにか?」
「けれど、もう一人は何の担当だったのでしょう?」
「同じ衣装担当です。」
ふ~ん。そうですか……。
「よく知っているのですね。女官と言うのはその様な事まで記憶なさっているのですか?」
「はい。仕事ですから。仕事の取り次ぎは常にしております。」
「スゴいですね。私のところに来た侍女の人数まで把握しているのですね。」
「ええ、そうです。」
「なら、先程侍女の方に頼んだモノは持ってきてくれましたか?」
「……はい。聞いております。後程お持ちします。」
「そうですか…。」
勿論侍女さん達には何も頼んでない。この人は今嘘をつきました。けれど、まだただの言い訳の嘘だ。何の証拠にもならない。
「そう言えば、啓璋さんはどちらの担当なのでしょう? 衣装にとてもお詳しですよね。」
「その者も衣装担当の者です。」
はい。引っ掛かった……。まさかこれで引っ掛かるとは正直思わなかった。
「貴女は女官なんですよね?」
「……そうですが?」
はい。これも引っ掛かった♪ あ、説明するとこの白の国では女官って秘書官のような所謂事務官職の女性の事を言うんだって。だからメイドみたいな事をするのは侍女と呼ぶんだよ。
だからこの人は白の国の侍女じゃない。勿論こんな所にいる時点で女官でもない。何よりも、侍女ならば自分の上司の筆頭侍女の名前を知らないなんてあり得ない。
「可笑しいですね……。先程の侍女達は王妃付の方々。王妃様のお側に居るならまだしも、衣装部屋の整理など今の時間にするのですか?」
王妃付の侍女が私の世話をすること事態が異例なんだけど。まぁ、王妃付の侍女でも王妃様の身の回りだけでなく、雑用もするだろうけど何もこの忙しいだろう時間帯にすることではないらしい。この情報は兎天が聞いてきたものだ。
「!!!」
「それに御自分の直属の上司の御名前も知らないと……。」
「………」
頭の良くない私でも分かる。どうしてこれでバレないとでも思ったのか。
「女官は男女平等な白の国では立派な文官職ですよ。ワザワザ私のようなただの子供の世話などする暇は有りません。御忙しいと聞きましたよ。」
勿論侍女も立派なお仕事ですよ。そこんところ悪しからず。
「………」
黙り続ける偽侍女。言い訳もせずただ立っているだけでどこか目が虚ろだ。変。兎に角変だよこの人。
「貴女はどちら様ですか?」
「……だ。」
嫌な予感
「お前がいなければ!!」
いきなり取り乱した女官は懐から小太刀を取り出した。おそらく護身用の物だろう。乱暴に鞘から抜き出すと小太刀を両手で掴んだまま刃を私に向ける。
あぁ…これは……刺されるな…
濁った目をこちらに向けて何事かブツブツ言いながらこちらを睨む。今まで武器を向けられた中で一番嫌な感じがした。あの馬鹿兄弟や魔獣よりも嫌な感じ。てか、私は何でこんなに冷静なんだろ。
普通刃物を向けられれば取り乱すよね?
「お前が…お前さえいなければっ!!」
同じ様な言葉を延々と呟く女官はジリジリとこちらに近づいてくる。
「(主様!)」
「(大丈夫。兎天はじっとしてて)」
納得してない兎天を無視して壊れたラジオみたいにブツブツと同じ言葉を繰り返す女官を見据える。
呑気に観察してる場合じゃないけど、一応ね。ふむ……目が虚ろ、言動も可笑しい…足元はしっかりしているけど、唇は紫色になって、顔は青白い。暗示にでもかかっているのか?
女官はジリジリと近づいてくるので、私も距離を取る。気分はレスリング……やったことないけど。後ろだけでなく横にも移動するのがコツだね。後ろに下がっても壁際に追い詰められるだけ。
睨み合いは結構続いた。しかしノックの音に中断された。バットタイミングとはこの事だ。
「紅蓮様、晩餐の用意が整いました。……?紅蓮様?」
気を抜くわけにはいかないので返事もできない。しかし返事が無いので不審に思うだろう。私が侍女なら取る行動は……ドアを開ける!
「紅蓮様失礼致します!!」
私の位置はドアから少し離れている。女官の方が近い。位置取りをミスった……。
「開けるな!!」
今の声で異常な事態を確信した啓璋さんはドアを開ける。効き目は無いだろうが叫ばずにはいられなかった。女官がドアを見ている。このままだと……筆頭侍女は刺される!
「兎天!隙を作れ!」
『御意!』
兎天に隙を作ってもらい私は啓璋さん達がドアを開けるのを阻止するために走り出す。が、
「なっ!」
あと一歩で間に合わなかった。子供の足では無理があった。仕方ないので女官の様子見にそちらを向くと、兎天が床から頭だけ出して女官の裾を引っ張ったり、足を突いて足止めしていた。
「すいません。今立て込んでいるので外に出てください!」
「お客様を差し置いて出るわけにはいきません!」
そう言う啓璋さんの後ろには同じ意見だと顔に出している侍女四人組の姿もあった。その心意気は合格だけど…。
「はっきり言って邪魔なんです!」
「「「「!!!」」」」
「紅蓮様後ろ!!」
『主様!!』
一瞬侍女さん達の方を向いていた為に反応が遅れた。急いで振り向くと女官が恐ろしい形相でそこまで迫っていた……
ドスッ……
そんな音が静かな部屋にやけに響いた。
刺されたのか? 痛みが無いけど?
ポタ……ポタッポタ……ボタボタッ
じわじわ痛みが伝わってきた。痛む位置は腹……あぁ…藍苺達に心配させちゃうよ……死亡フラグ何処で建てたんだろ……てか死亡フラグ回収……
何て言うとでも思ったか!!
「……ッ……痛いなぁ…」
「!!」
未だに正気じゃない女官の腕を掴んだまま腹に刺さった小太刀を引き抜く。やれやれ…痛いなぁ。そして掴んだ腕を締め上げて小太刀を奪う。これで女官の危険度は一気に下がった。武器を持たないならそんなに大それた事はできない。
「………!紅蓮様!!」
暫くフリーズしていた啓璋さんが現実に戻ってきた。私の姿を見て取り乱す寸前を何とか抑えて私の身を案じる。
妖怪じゃなかったら即死だった。いやホントに。ハイスペックなチート性能な体の出来で良かったよ。死なずにすだ。
「早く手当てを…」
「お気遣いなく…もう粗方治りました。」
女だった前世を考えれば……こんな痛み…痛いけど……我慢は出来る。でもね、痛いのは嫌いなんだよ!!
「そんなはずは……!!!」
塞がり始めた傷を見たのか驚いている。もう血も止まった。痛みも引いてきた。けれど、体の傷は消えても破れた箇所や血で汚れた着物はもう使い物にならないだろう。結構ちが出たようだ。そこら辺血だらけだ。
「妖怪なので……」
妖怪が平等に扱われる白の国でも畏怖の存在と思っている者は結構多い。だからこの人たちはどう思っても私は構わない。どうせ、怖がるのだろう?
「すいません。着物をダメにしてしまいました。それと、誰か縄か何かありません? この人を縛っておかないと…」
「は、はい、直ちにもって参ります!(・ー・)ゝ゛」
「私は代わりの置物…じゃなくてお着物を!(・・;)))」
「わ、私は……兵を呼んで参ります!Σ(´□`;)」
「えっと…なら私は事の事態を陛下に報告してきます(・_・)ゝ゛」
「貴女達……もう少し冷静になってからお行きなさい。転びますよ。」
………女性はそんなに柔じゃなかった。特に彼女達は。流石は王妃付の侍女。その役職は伊達ではないのか。
「さて、紅蓮様。治ったのは分かりますが、一応は手当てを致します。」
ニッコリ笑って「断るわけないよな?」な目で見てくる啓璋さん。母さんと一緒の笑みに従うしかなかった……。
『ですから……ぐすっ…言ったのです……もう少し…ずずっ……ご自愛くださいと!』
やむを得ず無視してしまった兎天が泣きながら私の鳩尾辺りにすりすり……正直苦しいが泣いているので仕方なく
のままにして頭を撫でている。まだまだ兎天は子供なのだ。生後半年……まだ赤ん坊と言ってもいい歳なのだ。これで親離れするなんて……少し早いんでは?
「あの、紅蓮様? こちらの……鳥は何方でしょう?」
おっと、私としたことが、兎天を隠していた意味がなくなってしまった。
「この子は私の眷属なんです。」
『ぐすっ…主様の眷属です。』
「まぁ、そうでしたか。これはご丁寧に。」
啓璋さんは兎天に対しても礼儀を忘れない。まさに侍女の鑑。お見それしました。
「さて、紅蓮様。ご説明していただいても宜しいですね?」
キタ!キタよ。難しいんだけどこれ。
「私にも詳しくは……ですが、この方がこの国の侍女ではなく、女官であることまでは…分かっていますが。」
「女官……ですか?」
「はい。女官と言ってもこの国の女官のような文官職ではないですよ。この女官は侍女職の女官何です。」
この国に他国の女官が居るとすると、側室舞子に付いてきた黄の国の女官しか居ないはず。それとも、潜入でもしていた間者かとも思ったけど……。
「(間者にしてはお粗末過ぎだよね…)」
「……これは陛下に報告しておきます。……それにしても、災難で御座いましたね。」
「……そうですね。でも慣れてしまいました。」
そりゃ慣れもするよ。小さな(今も8歳だから小さいけど)時から命狙われてたら慣れもする。近くに必ず母さんが居たから助かってきたけど、ここには誰も守ってはくれない。
兎天の言う通り気を引き締めないと。
それよりも、こんなの所に嫁さんが来るのは……心配だ。
「では紅蓮様。お着替えが終わり次第晩餐の席へ案内致します。その前にこの方をどうにか致しませんと……」
「分かりました。ほら、いつまで泣いているんだ? ソロソロ着替えたいし、あの人捕まえないと…ね?離して?」
『はい。ぐすっ…』
未だ泣いていた兎天を引き離して持ってきてもらった縄で女官を縛っておかないと…。未だに兵士は来ない。職務怠慢ではないだろか?まぁ、人様の国の事にけちつける気なんか全くございませんよ。
「さて、……大人しくは……してくれないですよね。」
未だ私を睨む女官。今までずっと大人しくしていたが、こちらが動けば彼方も動くかもしれない。けど、私チート2世ですよ。え?なんだそれ? 親がチートだから子供のチートの事だよ。今後使う気なんか無いけど。てか、お前自分はチートじゃないとか言ってなかったっけ? あぁ、何かもういいや~なんて思ってさ。吹っ切れました。
「ぐああぁぁぁ!!」
奇妙な奇声をあげながらこちらに女官が襲いかかってきた。顔色が悪いからホラーなビジュアルになっている。
「兎天!」
『任せてください!』
影から完全に出て女官にタックルをかました兎天。ナイス兎天!
「ちょっと失礼」
「グェ」
バランスを崩した女官に足払いをかまし、倒れた女官の腕を掴んで後ろに捻る。チートですから大人よりも力が強いです。簡単に捕縛しました。術を使っても良かったんだけど……何か気が乗らなかった。気分です。
「(容赦無いですね)」「「「容赦無いです紅蓮様」」」
啓璋さんと侍女四人組(兵士を呼びに行った人は未だ帰らず)の失礼な感想はムシムシ。こうしなきゃ危ないでしょ?
持ってきてもらった縄で女官を拘束しておく。やれやれやっとこの血だらけぼろぼろの着物を着替えることが出来るよ……
……そのあと、侍女さん達に傷跡を確認の為にと着物をひん剥かれたのは苦い思い出だ。勿論変なことをしようとしていた侍女の企みは私と啓璋さんの雷で阻むことが出来た。ハァ……何か闘いよりも疲れた……これから晩餐に行かないと行けないなんて……憂鬱だよ嫁さん!!Help!Help me!!
その頃実家では……
「はっ!」
「どうしたのランちゃん?」
「あ、いや何でもないです。」
誰かに呼ばれたような……気のせいか?
「さっきも急に大声出したりしていたな。ホントにどうした?」
「そうよ、何処が悪いのかも……疲れとかもあるかもね…」
何だか妙に落ち着かない。これが俗に言う虫の知らせか?レンに何かあったのか!?
「(ま、どうせあいつなら軽く乗り越えるだろう…)」
俺は別に心配で仕方ない訳じゃない……絶対違うからな!! って、誰に話かけてんだろ俺……
微妙に届いていた……なんだ、コイツツンデレか?
はい。紅蓮さんはテレパシーを取得……出来ません。………ははは……はい。スミマセン。
えっと、紅蓮の性格は曲がりに曲がってひねくれています。けど、変なところで素直ってか……なんなんでしょうね?産みの親の自分もわからなくなってきました……ははは……駄目ですね。
あと紅蓮は頭はあまり良くありません。勘とか根拠の無いことで鋭かったりします。でも一応考えてもいるんです。めんどくなって途中で放棄しがちなんですがね……。
ではまたm(__)m




