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フラグ?知らないなぁ…  作者: 雲猫’
番外編―後日談―
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サヨナラ…出来ればもう来ないでください 後編

 嫌いなものは吐かなければ食べれると小さい頃に言われて育った雲猫’です。


 食わず嫌いはダメだと思うのですよ。本当にダメだったならそれでいいのですけど……一口食べてみようよ……と、小さい子を見ていて思いました。



 細かくして飲み込んでしまえば同じですよ、腹にはいれば……。



 私これで食べれるようにしました。



 でも、こんなこと今したら虐待になるんでしょうかね……



 皆さんも気を付けてください。





 漸く騒がしい一日から解放された。やはり私は人付き合いは合わない様だ。それを実感した。


 これで良くもまぁ前世で近所付き合いやママ友と交流出来たものだ。不思議でなら無い。


 シュウの為と割りきっていたのだろうか…?でもそれはもわからない。




 シュウ……あの子は今はもう立派な青年になった。彼女とはうまくいっているだろうか? あの子は私と似ていて素直じゃないからなぁ……悲しませてないと良いけど…。



 着ていた着物を脱ぎながら考えているとあることに気づいた。



「あっ! 解れてる……」



 早いとこ解れを直さないとどんどん解れて酷いことに……。


 そうは思ったものの、今日はもう何もする気にならないので唐櫃からびつの上に置いておくことにした。明日やろう……と。



 出しておいた肌着に袖を通して帯を結ぶ。その上にもう一枚白い薄手の着物を着ていつも寝ている。よく時代劇で寝るときに着ている白い着物と思ってくれると助かる。



 本当はパジャマ代わりに半袖短パンが良いのだけど……嫁さんに不評なのだ……。


 何でも、「体を冷やすのはダメ」らしい。まぁ一理あるのでその助言に従っているのどけど。





 寝床はベットなのに着物を着て寝る……何だか違和感が凄いが、中華風の文化では寝台と呼ばれる固めのベットの様なものだったので……いいのかな別に。


 まあ、細かい事を気にしたら色々と負けな気がする。



 本当はお風呂に入ってゆっくりしたい……けど、そこは客人の方が優先。そこまで図太くない……ハズ。ま、ぶっちゃけ疲れて動きたくないだけなんどけどね♪



「はぁ……何かどっと疲れた。」



 多分、力を使った代償の様なものもあるのかもしれない。大きな力って不便だ。8歳の子供には過ぎたる力だったわけだ。



「そういえば……クラウドのやつどこ行ったんだろ。」


 クラウドは朝になっても何処にも居なかった。森の掃除担当、スライム達には食べられてないだろうし……何処に行ったんだろう……そういえば……夜夢がまだ帰ってきていないが……散歩にしては長いよな?



 考え事をまだしていたかったのだが、目蓋を閉じると直ぐ様睡魔に負けてしまった私だった。










 ふと、目がパッチリ覚めた。多分朝の6時あたり。何時ものように嫁さんに羽交い締めにされていた……昨夜も潜り込んで来たのね……将来夜這いには気を付けよう。


 遠慮無しに締め付けてくる嫁さんの腕を解き起き上がる。朝の日差しがまだ差し込まない時間なので私の部屋の窓は明るいが眩しくはない。丁度藍苺が起きる時間が一番眩しい。今日はカーテンを開けっ放しにして一人で起きてもらおう。


 私は朝風呂でも入ってこよう。寝汗はかいてると思うから。あんなに羽交い締めにされれば。若干が悲鳴をあげているし……お風呂に入りたい。


 それにしても……一体いつ潜り込んできた?







 所変わってここはお風呂場……


 湯船に浸かり一息……あぁ……お風呂って最高!!



『主、お話が、』


 お湯で塗れた床に影が浮かぶ……どういう原理だろあの影……



「おはようポチ……昨日はどっか行ってたの?皆も留守みたいだったし……奏と八雲以外は。」

『はい、夜夢や兎天と共に……大森林の方に言って参りました。』

「何か気になることでもあった?」



 珍しい……ポチが無断で大森林に降りるなんて……そういえば夜夢も昨日は帰ってこなかったし……緊急の事かな?



『不審な者をチラリと見つけたのですが……結局見つけられず……昨晩は帰ってこない夜夢を探して居ました。』

「夜夢が帰ってかなかったもんね。で?夜夢は無事なの?」


 眷属の死は主には感知できる。怪我を負っても分かるのだ。何もないのは知っているが、聞きたくなった。



『怪我もなく無事です。戦闘など無かったので。不審な“猫”は透明になったかのように消えてしまったので。』



 ………ヤバイ。それってクラウドの事だよね?事だよね!?


 そうだった。みんなには教えてなかったよ。



 大丈夫だよねクラウドさん。






《マ~ス~タ~……》


「…………ブクブク….。o○」

『主?』


 何だか意味もなく顔をお湯に沈めた。



 頭にクラウドの声が響く……合成音声の私にはお馴染みの声だ。若干オドロオドロしい……ごめんね? でも、あれ?夢では合成音声じゃなかったよね? それにしてもどうしたよ……


《うぅぅ……朝になってから大蛇に見つかり逃げましたよ…。敵意は無くとも子猫の私なんか一呑みですし…。大森林に墜ちるし……もう踏んだり蹴ったりでした。》

(大丈夫だったの?墜ちたって……それから大蛇は私の眷属の夜夢だよ多分。昨夜帰ってこなかったから心配したけど……そっか、クラウドと朝に遭遇してたのか。)

《えぇ……大変でした。それとマスター。彼らには私の存在を言わないでくれますか?》



『主……』

「ん? ごめんごめん。その消えた猫の事だけど、危険か無いなら気にしなくても言いと思うよ。大森林は危ないからあんまり深入りしないようにね。」

『なんだか府に落ちませんが……分かりました。皆に知らせてきます。』


 ごめん……頃合いを見て話すから今は勘弁してねポチ。ちょっと込み入った事情があってさ……。


《話さなくても良いので?私が言ったからですが……》

(今はまだ……ね)



 話終わるとポチは影に溶け込み姿を消した。本当にその能力便利だね……。もしかしたら私も……いや、力は使えないんだった。危ない危ない。知的好奇心で危うく大惨事になるとこだった。


《好奇心猫を殺す……ですね。》

(クラウドには冗談じゃないよね。さて、出てきなよ。ここには誰もいない。)



 出てくるように言うと蜃気楼やら光の屈折やら、そんな現象で現れたかのように姿を現したクラウド。本人(猫)が言っていた様に子猫の姿で可愛かった。


 瞳は綺麗な深いマリンブルー、毛並みは短毛の灰色……所謂ロシアンブルーだ。しかし、尻尾は付け根から二本生えており妖怪だと一目で分かるだろう。


 スラリとした脚に長めの尻尾、鼻筋も通っておりまさに美子猫だ。これがマンチカンなら破壊力は更に上がるのだけど……


《マスターの言うマンチカンと言う種類にはなりたくありません。あれは人間のエゴですよ。猫とは本来身体能力が高い生き物です。小さな体で狩人と呼ばれるほど俊敏で……。だから決してあの様に短い手足ではダメなのです! 可愛さだけで生きてはいけません!》


 例えで言っただけなのだけど……なにこの地雷踏んだ感は……。マンチカンに何か恨みでもあるのか?



《可愛いだけで……可愛いだけで!!!》


(ちょっと……落ち着けクラさん。充分可愛いから。マンチカンは可愛いけど、普通の猫は優美なんだよ、優雅なんだよ。張り合う場所が違うのよ。だから気落ちしないの。)


 ちょっと引き気味にフォローしてみるが、未だに憤慨している。触らぬ神になんとやら……。



《しかし、ありがとうございますマスター。彼らに姿を見せるのは憚られるので助かりました。》

(それで、どうしたのさ。)


 クラウドから話を聞くと生まれが原因らしい。クラウド曰く“生まれかたがあり得ない”らしく、普通は差別の対象になるとか。その為今まで隠れて生きてきたとか。因みに今は約3歳……。


 けどね、私の眷属達はそんなこと気にしないよ、きっと。八雲も受け入れた位だし、生まれで決めつけるような彼らじゃないよ。


《有り体に言えば……死んだ母猫から産まれましたから。歪な存在なんです。一般的には不吉の対象です。》

(不吉の対象ねぇ。何か実害があったりするの?)

《いえ、生まれが歪なだけですね。後は属性に闇が付くくらいですかね。》


 さっきまでの憤慨していたのはなかったかのように態度を改め真面目に話始めた。切り替えが早いね相変わらず。


《因みに、正反対の属性は惹かれますから…。闇の属性の私は光属性のマスターに惹かれますね。恋愛対象ではありませんのであしからず。私、馬には蹴られたくないので。》

(そんなこと異世界でも言っていたね。)


 可愛らしい子猫の姿で頷くクラウド。お風呂場のタイルに溜まっている水を嫌なのかしきりに前足を振って水気を飛ばしている。そんな姿が癒される。ポチも仕草が可愛いけれど猫と犬の違いはあるからね……。あぁ可愛い……嫁さんが見たら即構い倒す……あ、何か嫉妬心がメラメラと。


 そうなったら窮奇の姿で子猫みたいに振る舞ってやる!……子供だから見た目子猫だし、大きいけど。


《マスターに粉をかけて馬に蹴られた輩は大勢見ましたから。》

(嫁さん一筋を貫いたからね。)


 忘れもしない、異世界での受難……。何であんなに変な輩が群がってきたのか今でも分からない。


 何処から涌いたのかと周りに松明を置こうかと錯乱した程だ。暗い場所は明るくしようとして変な目で見られたよ……。その時はハマったゲームのやり過ぎたと思ったよ……ハハハ……


 白神か?白神の所為か?



《マスター。そろそろ上がらないと逆上せますよ。私は透明になって外に居ますから。》

(透明になっても気配は消えないんじゃない?見つかるかもよ?家はチート勢揃いだし…)


 あどけない子猫が振り返りニタリ…と笑った。可愛いのに不気味でもあった。


《生まれたときから私には存在を隠す能力が備わっていました。でなければ今頃ここには居ません。》

(……そう。聞いて悪かったね。)

《いえ、マスターに悪気が無いのは分かっていますから。》



 そう言って透明になった。光学迷彩とかうっすら視認出来るようなタイプじゃなく、本当に存在を隠してしまったようだ。凄いなクラウド。妖怪は結構何でもありだね。



「さて、そろそろ上がろっかなぁ……」



 少々長風呂し過ぎた。早く上がって朝食の仕度をしないと……。



 それが私の仕事だし。









 それから暫くして……バタバタとキッチンに入ってきた。誰がって……嫁さんが。


 髪も整えていないので髪を整えてくるように言うとさっさと戻っていった。何がしたかったの嫁さん。まさか私の姿が見ないから不安で探しに来たとか?私離れしようね? そんなに依存しきってたら大変だからね。


 ホラホラ……髪がハネ放題だよ。黒チョ〇ボって言われるよ。それにホラ……ヨダレ……ちゃんと顔洗って来てよね?


 そんなことを考えながらも手は止めない。早く用意しないと皆が起きてきてしまうからだ。今日は客人達が帰るのだ。早めに起きて仕度をするだろうから。


 冷蔵庫を開けると、予想していた通りに昨日の残りの野菜が入っていた。嫁さんの字で“イガグリ食べ残し”とご丁寧にも書いてあった。その他は残り物はなかった。みんな食べたのか……スゴい食いっぷりだ。作り甲斐があった筈だ。


 確かに昨日は私も言い過ぎだ。だが後悔はしていない。反省は……少ししているけど。


 だが、だからと言って残すのを容認するかは別問題だ。食べるまで許さない。一口でも食べて本当に食べれないなら、仕方がない。私も牛乳は吐くから……けど、食わず嫌いはダメだ。


 だから、一口食べれば許そうと思うのだ。一口食べてダメなら、仕方がない。敬意を見せたならご褒美にデザートの洋梨のゼリーを出そう。


 勿論、食べなければ……イガグリだけ無しだ。男を見せろイガグリ! ここが正念場だ!


 因みに、ゼリーに使ったゼラチンはマミィが作りました。動物性ではなく海草から採りました。動物性は臭いがちょっと気になったので……没収になったのです。




 さて、嫁さんも身なりを整えて来たので、テーブルに並べましょうか。





 そのすぐあとに八雲が朝のジョギングから帰ってきた。日課のようだ。お疲れ様でした。


 汗をかいたのでお風呂に入ってくるように言い付け、テーブルに料理を並べ終わり只今午前7時。風呂上がりほかほかの八雲も手伝いに加わった。


 そして、7時半を過ぎた辺りで起きてきた客人達。予測したほど早くはなかった。お疲れだったのだろう。畑仕事は大変だし。



「おはようございます皆様。今日もいい天気ですね。」


「おはようございます鈴雛姫。」

「おはようございます。」

「おはようございます…」


「まだ眠い……」

「これ、柏樹、挨拶をしなさい。おはよう。少し起きるのが遅くなってしまった。すまない。」

「ん~…おはようございます……」


 朗かにリビングに入ってきた鈴雛と未だに朝がダメな柏樹王子とキチンと起きている狛斗王子。筆頭侍女さんは控えめに後から挨拶をしてきた。何だろう……みんな笑顔が固い……私の所為か? 昨日の事が後を引いてるのか?


「お、おはようございます。ほら、大雅も……」

「……ぉはようございます……。」


 王子達と同じ様に若干ひきつり気味に挨拶してきた舞子親子。イガグリは最初から最後まで消え入りそうな声だった。そんなに私が怖いか。


「おはようございます。」


 始終母親の後ろで隠れて私を避けていた。


「おはようみんな。」

「おはよう。」


「「「「おはようございます」」」」


「おはよう父さん母さん。」

「おはようございます」

「おはようございます…」



 やっぱり一番遅かったのは両親二人だった。母さんは無理して起きてこなくても良いのだよ? 朝のつわりは一番辛いからね。何も胃に入ってなくとも吐き気が止まらない事もあるからさ。


「起きてきて大丈夫?」


「えぇ、病気では無いのだから大丈夫よ。」


 もう、コウちゃんも朱李も心配性ね。と、母さんは苦笑いをしていた。多分起きてくるまでに父さんと押し問答していたのだろう。母さん、男ってのは妻が妊娠していると苛つく程世話を焼きたがるのだよ。個人差あれど、大体はそんな感じになるのだよ。ジンもそうだった。鬱陶しい程に構ってきたり世話を焼きたがる。そして要らぬ制限をかけるのだ。


 やれ、動きすぎだ、働きすぎだ。やれ、薄着しすぎだ、暖かくしろ……食べろ何の……何も二人分食べる訳じゃないのにね。医者の指示に従っているんだから……はぁ……。


 終いには、くしゃみしただけで病院に連れていこうとしたしね。初産だから神経質になるのも分かるけど、構われ過ぎると逆にストレスが溜まるって義母さんに怒られていたよ。



 ……なんだか懐かしい。




「心配なんだ。初産は立ち会えなかったし。杞憂だと分かっていても、居ても立っても居られないんだ。龍は心配性だからな。」

「あら、朱李……それじゃまるで龍全てがそうと言っている様じゃないの。」

「実際そうだぞ。俺の父親も母親が弟を身籠っていた時は……今の俺とそう変わらないぞ。」



 あぁ~。確かに今なら分かるかも。嫁さんに何かあると気が狂いそうになるとか……心当たりがありすぎる。


 仲間思いってか家族思いだからねぇ龍は。それが身重の伴侶なら、心配性になるのも頷ける……かな。


 てか、父さんの実家の家族構成全然知らないなぁ……母さんは末っ子だってのは知ってるけど。あまり詳しくは知らない。



「心配しないでとは言わないわ……けど、し過ぎないでね?」

「心がける……。」


「王子方も将来この様に過敏になりすぎないように。妊婦にとってかえって気疲れしますよ。ねえ藍苺?」

「………うん。(見に覚えがありすぎる……)」

「八雲も将来気を付けろよ。構いすぎるとキレるよ?」

「yes boss…(子供の言う台詞じゃないと思います!)」



 今日の朝のメニューは母さんの事を考え野菜と果物多目にしてみた。臭いの強いものは除いた。つりが酷いときは何も塗ってないトーストか塩っ気の無いクラッカーがおすすめ。


 考えてみれば、昨日のメニューはかなりキツかったかも……とは思ったものの、何ともなさそうな母さんに安心した。つわりは酷くない方の様だ。


 私は空きっ腹と寝起きが酷かった。




「今日の献立は、食パンのトースト(バター無し)ポタージュ、サラダとデザートに洋梨のゼリーです。トーストにはバターやジャムを好きに塗ってください。蜂蜜もありますよ。」


「朝はこのくらい軽めが良いですわね……王宮ではもっと重たいですから……少々胃が……」

「そうだったのですか!? 早めに言ってください姫様。我々も姫様に無理はさせとうございませんよ。」

「折角作ってくださるから……悪いと思ったの。」

「姫様に無理をさせる方が駄目にございます。今度からはもう少し軽めの朝食にします。」

「そうか、女性には我が王宮の朝食は重いのか。」

「姉上、無理しちゃ駄目だよ?」

「ふふふ……わかっていますよ。」


「うん、確かに王宮で出される食事って味付けが濃いから胃に負担が掛かるよね……。私も軽めの物にしてもらおうかな。」


「まぁ、マオ様もですか? これは失礼しました。帰り次第改善させます。」



 そう言えば、重かった……王宮の料理。



「私は朝は果汁しか飲まないから、ちょっとこれでもお腹一杯……でも、何だかお腹が空いてきた。恥ずかしい……」

「………僕の…野菜ばっか……」


 気付いたなイガグリよ。そうだ、そのお前の前に鎮座する野菜は昨夜お前が残した野菜達だ。食べない限りはデザートは無いぞ。



 そう言えば……トーストとかデザートとか言葉は通じているのか? 質問とか聞かないのだけど……ニュアンスで大体通じたのか?


 ま、いいけどね。





「大雅、それは昨日お前が残した野菜達だ。食べなければ洋梨のゼリーは無い。」

「「(う、後ろに鬼が見える!?)」」



 青ざめているイガグリなど無視してとびきり嫌味を込めてニッコリと笑う。するとどうだろう……箸を野菜に向け始めた……が、寸での所で箸は止まる。さっさと食えって。


 それと藍苺と八雲。怯えた様に私を見ないでよ。


 心なしか私の後ろを見いてるけど……あ、妖気が少し漏れてたかな?フフフフフ……



「一口食べて吐くのなら免状しましょう。私も鬼ではありませんので。しかし……欺こうとは思わないでください。窮奇の血が流れる私に嘘は通じませんよ。」


 窮奇は正直者には死を与え、嘘つきには褒美を与えると言われている。つまりは、嘘つきか正直者か分かるのだ。私に嘘は通じない。


 勿論、同じ窮奇には効かないので母さんが嘘をついても分からない。嘘か真か分からない時は、その者は窮奇の血が流れると言う証拠にもなる………多分。私にもよく分からないのだ。




「嘘つけないのはその所為か……」

「窮奇って……あの?え?知らなかった。最強じゃないっスか。」


「そうね、私達窮奇の血が流れてるから。嘘は見抜けるわね。」

「窮奇でなくとも見抜ける血筋だぞ。白龍も真を知り、偽りを見抜く。勘に近いが、それでも精度は上だな。窮奇ほど正確とは言えんがな。」


「なるほど…(最早チート家族……両親がチートなら子供もチートか。ま、私が予め考えていた設定なんだけどね……大体は…)」


「窮奇については知りませんでしたが、白龍は我が国の象徴。色々な言い伝えの中にその様な文面がありましたわ。」

「“その者、白き龍は真を知り、偽りを見抜く。その力で国を導いた”だな。我々もその血をごく薄くではあるが引いている。直感的なものは確かにあるな。」

「そうなの?」

「確か古い書物が書庫にありましたよ柏樹王子。王族の方にも研究なさっている方がいましたし。今度お話を聞いてみては?」



 筆頭侍女さんの言葉にそう言えば……と何か思い当たる節がある狛斗王子と鈴雛姫。ちょっと興味がありそうな柏樹王子は国に帰ったら聞こうかな、と言っていた。


 そして、未だに野菜と睨めっこ中のイガグリと見守る舞子は……



「ほら大雅。謝るならちゃんと敬意を見せないと。一口でも食べて……ね?」

「………」


 私の顔をチラリと見ては野菜の乗った皿を交互に見ている。だから、一口食えって言ってんだよ。私の顔を見てもダメだって。



「あの、紅蓮兄上……昨日は……」


「謝るつもりなら結構ですよ。一口も食べないなら許す気は無いので。」


「……何故……?」



 イガグリは私に謝ろうとしだが、私は食べないなら許さないと釘を刺した。それで食べなくてもいいと思ったら大間違い。私はお前の周りにいた甘やかしてくれる女官じゃ無いんだぞ。


 甘ったれるな。このくらい……我慢ってものを覚えなさい。



「何で…僕を苛めるのですか?」


「甘やかすだけが愛情じゃないぞ。私はお前が嫌いだが、黄の国の民は嫌いじゃない。お前はそのまま成長して王にでもなられたら迷惑を被るのは民だからな。それは可哀想だと思った。お前がこのまま成長すれば絶対に我が儘で国を悪い方に導きかねない……。お前は我慢を覚えろ。」


「理不尽です……」


「理不尽?それがどうした。お前が理不尽だと言うなら、一生懸命働いてもお前の我が儘で振り回される民の方が理不尽だ。王子だからと周りに甘やかしてくれてきただろうが、我が家では単なるガキ。何でも許されると思うなよ糞ガキ。」



「!!!!」



 何だか変な顔で固まったイガグリ……。口を半開きにしているので近くまで近づきピーマン(肉詰めなのに肉は無い)を箸でつまみ、イガグリの顎をみぎてで掴んだ。あ、私は左利きだよ。箸は左に持ってます。ホントは両利きなんだけどね。



 掴んだイガグリの顎をを自分の向きに向けグイッと押して口を開けさせた。チートの握力に勝てると思うなよ糞ガキ。さっさと開けんか馬鹿者。


 そして抉じ開けた口にピーマン(予め小さく切ってあった)を放り込む。そして口を素早く箸を置いた左手と右手で閉じさせる。そして用意周到に用意していた温めのお茶でいつでも流し込める様に右手にスタンバイ。


「★▽▼↓Σ!〓∈↑+〉!!!」


「はいはーい。お茶で飲み込もうね~。飲み込んだらあまーいお菓子が待ってるよ~。」


「~~~~………ゴックン……ハァハァ……」


 ピーマンを飲み込んでゲンナリしたイガグリの頭を撫でながら良くできたと誉める。誉めるのは子供には大事だ。


「食べれたな~偉い偉い。そんなに不味かったか?」


「……味なんて分かりませんでした。」


「どうしても食べれなかったら細かくして飲み込んでしまえばいい。いきなりやったのはお前が聞いても逃げ出すと思ったからだ。



 周りのドン引きな空気はムシムシ。



「子供の内は誰だって好き嫌いはあるぞ。それとどう折り合いをつけるかが重要なんだよ。味あわずに飲み込んでしまえ。慣れたら少し噛んでみてダメなら仕方ない。私の経験から意見するなら、嫌いなものは先に食べてしまえ。好きな物で口直しすればいくらかましだぞ。」


「……はい」


 こくりと頷いた。言っても聞かない子供には時には実力行使も必要だ。勿論、手加減しないと子供の正確に悪影響を与えかねない。だから、ちゃんと飲み込めたら誉める、ご褒美を与える。


 悪いことは叱り、良い行いをすれば誉める。そうやって善悪を教え向上心を上げてあげるのも周りの大人の責任だと思う。親が出来ないなら周りがしないといけない。勿論、親がするならもっと効率がいいだろう。子供にとってどんな親でも親なのだ。


 行きすぎた躾は虐待だけど、加減を間違えなければそれは子供には必要なことだと私は思う。


 悪いことをして親に叩かれて子供は痛みをしる。友達と喧嘩をして手加減をしる。今日では子供を叩くのは良くない。直ぐに虐待だと言われる世の中だ。しかし、大半の親はキチンと手加減をして叩いている。世間は過敏すぎると思う。


 殴りあいの喧嘩をして駄目。小さい子なら必ず喧嘩をしたり取っ組み合いにならなかっただろうか?


 子供は相手に何をすれば痛いかを身をもって知るのだ。噛みついたら痛い、だから人にはしてはいけない。小さい子はそうやって善悪を覚えていく。


 掠り傷は子供の成長の証しなのだ。



 おっと……話がずれたね。


 今回は強引な手を使ってけれど、ちゃんと加減をしたよ。はきそうになったら吐き出せる様にボールも用意していたし。ピーマン自体も味がしないように加工してたし。



 今後、食べれたと言う記憶がイガグリの記憶に残っていれば、自信も付くんじゃないの?



 そこら辺は親である舞子に任せるよ。父親?なにそれ美味しいの(^q^)


 アイツには無理でしょ。好き嫌い激しそうだし。



「大雅、好き嫌いは惨めだぞ。大人になっても好き嫌いしてると哀れな目で見られて……。恥ずかしいことこの上ない。人前では嫌いでも平気な顔で食べろよ。弱味を見せるな。」


「はい、兄上!」



 何だか変にキラキラしい目で見られているけど、気にしない…。イガグリに犬の尻尾と耳が見えそうだけど気にしない。



「ああいう手もあるのね……」

「ん~~昔その手で親に無理矢理食べさせられたな……。結局食わず嫌いなだけで食べても何ともなかった記憶が……」


「見た目に反して不味くない物は結構あるからな。」

「僕もね、青物嫌いだけど、食べると平気だったよ♪」

「そうですわね。私も小さい頃は人参が苦手でしたわ。」

「皆、少なからず嫌いなものはありますから。」


「実は私も玉葱が嫌いなのよ。火を通せば食べれないこともないけど、生は絶対に駄目。」


「あら、マオ。貴女も? 私も玉葱が嫌いなのよ。でも、単品でないなら何とか食べれるわ。自分で作り始めたら食べれるようになった野菜が結構あったのよ。」

「実は俺もピーマンは苦手だな。肉詰めは食べれるが。」



「俺も野菜は嫌いだ。けど、作って貰ったレンに悪いから残さず食べてる。

「そうだったんスか? 確かに野菜を先に食べてましたけど……それって嫌いだったからなんスね。」

「そう。藍苺は野菜嫌いだからね。それでも食べているんだよ。」


 そしてこう付け足した。「女の子が我慢して食べているのに、男のお前は食べないと駄々をこねるのか?」ってね。何が効果があったのか黙々と食べ始めたイガグリ……。なんと単純な奴だ。将来誰かに言いくるめられて騙されそうで心配になるよ。


 ま、扱いやすくて助かるけどね♪








 誉めるのも必要ですが、厳しさも親には必要だと思います。加減がありますけどね。



 さて、後三話程で終わります。後もう少しなのでお付き合いいただければ幸いです。m(__)m

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