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教えて?フロウ先生!―四の姫シリーズ解説短編―  作者: い~ぐる&十海&にゃんシロ
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3話「属性と暦」

<教えて?フロウ先生!3―属性と暦―>


「そんじゃあ今日は、属性について話すぞ。ニコラ、まず属性がいくつあるか言ってみろ。」


 シナモンスティックを齧っている眠そうな垂れ目の中年風貌…フロウライト=ジェムルが、金髪の少女…己を師匠と呼んで憚らない貴族の令嬢、ニコラに問いかける。


「えっと…火・水・木・金・土・聖・魔の7種類!…だったわよね?」


「惜しい、それに属性が無い…つまり無属性をあわせた8種だな。…まあ、属性が無い、なんて力線でもない限りはほぼ存在しないんだが。」


「え?…でも、魔法使わない人に属性ってあるの?」


「何言ってんだよ、お前さんだって魔法の事知らなくても、水の属性と相性良かっただろ?あれはお前さんが水の属性を持ってたからだ。」


「…そうなんだ、てっきり魔法使えない人に属性って無いんだと思い込んでた。」


「…あ~…その解釈はあながち間違ってはいねぇが…とりあえず、属性についてちゃんと説明するぞ。」


 しょんぼりと自身の勘違いにうな垂れたニコラだが、フロウの言葉にバッと顔を上げて目を輝かせうんうんと頷く。


「あ~…属性ってのは、この世に存在するほぼ全ての存在が持ちえる命の性質だ。基本的にはニコラの言った7種の属性に人間だろうがネズミだろうが全てが分類される。

 7つの属性にはそれぞれ優劣っつぅか、力の関係性がある。まず聖と魔は互いに相反し、打ち消しあう関係にある。

 そして、木は土に強く、土は水に強く、水は火に強く、火は金に強く、金は木に強い…。

 さらに、木は火を増幅し、火は土を増幅し、土は金を増幅し、金は水を増幅し、水は木を増幅する…。

 ちょっと小難しいが、全ての属性はこういう関係性で成り立っている訳だ。」


 ちょっとばかり長くなるが、喋った内容を真剣にメモに取る少女を見て、男は楽しげに饒舌さを増す…。

 ちなみに、同じ講義を以前ダインにした時は、途中でダインが頭を抱えてギブアップしたとか、してないとか…。


「ふむふむ…あれ?でも…それじゃあ私の属性って水だけなの?」


「ん?あぁ…属性は一つとは限らねぇ…ニコラは水と聖の属性だな。…ちなみにオレは木と魔だ。魔法使いにとって、保持する属性の数はステータスだ。なんせ高位の魔法をどれだけの種類扱えるかは、殆ど属性の数に依存するからな…まあ、どんな天才でも属性は三つってところだろうが。」


「へぇ…何で三つなの?属性全部持った大魔法使い~!とか御伽噺に居そうなのに。」


「あぁ、それはだな。基本的に火と水とか、水と土とか、金と木とか…どちらか片方が、片方に強い…なんて組み合わせの属性を持って生まれてくる奴は居ねぇからだ。俺が知ってる中で一番多い奴でも、金・土・魔の3種類だからな。…ま、さっきから『基本的に』って言ってる通り、例外なんて幾らでも居るわけだが。」


「例外って…つまり、打ち消しあうような関係の属性の持ち主とか…属性が無い人ってこと?」


「そうだな、まあそういう奴は大抵、聖と魔の組み合わせなんだがな。…まあ、それは置いといて…属性の無い人間ってのも、極稀に居る…本当に稀で珍しい存在だが。」


「そんなに念押しで言わなくても…あれ、でも高位の魔法って属性の数で使える数が決まるって言ってたけど…属性が無い人ってどうなるの?」


「使えない。っつーかそもそも魔法の才能が無い。共通語魔術とか、力線から力を引き出して使うだけの簡易な魔法なら扱えるが、そこから一歩突っ込もうとしても、初級で躓くな。

 まあ代わりと言っちゃなんだが、その代わり属性の影響を受けないから、魔法が効き難い体質になる。…魔法を異端とする土地では、属性の無い奴が重宝されてるって話もあるぞ。」


「…それって、魔法使いに対する切り札として…って意味よね。…何か複雑。」


 自分が魔法の道を志しているせいか…そういう偏見の話を聞くと眉根を寄せる少女に、男は苦笑いしながらポンポンと頭を軽くなでて。


「ま、その辺をお前さんが気にしても仕方ないさ。…で、他に質問は?」


「あ…えっと、精霊とかは属性がすぐ分かるから良いとして…人間とかって、どうやって自分の属性が決まってるの?」


「あぁ、それはな…通説では、生まれた日と時間で決まるってのが最も有力な説だな。具体的に言うと、曜日と昼夜…だな。」


「曜日?…火・水・木・金・土の曜日に、安息日の6つの曜日の事?」


「そ…まあ早い話、生まれた曜日の属性の…昼なら聖神、夜なら魔神が加護を与えて…人間に属性が生まれる…ってのが通説だ。

 それに加えて、日食・月食や日の境目とか…そういう時に生まれると、始祖神リヒトマギアが加護を授けたり、

 複数の属性を持って生まれたり…逆に属性の無い奴が生まれたりする…らしい。正直この辺は俺も詳しく知らないからな。」


「ふむふむ…曜日はわかってけど、月は関係ないの?金牛の月とか、乙女の月とか、宝瓶の月とかで何か変わったりしないの?」


「だぁから、そこまで俺ぁ詳しくないって…まあ12の星座みたいな大仰なもんで区切られてる以上、1年360日それぞれに属性が当てはまってても別に驚きはしねぇが…。」


「師匠が知らないんじゃ仕方ないかぁ…あ、じゃあ…身近な人の属性知りたいな…私は水と聖って言ってたけど、他の人はどうなの?師匠は?」


 本当にコロコロと表情が変わる子だ、と今更ながらフロウは思う。しょげてた顔がすぐに笑い、好奇心満載の瞳で問いかけて来るのだが…思わず、クスリと笑いながら。


「へいよ…まず俺は木と魔、シャルダンも木と魔、エミリオは木…って、木ばっかりだな。ダインは火と魔…だと思うんだが、今は火と聖だな。」


「へ?…今は…って、どういうこと?属性って生まれた時から持ってるものなんでしょ?」


「ん、まあその質問に答える前に…ちょっとお茶入れようぜ?喋りすぎて喉渇いちまったぃ。」


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