死亡か?フラグか?シリアスか?
注意!
最初に鬱な展開があります。そんなの見たくないよって方は遠目にスー…と飛ばしてくださって下さい。
私の嫌いな色………
「やーい、真っ白~。」
「気持ち悪いんだよ~!」
周りの人達より白い肌……
「年寄りみたいだ、気味の悪い……」
「ヤダ、本当に真っ白…」
周りの黒より目立つ白い髪……
「何あれ…血みたいな目。」
「気持ち悪い。」
血のような赤い目……
どれも嫌いな色。どれも嫌われる色。そして私の持つ色。周りとは違う、とても目立つ色。
「コレだから父親の分からない子供は…」
「お爺さんそんな事を言うもんじゃないですよ…」
唯一の家族の母親ともまるで違う外見。自分の全てが嫌で堪らなかった。
「気にしないの……コレは個性なのよ。」
私の存在が母親の足枷になっているのが、堪らなく嫌だった。
私の最も嫌な記憶……確か8歳の時の記憶。とても寒い冬の季節だった。その当時はお母さんは私の父親ではない人と結婚していた。その人は私にとってはよく会うおじさんだった。
初めてあったのは………5歳くらいの時だったハズ。小さい頃は色んな所に連れていってくれた。けれど、私が成長するにつれてあまり会わなくなった。仕事柄移動が多くて家に居ることが無くなったから。
私の人生が変化したのは、そのおじさんの実家に住むことになった時だった。
一応祖父母になる二人にあった。始終ニコニコしていて……正直気持ち悪かった。我ながら嫌な子供だったものだ。
けれど、酒臭い奴なんて好きになれないよ。昼間から酒飲んでるなんて……今まで会ったことない人種だったから戸惑っていたのもある。
ニコニコしているのは祖父の方。祖母は無表情のまま微動だにしない。話し掛けると数秒してから「何?」と返事をするけど、心此所にあらずのままで、正直どうすればいいのかよくわからなかった。
母親も仕事に行っているので祖母と家で留守番が多くなった。二人でいる時は話し掛けても普通の受け答えで、楽しかった。トランプやカルタなんか室内で出来て二人で遊べるもので遊んだりした。祖母と祖父がはまだ若いので祖父は仕事に行っていた。
その時だけは楽しかった。
段々と祖父が家に居ることが多くなってきた。仕事を休むことが多くなっていき段々と本性も見せ始めた。
学校から帰ると酔い潰れて茶の間で寝ているのがざらになっていった。
ある日だ、酒を飲んで泥酔していた祖父がクダを巻き始めた。祖母は無表情になっていった。気に入らなかったのか祖父は矛先を私に向けた。
「何を見ている、生意気なガキがっ!!」
テーブルに置いていたガラス製の灰皿が飛んできた。頭に当たったがこぶが出来ただけで済んだ。
祖母は目が合ったが知らん顔で黙っていた。
その日を境に祖母は何があっても助けてくれないと幼いながら悟った。
祖父は母親の前ではまだ猫を被っていたが、とある切っ掛けで化けの皮を剥いだ。おじさんが、音信不通になり始めたのだ。
出張で家に居ることが全く無くなった。祖父はそれを皮切りに色々と騒ぎ始めた。
休みの日や学校帰りの夕方にテレビを見ていると怒り出すのだ。
「いつもいつもテレビなんか見て、ガキが見るもんじゃない!!」
私が見ていたのは、情報番組やニュース何だが、何が言いたかったのだろう?
またある時は氷点下の真冬にストーブを付けようとすると、
「お前に使う灯油は無い。付けたかったら金を払え」
小学生に言う台詞なのか? まともな小遣いも貰ったことの無い私にどうしろと?
言った本人は家の中なのに防寒具を着ていた。ちょっと狡くないか。
だから寒いのも嫌いだ。
母親が居てもイチャモンをつけ始めた。
やれ、何か物が足りなくておかずが一品減ると、
「何でおかずが少ない!」
「材料が無いから…」
「ロクな物も作らないで無いだと!」
ろくに家にお金を入れない人に言われたくはない。給料を全て酒代につぎ込んでる祖父は生活費を入れなくなった。おじさんも生活費を入れなくなった。母親が全て払っていた。それなのにこの仕打ちは無いだろう。
「電気代が払えない! 一体何につかっている!」
「食費分と生活費、それとこの子の学費で手一杯ですよ。水道は何とかなりますけど、ガス代も何とか……けれど電気代は無理です。」
「俺に払えってか!? 冗談じゃない。俺はお前たちお荷物を家に置いてやっているんだ、それくらいお前が払うのは当然だ!」
何も払わずなにもせず、酒ばかり飲んでいるコイツは何がしたいのか分からなかった。
祖母は相変わらず無反応。一度祖母が祖父に怒鳴られていた時、母が助けに入ることがあった。その時祖母の行動は……
逃げたのだ。私と母が怒鳴られているのに。何事も無かった様に散歩をしていた。
歪んだ家だと思った。こんな所に居たくなかった。
事件が起きたのは、真冬。
この日は休みで朝から雪が降っていた。きっと茶の間はストーブも焚かずにとても寒いだろう。正直起きたくはない。けれど、起きないといけない。茶の間に居ると「またストーブ焚いてるのか!」と難癖つけたあげくストーブを持ち去っていく。付けていないのに。
なのに居ないと「ガキはまだ寝てるのか!」と怒鳴りこんでくる。私は6時には起きているのに…
寝室にもストーブはある。けれど灯油代がかかるので付けない。母は付けなさいと言うけれど、着替えるだけなんだから要らない。
布団から出て気づく、頭が痛い。鎮痛剤あったかな?
母と同じ寝室なのでさっきまで母が寝ていたであろう布団が畳んである。母は5時半には起きている。祖父達は5時には起きて朝食を食べている。そしていつも祖父の怒鳴り声がしているハズだが……今日はとても静だ。
残り少ない鎮痛剤を持って茶の間に向かうと、変な音がした。茶の間方だ。
ドスッドスッ…と、音がする。茶の間を覗くと祖母が座っていた。そして祖父が立ちながら何かを蹴っていた。母だった。
「う゛あ…ぁぁぁ……キァァァァァァァァァァァ…ぁぁ゛」
「煩い! 止めろ!」
頭が痛い…頭が痛い…頭が痛い!!
そこで記憶が抜け落ちている。気がつくと知らないベットの上に寝ていた。母が心配そうな顔でこちらを見ていた。
それから祖父に会っていない。母はもうあの家には帰らないと言った。後から知ったことだが、祖父が今までしていた事はほぼ全部証拠があって警察に捕まったらしい。祖母は捕まりはしなかったが、正直会いたくない。母はおじさんと離婚して慰謝料を貰った。少ししか貰えなかったと後から聞いた。
それからミケに会ったり、色々あった。
**********
そう、だから白も赤も嫌いな色。
ハァ……嫌な事を思い出した。
ポチは今燃えている。私が炎を放ったから。でも勘違いしないでほしい。私はポチを殺したい訳ではない。
ポチは今あの馬鹿兄に使役されている状態だった。だから奴に命令されれば私達に攻撃するしかないのだ。例え本人(狼)に意思に沿わなくても。
だから私は炎で守ったのだ。え? 守れてないだろ? ポチをよく見てよ。 生の生き物がそんなに勢いよく燃えるわけ無いでしょ。
はい? あぁ~術なら高温で燃え続けるだろう? うん、そうだね。なら、もうとっくにポチは燃え尽きてるよ。よく見てよ。動かないけど燃え尽きて無いでしょ。毛皮も無くなってないし。
私は九尾狐だよ。狐火で守ることなんて造作も無いのよ。なんてね、血の滲む努力をしたから出来るんですよホントはね。
このあとポチをどうするかはもう考えてあるから心配しないで。ポチは死なないよ。てか、死なせない。
どうやら馬鹿兄は頭に血が登った様だ。かなりの短気だな。そんなんで宰相息子が勤まるのか? 次期宰相候補さん?
弟は馬鹿ではあるけど、兄よりはまだ空気読めるみたい。それなら本気で兄を止めろよ。半殺しにされてもいいの?
馬鹿兄はどうやらまた藍苺を狙うつもりだ。奴の右手に微弱な妖気が集まり始める。本来なら微弱な妖気では人を攻撃することなど出来ない。精々軽い火傷が精一杯だろう。
何だろう……背中が熱い……
メキッ…ビリッ…バサッ……
はははは……翼が生えたよ……
おっと、話が逸れたね。
けれど奴は火傷では済まない程の術を完成させつつある……何か補助しているものがあるのか?
ニヤリと笑う奴は私が気づいてないと思っている様だ。バ・レ・バ・レ・だ よ。
火球を作り出し藍苺に向けて放つ。
マジでコイツは根性ネジ曲がってるね。10歳にも満たない子供を術で攻撃しようとするなんて。
相手の攻撃の瞬間が攻撃のチャンス。相手は術を放つ瞬間気を抜く。今回はそこスキを突くことにする。ちょっとばかし幼稚な作戦だが、場合によってはアイツ等は不利になる。
『(縛)』
奴等に捕縛の術をかけて身動きを封じる。ホントはね、もっと早くにかければ良かったんだけど……まだ上手く使えなくて、相手が動いているとかけられないんだよね。しかも二人同時は更に難しい。だからに時間がかかってしまった。
藍苺なんてさっきからあんまり喋ってないよ。ごめんね、正直余裕がないんです。
藍苺に向かって飛んできた火球は思いの外強力で今の私がシールドを張ったとしても、防ぎきれない。何より時間がない。ごめんね、藍苺。
前に体を大事にしてとか言ったのに、私が一番大事にしてないよね。何より……
自分を盾にすること、本当ゴメン。
背中に新たに生えた翼はどの程度盾になるか分からないけど、藍苺に直撃を避けられれば良い。翼を越えて来た炎は私の背中に当たるだろう。最悪火の粉が掛からないように、服に燃え移らないように狐火で私と藍苺を覆ってしまう。
狐火は温かく感じる程度、もちろん私が攻撃したいときは敵を燃やすことも出来る。そんな便利な狐火で炎から守る。炎に炎は効かない。なら、最初から狐火で防げば良いと思うでしょ?
でもね、奴の放った火球はちょっと防ぎきれない。
狐火は普通の火よりも高温に出来るけど、高出力の火の玉なんてね防げない。まして炎は物質ではないので物理的な(火球は妖気で物理的な物に変化している様だ。そうでなければ地面に穴なんか空かないとマミィが言っていた。)攻撃を防げはしないから。
余談だけど、狐火で守っている状態の時に敵ないし他人が狐火に触れると火傷するよ。
背中に何か大きな岩が当たったような衝撃がきた。どうやら翼は掠めただけで済んだ様だ。不思議と痛みがなかった。翼で藍苺を包む。その時初めて自分の翼を見た。真っ白の翼をしていた。まるで天使……黒が良かったのにな。
よく見ると肩に掛かった自分の髪も真っ白になっていた。まるで前世の色と同じ。
「(あぁ…また嫌いな色になってしまった。)」
髪の色が変わったのなら、目の色も変わってほしいものだ。赤のままなら前世と同じになってしまう。それは少し嫌だった。
今の事は全て一瞬の出来事だったが、それが全てスローモーションに見えた。そしてふと、藍苺と目が合った。どこか諦めているような目が驚いているようだった。
後ろで何かが動く気配がしたので、藍苺を抱き締めその上から翼で包んだ。そしてそして狐火の出力を上げて……そこで意識を飛ばしてしまった。
*********
「何てこと…………」
突如結界に空いた穴を修復するため朱李と二手に別れて行動していた。そして家の方角から不穏な気配と暫くしてから紅蓮の凄まじい妖気を感じた。森全体がざわめく程の妖気……やはり紅蓮は普通の妖怪とは違うのか。
「八咫烏、コウちゃんとランちゃんは無事なの?」
森全体まで見渡す能力を持つ八咫烏に聞くと、
「解りません……何かに阻まれて何も見えないのです。」
「お力になれなくてすいません」と返ってきた。不味いわね、コウちゃんも今はそれほど力をコントロール出来ていないのに……何よりも危険なのは侵入者よりも暴走したコウちゃん自身。
「(ランちゃんにはコウちゃんの受け継いだ力を教えてるけれど……心配だわ…)」
正直な話、侵入者がどうなろうがどうでも良いの。でも暴走したコウちゃんがランちゃんを傷付ける事が心配なのよ。コウちゃんも傷付くしランちゃんも傷付く。良いことなんて無いわ。
「八咫烏、朱李は今どこに居るの?」
「ここより北東の結界付近に居ます。ん、今移動をし始めました。方向は……若様の居る方角です。」
「そう、ありがとう八咫烏。貴方は監視を続けて。」
「御意」
朱李も気づいた。それもそのはず、先程のコウちゃんの妖気は余程の馬鹿で無い限り誰でも気がつく程強力だった。森の狂暴な魔物たちも身を隠す程の……
急いであの子達の所に行かなければ!
*********
原作を知っていたのにあのKY王子……今は王か、に捕まり封印されていた。全く自分が情けない。
漸く生まれた息子の紅蓮と原作通りに結婚していた藍苺と、そして前世でも恋人だったレイとほのぼの過ごせると思っていたが、侵入者にぶち壊された。
「少しここの警備は手薄なんじゃ…」
結界に空いた穴を修復するため二手に別れて、さっき修復を終えた。そしたら今度は紅蓮の妖気が爆発的に増した。これは何かあったと今そちらに向かっている最中だ。
どうやら二人は家の近くに居るらしい。そして近くには誰か知らない人間が二人居るようだ。差し詰侵入者だろう。
レイから聞いたが、紅蓮は確実にレイの血筋を両方とも引いているらしく、おまけに俺の血まで受け継いだ様だ。だが不思議と力の暴走は今まで無かった。だから今回のこの妖気には驚いている。一体あの子に何があったのか……心配だ。
きっとレイも今頃こちらに向かっていることだろう。俺の方が早く着きそうだ。
家の前に着いて唖然とした。
侵入者と思われる二人組が蝋人形の様になっていた。どうやら紅蓮に何か捕縛術でも掛けられた様だ。しかし俺が驚いたのは、その近くに蹲り燃えているポチと、藍苺を庇うようにして倒れている白い翼を生やした紅蓮がこれまた燃えていたことだ。
先ず紅蓮達を確める。すると燃えているのは狐火だと解った。狐火は対象を燃やすことなく炎から守る事も出来るとレイが言っていた。どうやら二人にはこれといった命に関わる怪我は無いようだ。
紅蓮は右手に刃の部分しか無いナイフを握り絞めていたが、これはおもしろい……
なんと、このナイフに掛けられた呪いが紅蓮に効いていないのだ。握り絞めているにも関わらず、傷が治りかけている。
次にポチの様子を見ると、外見はやはり燃えていないが、身体中に傷があり、翼もボロボロになっていた。しかし、ポチとて妖怪。この程度なら直ぐに治るだろう。それにしても……
「ポチにヘンテコな呪が掛かっていたようだが……解けている…」
この元の呪は隷属の呪だろう。他人の意に反して操るえげつない呪だ。きっと紅蓮の狐火の方がこの呪を掛けた奴よりも強かったのだろう。
さて、
「こんな事を仕出かしたんだ、ただで済むとは思っていまいな?」
固まったままの侵入者二人に告げる。どうやら動けないだけで意識ははっきりしているようだ。視線だけこちらを向いている。
目は口ほどにものを言うと言うが、ホントのようだ。こちらを向いて命乞いでもしているのだろう。
「安心しろ、殺しはしない。そう、殺しは…な。」
殺してしまっては面白くない。それにこの二人がどこの誰か突き止めて……
「(この二人に呪をした者を特定しないと)」
どう見てもポチの隷属の呪を出来るようには見えない。それに結界に穴を開けることなど到底出来ないだろう。
レイが知ったら……
「(先の変態襲来事件の時の怒り様は…)」
あの時は恐ろしかった。久しぶりに見た昔の片鱗がちらついた。昔の誰かがレイに着けたあだ名は「狂乱の乙女」だった。厨二で嫌だと言っていた。
いずれにせよ、コイツらの心配はしないがな。




