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研究室は危険な香り~タイトルからしてフラグが…~

 どんどん置いてけぼりにされる紅蓮コウレン藍苺ランメイ。果たしてどんな事になるか……


 今回は紅蓮しか出ません。



 さっき振りです。今私は家より少し遠くの調合室を目指しているところです。


 マミィはこの頃「チーズが食べたい」「味噌が懐かしい」「鰹節……」等と言って言っていたので「なら、必要な菌類を見つければ作れるかもね(何年掛かるか分からないけど)」なんて言ってしまった私のせいで「なら、見つけて見せるわ!」なんて言いはじめて調合室で試行錯誤しているのだ。


 さてと、早くも着きました。調合室。何らかの薬品で爆発なりすると危ないので家から離れたら所にあります。


 見た目は洋館に似ているけど、こっちは清潔感のある白を基調にした建物。結構大きい。



 実はここで麹菌こうじきんをマミィは増産しているのだ。そのお陰で漬け物や、料理の頼もしい味方塩麹等ととても役に立っているのです。日頃は依頼で薬品を調合している場所なんだけどね。



「母さん~~…居るよね?」


 重たい扉を開けると、事務所の様な場所がある。何でもここで色々な研究資料を製作したりするらしいが、専ら調合がてらそこらにある紙にメモするだけで使わないのが現状なんですよ。


 まぁ、いつもココには居ないんだよね。


 それならと、奥に進む。事務所の奥には廊下があり、廊下の両側には色々部署に別れた研究室がある。


 きっと今は細菌類(食品専門 )の研究室にでも居るのだろ。


「他の研究室にはあまり入りたくないし……」


 きっと夜な夜な不気味な音を出しているんじゃない? とても恐ろしくて近寄りたくはない。


「えっと、細菌類(食品専門)は……と。あっ、あったあった。」


 そーっと、本当にそーっと開ける。前にドアを開けて驚いたマミィが薬品を落として……狐耳が消せなくなって2日間狐耳を出したまま過ごすことになったのだ。それくらいなら良いけど、もっと酷いことになるとも限らないのでそーっと開けるようにしている。



「母~さ~ん。調合を教わりに来たんだけど~…」


 あれ?母さん居ないなぁ。おかしいなぁ…。ココに居ると思ったのに……。


 一端研究室に入る。そう言えば、調合室なのに各部屋は研究室と言われてるのって何か変じゃない?


 母さんが言ってたから私もそのまま言っているんだよね。


 さて、どうしよう。ココに居ても母さん来るか非常に怪しい。何かに集中すると時間も忘れるからね。前なんて呼びに行った父さんが薬品を落として……龍の姿を解けなくなって大変になった……らしい。私は見てなかったから。


 そうそう、父さん白龍だったんだよ。ってことはさ、私も龍なんだよね? 九尾に窮奇って翼が生えた虎、それで白い龍と来たか……。虎って龍と仲悪くなかった? ほら、虎と龍の絵とか有るじゃない。


 いや、何でこんなにチートぽい妖怪の血を引いてしまったのか。



 いやいや、違うだろ。今は母さんがどこに居るかだよ。このままだと一日分無駄にする……。



 こうなったら最後の手段!


「狐耳(+尻尾)を出せば匂いで居場所が解る♪」


 そんな何の根拠も無いが取り敢えず狐耳を出してみる。


「………★■▽▲〓←◎■◎☆▽↓」


 私はあることを見逃していた。そう、ココは色々な薬品を使う研究室……詰まり鼻が良いととてつもなくキツいのだ!


「は、鼻の奥がつ~んとする~……。目に染みる……ヤバイ匂いが分からなくなった……」


 考え無しの自分に涙が出てくる。実際匂いで涙が出てきた。


「まるで病院の匂いを100倍にして嫌な匂いにした感じの匂いだ。う゛ぅ゛~」


 偉い目にあったものだ。やれやれ…。




 仕方がないので耳を元に戻し、「薬品調合」の部屋に行くことにする。ココに居ないならソコしか思い付かない。





 案外近くの部屋なのでそんなに歩く必要はない。だが、ココは本当に入りたくはないのだが……仕方ない。覚悟を決めて入ろう。


 ドアノブに手をかけると中から何やら音がする。なんだ母さんココに居たのか……あれ?


 どうも様子がおかしい……。何かをひっきりなしに割る音が今も続いている。


 嫌な予感しかしない。開ければ何かしら起きるだろう、勿論悪い方に……。


 と、その時、


 ズリ、ズリ、っと何かを引きずる音が近づいて来た。待てよ、この展開はホラーじゃないか。それにこの建物やけに薄暗い……。誰かの悪戯でランタンの炎でも消えたのかな?


 それよりも、このズリズリ何かを引きずる音が近づいて来ている事が問題だ。コソ泥なら別に伸せば良いだけだが、もしも側室舞子の手先なら……


「(厄介な相手かもしれない…)」


 ココに来た刺客(お粗末)?はどれも失敗しているのだ。今度こそ手練れなら、今の子供の私なら太刀打ち出来そうもない。いくら精神年齢28と言っても所詮8歳のガキでしかない。



「(狐火でどうにかなれば良いけど…薬品に引火しないようにするのは大変だし……)」


 そこで、そこらにある鉄パイプらしきもので武装することにした。


「(私前衛向きじゃないんだけど…)」


 どこまで出来るか些か心配ではあるが、ココに私以外居ないのだから殺るしかない……別に殺る必要は無いが。


 覚悟を決めてドアを開ける。するとそこには……


いたち?」


 するとソコには細長いイタチの様な妖怪が棚と壁の間に挟まっていた。薬品の入った瓶は脱け出そうとしたこの妖怪が動いた拍子に棚が揺れて落ちたのだろう。引きずる音は棚が動く音だったのか。


 私に見つかったのに気付いた途端動きを止めて小さな三角の耳が垂れて怯えていた。三角の耳って事は、イタチじゃないんだね。とすると……あ、管狐クダギツネか。


 可哀想なので挟まっている管狐を助けることにする。それにしてもどうしてこんな所に挟まっていたのか……ふと、管狐の首に輪っかが付いていたので触ってみると……


「『バチッ!』いッ……なんだコレ…」


 ちょっと強い静電気が指先で走った様な感じだった。それまで怯えてきた管狐は今度は垂れていた耳をピンとして私をジッ…と見始めた。


「お前は何がしたいんだ……?」


「きゅ?」


 あらやだ、可愛い……じゃなくて、一応可愛くても侵入者。逃げないようにしとかないと。


「えっと、『私から逃げるなよ』分かった?」


「きゅ!」


 うん分かった♪といった感じに頷いた管狐はとても可愛かった。


 そんなことをお思いながら棚を少しずらして挟まっていた管狐を助ける。全くどうしてこんな所に挟まっていたの?てか、どうやって入ったのか……


「きゅ!…きゅ~?」


 感覚を抑えて狐耳を出して管狐が何を言っているのか聞いてみる。可愛い管狐がオッサンみたいに喋らなければ良いけど……


「管狐…で、良いんだよね?」


「はい、そうでしゅ!」


 どうやらまだ子供の管狐だった。「でしゅ」って噛んだのか?それとも癖なのか?


「どうしてこんな所に挟まっていた。それにどうしてココに入ってこれた?」


「きゅ~…それはでしゅね…首輪をちゅけた人がココにワタチをほうり込んだのでしゅ。人間が来たらまたいじめられると思って……隠れようとしたらはしゃまって……きゅ~……しゅぐに出ていきましゅからいじめないでくだしゃい~!」


「いや、苛めないから……。挟まっていた経緯とココに居る理由も分かったけど……誰なの?お前をココに放り込んだのは。」


「えっとでしゅね……人間の女の人でしゅ。綺麗なお着物に長い髪の……」


 綺麗な着物なんて貴族でなくても着てることなんてザラに居る。女性は髪が長いのが一般的だし、短い人の方が少ない。


「他に特徴は?」


「きゅきゅ~…あ、そうでしゅた! 小さにゃ男にょ子がいまちた!妖怪でないでしゅけど、何だか力がちゅよい子でしゅた!」

「どんな子だった?」


 考えてる間の管狐はくねくね細長い体を動かしていた。普通なら細長いモノがくねくねしていたら気持ち悪いが、いかせん顔が可愛いので(子狐的な意味で)そんなことはなかった。


 見た目は頭と前足が狐で他が毛の生えた蛇の様な姿の管狐は普段自身のお気に入りの管(竹などの空洞の筒等)に入っている大人しい妖怪だ。人間が最も使役し易い妖怪としてよく知られている。大半の術者や見習いは管狐を使役している。


「きゅ~……そうでしゅ!綺麗な黄色いキラキラの髪と同じおめめでしゅ!」


 キラキラの黄色……コレは黄の国の王室…?


「そっか…それでこの子何歳くらいか解る?」


「歳でしゅか……おねえしゃんくらいでしゅよ」


 私を短い小さな前足で指さす。なるほど、私くらいか……おい。


「管狐……私は男だぞ。」


「嘘でしゅ!…こんなに綺麗な男子見たことないでゅよ」。


「お・と・こ・だ!」

「きゅ~…ごめんなしゃい」


 中々信じないので管狐を掴み(勿論やさしく)顔を近づけて言うと、目をウルウルさせて納得してくれた。ちょっと罪悪感が半端ない……


「(この管狐の話がホントなら、側室舞子の可能性が濃厚だね)」


 早いとこ母さんを見つけて報告しないと。側室舞子は結界なんて無視してこの管狐をココに寄越した。それは私達に気付かれずに侵入できるという事かもしれない。それは本当に危ない。


「その首輪って何のためにつけられたの?まさか使役のため?」


 本来管狐は個体差にもよるが、雑用や術者の補助的な役割しか出来ない。それは本来臆病な性格のためや、弱い分類の妖怪に入るためと、色々あるが、自分に敵意のない者には友好的なので使役し易い。なので、首輪なんてつけなくても使役されてくれるのが殆どなのだ。


 首輪をつけて無理矢理使役する。それは管狐が嫌がる命令をするためなのか?


 使役とは、あの変態兄がポチにかけたモノとは違い、お互いの利益、または信頼の基に交わすもの。つまり友達関係と少し似ている。お互いが信頼しないと成り立たない。


 それが、首輪をつけて居る。しかも外れないように呪までかけている。きっとコレが有る限りこの管狐はその主の命令を聞かなければいけないのだろう。




「きゅ……ぼく…気持ちよく寝てたでしゅ…そしたら竹じゅちゅをひっくり返しゃれて……寝ぼけてたら首輪をつけられたのでしゅ。お気に入りの竹じゅちゅも取られちゃいまちた……」


 ぽろぽろと今度は泣き出した管狐は周りをキョロキョロ見て何かを探しているようだった。多分、身を隠す物を探しているのだろう。気分は宿がないヤドカリ。


「その首輪外してやろうか?」


「きゅきゅ…無理でしゅ…ぼくも取ろうとしたでしゅ……でもどんなにがんばっても……きゅ~~

「まぁ、やってみようか…」


 首輪に手をかける。先程よりビリビリ感は薄い。コレなら壊せるかも。


「それじゃ、壊すからね。」

「きゅ?」


 小さな首輪だ。管狐自体細いので大体親指と人差し指で輪程しかない。真鍮製の様な継ぎ目のない輪っかに指をかける。そして管狐に負担が掛からないよう一気に引きちぎる。意外に脆かった。まるで鉛を引き千切った様な感じだった。


「意外に脆かったよ。はい、取れたよ。」

「きゅー!?ありがとうございましゅ!」


 またもやくねくねし始める管狐……。それにしても、私の腕力がまたも跳ね上がっていた。これまで何の予兆も無かったので(嫁さんみたいにスプーン破壊)気付かなかった。


「さぁ、お前は自由なんだからどこへでも行きなよ。 」


 私は母さんに事の顛末を知らせないと。ココにもいないなら「危険物専門」の部屋に居るのだろう多分。








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