プロローグ?知らないなぁ
物語にはフラグなんてモノがある。
それは良いモノだったり、最悪の場合、死亡フラグだったりする。
そんな話題を友達と話していた。
恋愛フラグはどうの、あのキャラの死亡フラグはどうすればへし折れたかとか、多少オタクの気がある友達の話を聞いて私は言ってしまった。
「まぁ、現実にはフラグなんてモノがあるワケ無いんだよ。」
……今思えば、アレはフラグだったのかな?
何が言いたいのかというと、朝起きたら、赤ん坊になっていた…。突然のことで今、絶賛パニック中だ。
「(これが、俗に言う転生か?しかもバッチリ記憶もある。)」
友達の会話でフラグが立っていたのか!?
マジでかΣ(゜Д゜)
なら、私は一体いくつフラグを立ってたんだろう…。友達との会話で一体いくつのフラグが立っている事か…憂鬱だなぁ。
「まぁ、可愛らしい。貴方はあの人にそっくりね…。将来女性達に持て囃されるでしょうね。」
今、喋っている人は多分、今の私の母親であろう人。儚い感じの美人さん。この人まだかなり若い。16歳位にしか見えないけど、もしかして童顔なだけとか?
それにさっき、スルーするとこだったあの人って私の父親ですかね?まだ、会ってないけど…嫌な予感がするよ…。
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さっき、嫌な予感がすると言ったよね…アレはマジだった。
「いつ見ても赤子は猿だな。」
ハイ、この私に会って早々猿呼ばわりした人が父親です。しかも、ノックもナシ、母親であろうこの人に労いの言葉もナシにこの一言。何様だ…。
「陛下、赤ん坊と言うのは皆産まれたばかりこの様な顔ですよ。」
そうだそうだ!アンタも最初はこんな感じだったんだぞ。今の自分の顔は見てないけど…。猿にしか見えなくても、本人の前で言うなよ、空気よめKY陛下。
……? 陛下?…陛下!!(゜ロ゜ノ)ノ
この人が? このKYが!…今の私の父親
ですか?
マミィよ、確かにこのKY陛下はお顔の作りはとても良いですか、性格に難アリですよ。こんな性格じゃ、女性も直ぐに離れるよ。気遣いとデリカシーのない人はモテませんよ~。
「…この赤子を見せるためにわざわざ呼んだのか?面倒な。」
「私は呼んではおりませんよ。大方、陛下の側近達ではないのですか?」(訳、誰かアンタなんて呼ぶか。)
今、気が付いた事。わが母は、儚い外見だが、精神的にはかなり図太い。KY陛下よりも逞しいのでは無いだろうか…。だって副音声が聞こえたよ。
しかし、KY陛下。アンタさっきから落ち着きないなぁ。何でそんなにキョロキョロしてんのさ。
「まさか、私の気を惹く策略では無いだろうな!」
私の目から見てもそれは無いと思うよKY陛下。それを世間では自意識過剰と呼ぶのだよ。
それにしても、この二人何歳何だろう。前世の私は二十歳だったけど、二人とも十代前後かなぁ?
て、事は、二人とも私よりも精神年齢下なのか…。
「陛下、私の家は貧しき下級貴族。例え陛下の気を惹いて何になりますか。なにより、私が後宮に入ることを断ったのは知っておいででしょう。陛下がこの後宮に態々入れたのですから。」(訳、誰か好き好んでこんな所に来るか。)
「…………」
なんか、赤ん坊の私をほったらかしにして、ドロドロな話をし始めたよ。お願いだから勘弁してよ。赤ん坊の目の前でそんなドロドロなんて、教育上宜しくないでしょ。
しかも、KY陛下が押されている…。どうやら軍配は母親にあるようだ。
どうも、母親はこの結婚に乗り気では無かったようだ。…私、育児放棄にされないよね?この母親はそんな風に見えないが…。
それに、後宮って事は、他にも妻が居るって事で良いのかな?ドロドロ愛憎劇の予感がするよ。
「私の所に居るのがお嫌なら、他の妃の方々の所へどうぞ行って下さいませ。私はこの子の面倒を見ますゆえ。」
今の光景は、飼い主に見捨てられた飼い犬、状態。
やれやれ┐( ̄ヘ ̄)┌
KY陛下がマミィの気を引きたいだけなんじゃない…?情けないよ…KY陛下。
アンタはそれでも男か!好きなら好きと言えってんだ!
「…………」
「(あ~あ、諦め早いよKY陛下。)」
何だか影を背負って部屋を出ていく陛下はとっても可哀想だった。
すまんなKY、私はまだ喋れないのだ。 まぁ、喋れたとしても助ける気なんか端からないけどね。
だって、マミィ以外にも奥さん居るんでしょ?
ソレナノニ、マミィに気があるから構って欲しいけど、邪険にされたら いじけるなんて、意気地無し。
*********
あれから1週間たったようだ。
KY陛下以外に誰も来ない。マミィの世話をする人は居るけど、この人達女官らしい。初めて見たよマミィやKY陛下以外。
そーいえばさぁ、ここの人達の格好がさ、何て言うかなぁ、中華風? それもかなり昔の王朝時代の着物の様な感じの服装で、どうもここは違う世界か、時代を逆行したかのどちらからしい。
のだが、どうも異世界のようだ。何で分かるかって? だって、KY陛下は金髪だからだよ。それに、話す言葉は日本語、月が二つも有るんだから地球じゃないてしょ?
あぁ、そうそう、あのKY陛下さえ来ない。手紙1つ寄越さない。ホントにマミィに気があるのか怪しくなってきた…。ただの私の早とちりか?
どうも私以外に産まれたばかりの子供が居るらしく、みんなのそっちに掛かりっぱなしらしい。その子の母親がかなり高い身分らしい。私としてはすごしやすいからこのままでも良いけど。
女官達の噂では、KY陛下はいたく気に入っている側室らしく、産まれた子供も大変可愛がっている様でこっちに来る暇が無いとか。やっぱり、私の早とちりだったようだ。それにしても、女官の皆さん、壁に耳ありですよ。赤ん坊だと思って話していたようてすが、しっかりあなた達のマミィに対する悪口は記憶しました。
そんなKY陛下の扱いにもどこ吹く風なマミィは「陛下が居ないと平和で良いわね♪」と花が咲いた様な笑顔で言いました。アレ?もしかして、マミィ黒いの?
そんな感じで過ごして居ると、興味深い事を聞いた。何でも、私はKY陛下、つまり父親に全く似ていないらしく、女官達曰く、父親が違うのではないかと、噂になっている。
そんな噂にマミィの一言、「当たり前でしょう、この子は婚約者の子なのだから。」……何て言うかな…、あぁやっぱりの一言でしたね。勿論誰も居ない所で言いましたよ。赤ん坊の私に言っても普通は理解出来ませんよ…。
それにしてもマミィ、聞こえていたんですね女官達の嫌味。この人は怒らせてはいけないタイプのようだ。
そんな訳で、肩身の狭い、他の側室達からの嫌がらせやらで逞しく育ちましたよ。ただ今7歳、一番のやんちゃ盛りですが、精神的には27歳…。
KY陛下は、あれから一度も顔を見ていません。私の同い年の弟が可愛いらしく、私やマミィの事は忘れた様です。
薄情なヤツだな。まぁ、私が全く似ていないからかも知れない。
もしかしてKY陛下…マミィに全く手を出してないとか…。マミィは気が強いからな~あり得るね。
「(それにしても、本当の父親は一体誰なんだろう…。マミィは教えてくれない。)」
一度聞いてはみたが、いつも「いつか会えますよ。」何ではぐらかすから未だに解らずじまい。それと、マミィと心のなかでは言っているが、実際は母上と呼んでいる。ちなみにKY陛下は、陛下呼びだ。一度しか会っていないのに父上はおかしい気がする。
本当の父親にいつか会えるのならいいけど、頼むからKY陛下みたいな薄情者は勘弁してね。
あっ、そうだ。言ってなかったけど、私、実は……
「転生したら男になっていた…」
…なのだ。きっとオタクの気がある友達ならこう言うだろう。「あぁ、性転換ものか…結構あるよねそう言う話。しかも転生、王子、不憫、よくあるよくある。」絶対言ったよあの子なら。
……………せめて普通の家庭が良かった。
……フラグなんて、フラグなんて…
フラグなんて知っことかっ!!!
絶対フラグなんてぶっ壊す…
…これもフラグにならないよね?