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新たな力はフラグの香り

 今回は藍苺ランメイ視点です。ちょっとシリアスかも。



 紅蓮コウレンがキレた。どうも、一応ヒロインに分類される藍苺ランメイです。前世男だけどな。


 原作では根暗だ、卑屈だ、泣き虫だと散々な言われようの『藍苺ランメイ』に転生してはや八年。まさか声を演じたキャラに転生していたなんて露にも思わなかった。……まぁ多少卑屈な考えかたをしてると自覚しては…いる。


 今思えば色々ヒントはあったのだろう。気が付かなかったなんてとんだ間抜けだな俺。



 そんな根暗な嫌われ姫のキャラ通りに紅蓮コウレンと偽装だが結婚をして、のんびり暮らしていた。まぁ、前から目を付けられてた伯父の変態ロリコンが襲来したのは嫌な思い出だが。


 その事件以来修行をレンと一緒にやったり、畑仕事に、少しだが、家事の手伝いもしたりと実際はとても充実した日々を送っていた。白の国に居たときは何もすることがなく毎日が暇で仕方なかった。


 そしてレンの父親・朱李シュリが現れ、レンの母親・麗春レイシュンと和解した。それを機に一緒に暮らし始めた。何だか懐かしさが……


 それにしても、いつ喧嘩をしていたのやら…




 そんな平和な日々をぶち壊したのは、俺が倒れた事から始まった。何でも呪詛にかかったらしい。


 レンは俺を救うため微量ながら妖力を俺に流したらしい。それとなく後から教えられた。実は血を分け与えて仮契約しようとしたことも。後から謝られた。別に気にしてないんだけどな。



 その妖力を流がす過程でどうやら精神が俺に引っ張られた様で、レンは俺の夢に現れた。本人は自分が本物だと隠していたが、バレバレだった。


 悪夢で変態ロリコンに追いかけられていた俺に叱咤。それと、気絶させた変態の顔に落書き(それも、どこから出したか油性マジックで)し俺の中にあった変態ロリコンの恐怖心を失笑に塗り替えた。


 ホントに紅蓮コウレンには頭が上がらない。世話になりっぱなしだ。




 話が長くなった。元に戻そう。



 何が言いたかったと言うと、今までレンは怒っていても表情があった。そしていつも終いには笑っていた。どこか人を馬鹿にした様な笑顔で相手を挑発、嘲笑、相手を油断させ、敵の弱点を突く、そんな奴だった。


 いつも最後に『大丈夫だよ嫁さん♪』なんて心配させないように配慮したり……だが、完全に…



「(レンの表情が消えた)」


 多少無表情になることもしばしばあった……が、ここまで酷い無表情は無かった。


 本気でヤバい…。こんな時下手に声をかけないようにと麗春さんに言われている。それは、レンの受け継いだ血筋の問題なのだ。


 コレは紅蓮本人もまだ知らされていない事なのだか、レンの祖父は九尾狐だったらしい。コレは別になんの問題もない。祖母の血筋が問題なのだ。


 四凶しきょうというのを知っているだろうか。それは四体の妖怪、渾沌こんとん窮奇きゅうき饕餮とうてつ檮杌とうこつと言うとんでもなく強力な妖怪の総称なのだが……。レンの祖母がその四凶のひとつ、窮奇の血を引いているらしい。


 そう言えば、中国の……古い書物にのっていた気がする。内容はあまり覚えていないが、確か竜の子供だとか、何とか云々……



 窮奇、それは虎の体に大きな鳥の翼を持つ大妖怪で、風を司る力を持つ。更に、怒りに我を忘れることもあるらしい。その血を色濃く引いているらしい、それも怒り心頭な今のレンはとても危険なのだ。


「…………『放せ』」


「………ッ!」


 声にエフェクトがかかっているのが何よりの証拠らしい。何でも、風を操る際に声に妖力を乗せて風を操るのでエフェクトがかかって聞こえるのだとか。


 力のある妖怪や術者はその声だけで実行力のある「命令」で人を操ることも簡単に出来るようだ。


 まさにファンタジーの世界だな。俺にとっては現実だけど。



「『放せ!』」


「あ、兄上、放した方が……」


「ふ、フフフ……残念ですが、この家畜は貴方の眷属ではありませんよ。今はもうね。」


「………」

「(馬鹿だ、本物の馬鹿だ。弟よりもこの兄馬鹿だ。)」


 レンの忍耐力を試しているのか? このままでは危ない。コイツらの命が。


「兄上! 止めましょう、何だかあの目は……」


「何を言っているのです、この機会ですから授かった力を試してみようではないですか。」


 あぁ…コイツは力に酔っているのか。貰った力を試したくて仕方ない子供なんだな。


「いいですか、この家畜は私の隷属になったのです。さあ「家畜」お前が盾にるの…」


「煩い……」


 ボロボロのポチをまるで物の様に扱っているアイツには怒りしか湧かない。


「あ、あ、あ、…」


「どうしたのです倬柏。まぁそこで見ていなさい…この家畜にアイツらの攻撃の盾になってもらいま…」


 グッタリしたポチを俺たちの方へ投げ飛ばそうとするが、不意にレンの無傷な方の腕、左手をアイツ等にかざす。すると……


 ヒュッ……ボッォ!


「熱ッ!!」

「ヒッ!」


「ポチ!?」


 何とレンはポチに向かって火球を放ったのだ。ポチはレンの放った火球で燃えている。馬鹿兄はポチを放して手の火傷を確かめている。



 ポチは今だ燃えている。



「レン……」


 今のレンに果たして理性はどれ程残っているのか。もしかすると、もう……



「貴様~~許さぬッ!!」

「待って下さい兄上」

「煩い! あの化け物ッ…殺してくれる!」


 メキッ…ビリッ………バサッ!!


 ぶぁっッと生暖かい風が吹く。


「……………」


 何とレンの背中に……白い翼が生えていた。そういえば、初めて狐耳と尻尾が生えた時に麗春さんが翼もその内生える的な事を言っていた気がする。それに窮奇も翼が生えた虎の姿何だし、翼が生えても別に不思議じゃないな。


「何と面妖な…」

「やはり、狙うなら……」


 何かを呟いていた馬鹿兄は俺を見てニヤリとした。コレは嫌な予感が……


 ポチは今だ燃えている。


「フフ……死ね!!」

「兄上?」


「ッ…!!」


 左側から何が…妖気が膨れ上がった様だが、今は目の前の光景が目から離れない……あの馬鹿兄は俺を狙っているようだ、勿論殺すために。あのさ、お前ら結局何しに此所に来たんだよ。


 あぁ…俺は死ぬのかな。レンのように何か術を操れるわけでもなし、レンの両親(父親の朱李さんは知らないけど)の様に戦闘経験者でもない。出来るのはちょっとばかし馬鹿力を出せることくらい。


 こんな状況で何が出来るのだろうか。



 あぁ…コイツも火球で攻撃するつもりなのか。痛くなければいいな……。痛いのは嫌いだ。死ぬなら痛みが無い方がいい。



 早くレンの両親が来ればいいけど、最悪このままではコイツは死ぬな。あの二人今どこに居るんだろ。もしかしたらコイツが何かしたのか?


 火球が目の前に迫ってきた。走馬灯なんて浮かばないけど、目の前のものが遅くみえるのは本当だったのか………。




 その時俺が見た最後の色は綺麗な白だった。









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