第8話:開かずの牢をこじ開けろ!パンと自由のために。
カン、カン……
鉄の棒で蝶番を叩く音が、闇の中に響く。
極力、響かないように。けれど確実に。
「……上は少し浮いた!」
「よし、そのまま抑えとけ。俺が下を……!」
グルは“使われてないトイレの配管”から拝借したサビた配管でヒンジをこじ開け、
俺は毛布を丸めた布団で音を包むように抑える。
――あと1分。
見回りの足音が、近づいてくる。
カン、カン……ギィ……ギィ……ッ
「もう少しだ……!」
「下が──!」
カシャ。
そのとき、蝶番が音を立てて外れた。
「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
俺たちは牢の格子を内側から押し倒し、開け放った。
廊下に飛び出す。グルが地図を開き、即座に脱出ルートへ。
──だが、そう簡単には行かない。
『緊急事態発生!!!』
音で気づいた看守が追跡開始!
「...来てる!後ろ、2人!!!!!」
「マジかよ!!この状況、ホラゲーでしか見たことねぇ!!」
「黙って走れ!!」
「緊急事態発生!!!その2だ!!!」
ルートの途中に塞がった通路
「こっち、塞がれてる!火災用の防火シャッター!?」
「俺たちのパンが!!」
グル、決断する。
「……あそこ、みえるか?排水用の落とし口。あれ、俺だけなら通れる」
「なに言って──」
「囚人用の排水口に出れば、地上に行ける!お前はそっちを使え!!俺は、見回りを引きつける!」
「無理だ!お前だけ行けよ!」
だが、グルは言った。
「違うだろ……お前が焼くんだろ?パンは。
俺は、食う係だ。なら、逃げろよ。俺のぶんまで生地こねて、焼いて、寝ろ!」
「──……くそ、言ってろ」
俺は走った。
グルの叫び声が背中で遠のく。足音が消えていく。
排水口。鉄格子。くぐる瞬間、
俺の手に、まだあの鍵が握られていることに気づいた。
「……絶対、迎えに行くからな……!」
脱出成功。
でも、それは“2人で”じゃなかった...。
だからこそ...次に焼くパンは、グルと食うと決めている。
夜明けの空が、鉄臭い下水道の出口から覗いていた。




