裏側の事情~マミィは今日も通常運転です~
暴走気味な麗春さんでお送りします。
お読みいただきありがとうございます。
この「ゲームを基に作られた世界」に転生して早23年。それも、あまり出番の無い「紅蓮の母親」のポジションに転生。しかも前世で恋人だった彼氏は「紅蓮の父親」ポジションで転生。
転生の共通点は、声の出演者であるとこ。それも自分が演じた役に転生している。コレは最初偶然だと思った。でも、違ったのよ……。
アレは紅蓮が生まれて直ぐの事。私は夢で自称神様に会った。何事かと思ったわ。いきなり『君たちを転生させたのは理由がある』とか言い出すんだもの。殴りたくなったわ。「何トチ狂ったこと抜かすか!」って、胸ぐら掴んでシャッフルしちゃたわ♪
話を戻しましょうね。その自称神様は青ざめた顔で『とある策略を阻んでほしい』とか言い出すのよ。引っ叩いてやったわ。自分勝手も大概にしてほしいわね。大体、16年間も放ったらかしにしといたくせに、朱李が封印されてコウちゃんが生まれたらひょっこり出てきたのよ。「遅いんだよ!」ってエルボー喰らわせちゃった。
咳き込む自称神様の言うことにゃ『横暴な一人の神が勝手に世界を作って好き勝手している。困っているので手伝ってくれ』と言ったの。
そう、『手伝ってくれ』と言ったのよ。手伝うって辞書で調べてみなさい。「他人の仕事を助け一緒に働く。」よ。この説明で分かるわね?
「アンタ全然手助けしてないじゃないのよ。ただ見てるだけ。それで此方はテンテコ舞いよ。」
『いや、すいません……でもねワシもそんなに世界に干渉出来んのよ……』
「だったら最初っから『手伝ってくれ』何て言わなきゃ良いでしょ。」
確かに家を建てる時に便利な能力を貰ったけど……、それとこれとは話が別よ。
只今夢の中で自称神様と会話中。正座して言い訳をしているこのどっから見ても仙人見たいな外見の長い白髭がトレードマークなお爺ちゃん。彼が自称神様。こんな姿のお爺ちゃんが神なんて……夢が崩壊するわね。ダメね神様の外見に夢を持っては。
『すまんがの、お嬢ちゃんの考えとることは筒抜けなんじゃがの~』
「知ってます最初から。」
知ってて言っているんですよ。嫌味でね。
しかも、私や朱李、そしてコウちゃんやランちゃんをその演じた役に転生させた理由が『知らん人間よりも知ってる人間の方が何かと都合が良さそうだから』ですって……テメェも舞子側の神と同じレベルだろうが!! 何その理不尽な理由は。
それにコウちゃんとランちゃんの記憶まで弄ったみたいだし……ホントにコイツ絞めてやろうか……
『うむ……。所でのぉ、昨日の魔獣召喚事件じゃがの。アレはどうも囮らしいのぉ。』
髭を弄りながら話す自称神はさっきとは打って変わって、真剣な面持ちで話始めた。
『どうやら「彼方側」は何としても紅蓮を率いれたい様じゃな。最近は手段を選ばなくなってきておる。』
「そうね。まるでコウちゃんの身の安全を全く考えないような作戦ばかりね。それともコウちゃんがこのくらいで死にはしないとでも高を括ってるのかしら?」
『さぁのぉ。ワシにはとんと分からんのぉ。それに「あ奴」は彼女を陰で動かして遊んでいるとしか考えられんのぉ。』
「傍迷惑ね。それにしても、ランちゃんが呪詛に掛かった時も何も言わなかったわね……」
ダラダラ汗を流す自称神。威厳なんて端から無い。
『あの時は仕方なかったのじゃよ。藍苺には自力で呪詛を跳ね返さねばならんかったのじゃ。その力も備わっておったし…』
「なら今まで有った襲撃は皆感知していたのね。それでいて結界に穴が空いても黙っていたわけ?」
『ワシが助けてもよかったのじゃがの、助けてしまっては成長しないじゃろ。』
さも、当たり前。「ワシ良いこと言った」とドヤ顔しそうになったので自称神にアイアンクローをかましてしまった。
『う、ぅぅぅ……。いくら神でも痛いのじゃよ…』
「いくらなんでも、ランちゃんの貞操の危機を回避させなかったのが悪いのよ。」
『じゃか、紅蓮が間に合ったじゃろ』
あれが間に合った?
「服を割かれて、肌蹴させられて、あまつさえ体を触られたのよ! しかも嫌いなヤツに……女性にとってどれ程苦痛か……アンタ一度女になってみなさいよ。嫌でも理解できるから。」
私の剣幕に押され気味の自称神はションボリして言い訳を始めた。そのどれも言い訳にもならない戯れ言だった。
「その話はいつかコウちゃんに言えばいいわ。(絶対許しはしないでしょうね)」
『……(ありゃ…ワシに死亡フラグが建ってしもうた!』…むむ? いかんの……「奴等」とうとう強行手段にでおったわ!
「!!……まさか!」
『うむ。紅蓮が朱李等と離れた時を狙ったのかのぉ。それに紅蓮は本調子では無かったしのぉ…[グァシッ]ぬぁ!』
聞き捨てならない事を聞いたわね……紅蓮が何だって!?
「コウちゃんが何だって!? 本調子じゃ無い? 朝は至って元気だったわよ。何があったの!」
胸ぐら掴んで自称神を揺する。嫌でも吐いてもらうわよ……物理的な「吐く」は遠慮したいけど。
『言う、言うから揺するでない!……紅蓮は「彼女ら」が仕掛けた呪詛に掛かっておるのじゃ。』
「呪詛!? 朝にはそんな気配は無かった…」
『それも、当たり前じゃよ。掛けられたのは家を出た後じゃ。朱李には気付かれん様に巧妙に隠しとったからの……お前さんなら見破れたかも知れんが。』
「それでコウちゃんは無事なの?」
『うむ。ピンピンしとるぞ。どうやらあまり効いてないようじゃ。流石はお前さんと朱李の子じゃな。精神的な強さが半端ではないのぉ。じゃが、どうやら呪詛の影響でネガティブになりかけておる。』
「それで、「彼方側」はどう仕掛けてきたの? 早く教えて。急いで助けに……」
こんな時には焦ってはダメね。自称神様から出来るだけ情報を探り出さないと…
『そう急ぐて無い。大丈夫じゃよ。紅蓮は転送されただけじゃ。命の心配は無いぞ。』
「…それって拐われたって事じゃないのよ! この似非神! 命があったら大丈夫な訳じゃないのよ! もう少し人の心を理解する勉強でもしなさいよ!」
『いやの、大丈夫じゃよ。[グァシッィィ]イダダダダ……』
「何処がどう大丈夫なのか説明してみなさいよ!」
アイアンクローをかけながら問いかける。すると自称神改め似非神は
『転送された場所は白の王宮じゃ。心配いらん。直ぐ様白の王より言伝てが届くハズじゃ~。頼むからこの手を離してくれんか? ワシャ死なんが痛いものは痛いのじゃよ……』
仕方なく離す。私だって暴力的なことは好みじゃない。
「気になることが有るのだけど。」
『何じゃ?』
「どうしてコウちゃんは朱李達から離れたの?」
コウちゃんはよほどの事が無い限り無謀な行動はしない。そのコウちゃんがどうして森の中で単独行動何かしてたの? 呪詛に掛かってネガティブになっていたのなら尚更無謀な行動はしないハズ……
『うむ。どうも呪詛によるネガティブな考えが離れぬので、体調が悪いと思ったのじゃろう。足手まといになるやも知れんと家に帰るところじゃった様じゃな。』
コウちゃんの思慮深さが仇となったのかしら。
「もうひとつ気になることが有るわ。」
『何じゃ?』
「どうしてコウちゃんとランちゃんにはあなたの存在を隠す必要が有るのよ。それに二人の「真エンド」に関する記憶まで封じて。お陰で二人にあなたを知らないし、「真エンド」の何用も知らないと朱李と二人で嘘をつくはめになったわよ。」
『いずれ分かるじゃろ。それに秘密を知っているのは極僅かでいいじゃろうて。』
それはそうかもしれないが、何も知らないと後で大変な事にでも為ったらどうするきなのよ。コレは現実に起きてることなのよ。リセットしてやり直すなんて出来ない。ゲームじゃないのよ!
『良く考えるのじゃ、白の王とて愚かではない。お前さん等を怒らせれば国がどうなるか分かっておるだろ。それに友じゃろう? 無下な扱いはせんよ。それにの、コレは好機じゃて。』
「子供のピンチをチャンスと思える親がどこに行ってのよ。」
もしも、もしもよ? コウちゃんの身に何かあれば……私は理性を保っていれるかしら?
『気を確り持つのじゃよ。このゲームは「あ奴」がワシ等に持ち掛けたものじゃ。』
「私達は駒じゃない。」
『そんな事は百も承知じゃよ。ワシが言いたいのは、「あ奴」は彼女、『舞子』の事を自分が操作する駒としか思うておらんと言うことじゃよ。』
私は今一この似非神が信用できない。自分は駒とは思っていないと言いながらも、指図するだけ。「彼方側」の神は色々手助けしてるようだけど、この似非神はあまり役にたたない助言ばかり。
私達を助けるのではなく、自分達の問題を解決するために私達に接触してきたと始めっから言えばいいのに。その方が此方もやり易い。
「あなた達の争いなんて知らないわ。けどね、私達を巻き込むならそれ相応の対価を払って。」
『うむ。そのつもりじゃよ。何を望む?』
「まだよ。この事が片付いたら決まるわ。勿論人数分叶えてもらうわよ。」
『仕方ないのぉ……出血大サービスじゃぞ』
アンタの出血何て要らないわよ。けど、これで少しは……心が晴れるかしら?
「望みの限度は?」
『うむ……基本…無い。何でも』い。じゃが、誰かの命に関わることはダメじゃぞ
誰がそんな願いを……あ、それでコイツら神様を一掃出来たのに……抜かったわッ!
『(あ、危なかった……)』
私の心を常に読んでいる似非神は心底ほっとした表情で胸を撫で下ろした。
「さて、「真エンド」の為にあの作戦を始動しますか。」
『今回はワシの加護も皆に付けておこう。気を付けよ。「あ奴」は自分の楽しみの為なら誰でも犠牲にする。ワシに何か聞きたい事が有れば何時ものように呼んどくれ。ではの。』
失敗は許されない。私達の平穏のため今から側室舞子に宣戦布告をするのだから。
それでも、コウちゃんが心配ね……。本調子では無いのが一番心配よ。それに、この事でランちゃんの闘志に火が付きそうだけど……大丈夫かしら?
*********
「きゅ!!」
「うわっ!? 何だ?」
レンから預かっていた管狐の奏が住みかにしている薬入れから奏が飛び出して驚く。いつ見ても質量が違うだろ……。じゃなくて、何だ? 今まで大人しかったのに……
「きゅ!きゅきゅ……」
「グゥゥゥ……」
奏がポチに何やら話しているようだが、生憎俺には理解できない。レンなら何を話しているか理解できただろうが。
「どうした?」
二匹の異変に気付いた朱李さんが薬草を掴みながら此方にやって来た。
「分からない……急に奏が飛び出してきて…」
「きゅ!!きゅーー!!」
「クォン!グゥゥゥ…」
今度は二匹は朱李さんに話し掛けているように鳴いた。俺も分かるようになりたいと以前レンに言ったら『夢を壊したくないなら止めときな』と言われてしまったので、きっと無理に理解できるようにはしないだろう。
「!!」
どうやら朱李さんには二匹の言葉が理解できたようだ。流石はレンの父親。チートの血は大半が朱李の物だと麗春さんは言っていた。俺から見れば二人
とも凄まじいチートだと思う。
何か有ったのは確実だな。何があったのか……まさか、レン?
「レンに何かあったのか!?」
「きゅんきゅん!」
コクコクと頷く奏が家の方角…で、あってると思う……を向く。多分その方角で何か起きたのか。
ポチはレンに何かあれば飛び出して行くだろう。けど、未だ俺の隣に居る。きっとレンに俺の側に居ろって言われたから迂闊に離れられないのだろう。それに奏まで此方に居る……レンに付いているのは兎天だけだ。
兎天がどれ程強いか何て知らないが、心配だ。
「レンに何か有ったようだ。戻ろう。」
「やっぱりレンに何かあったのか……」
朱李さんは急いで持っていた薬草をしまい、俺を小脇に抱えた。またこれか……どうかこの前のような気絶何て事にはなりませんように……
「少し急ぐぞ!」
あぁ…どうやらまた俺は気絶する運命にあるようだ。何てこった……
奏は俺の首に掛けた薬入れに入り、ポチは朱李さんに追尾してくる。このスピードに付いてくるなんて、ポチもチートか?
俺は呑気な事を考え、どうにか吐き気と気絶と闘っていた。
心の何処かでレンなら無事だろうと思っていた。実際そうだった様だかな。全く、仕掛けるにしても、もう少し考えてほしいものだ。
あの神様はこれからチョクチョク出てくるかもしれませんが、名前は出てこないと思います。




