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魔道具

「ふぅ…」


ここ二週間はずっと忙しかった。

水産資源の確保、養殖、現地調査。

森林伐採現場の調査、道具の供給、人員の確保。

トリニティセブンの皆で行動し、平民たちの考えや普段の生活、仕事の様子などを見て回りもした。


そして昨日、ようやく落ち着いたのだ。


「お疲れですね」


ルルティアも機嫌を直してくれて一安心。

玉座に座り隣にはルルティアがいる。

2人の時間を取りたいこともあり近衛兵は外に待機してもらっている。


「これで少し時間が作れるよ、長い間時間を止めると負担がでかいことがわかったからね」


二週間の時間が流れている間、時間を止めて作業を続けること3日間、俺の体がまともに動かせなくなったのだ。

一日休んだだけで治りはしたが魔法の維持はかなり辛いと身をもって経験したのだ。


「無理してはいけませんよ」

「しばらくはゆっくりできるよ」

「そんなこと言ってたら事件が起き…あら?そとが騒がしいですね」

「勘弁してくれよ…」


近衛兵が入ってくる。


「外交省長アニマ・シリアス殿が面会を申し出ております」

「入ってもらってくれ」


近衛兵がシリアスを呼びにいく。


「ルルティアもいてくれ」

「分かりました」


シリアスが息を切らして部屋に入ってくる、急用か。


「急にも、関わらず、感謝いたします」

「とりあえず息を整えてくれ、話はそれからだ」


ルルティアは腰をかける椅子を用意し、シリアスに座るように促す。


「先ほどリンダリシア帝国の宰相より手紙が届きました、陛下に謁見したいと」

「別に構わないけど…そんなに慌てる内容か?」

「それが今日の昼に到着するとのことなのです」

「普通了承貰ってから出立するものじゃ無いのか」

「それはそうですが…」


リンダリシア帝国は大国だ。

面積だけでもバルグレットの2倍はある。

軍の数も多く戦争でも負けた記録があまり無い強国でもある。


「はぁ…門兵にリンダリシアの宰相が来たらお通しするように伝えてくれ」

「畏まりました」

「応対は俺とルルティア、シトリ、シリアスの4人で行うことにする」


何考えてんだ?リンダリシア帝国は。


「私もご一緒した方がよろしいのですか?」

「まあ…一応な」


ーーーーーーーーーーー


「リンダリシア帝国の宰相殿がお見えです!」

「入ってもらえ」


一向が部屋に入ってきた。

先頭のメガネをかけた知的なやつが宰相か。

服装はなんだか中華チックだな。


「お初にお目にかかります、リンダリシア帝国宰相シシド・カムイと申します。」

「バルグレット国王ガルドだ、要件を尋ねる前に言いたいことがある」

「お聞きしましょう」

「まずいきなりの来訪、不躾だとは思わないのか?」

「それに致しましては謝罪申し上げます、シリアス殿より国王が代替わりしたことをお聞きして急ぎご挨拶をと思いましたので」

「次からは事前に日を決めてからにして欲しい、それともう一つ」

「なんでしょう」

「なぜ皇帝が前に出てこない?」

「…それはどういう?」

「一緒に入ってきた従者3人、1番左のあなたが皇帝のはずだ、俺を試しているのか?」

「よくわかったな坊主」


外套を脱ぐと巨男が姿を現した。

魔道具か?


「俺がリンダリシア帝国の皇帝、リンダリシア・ホウントだ、なんで分かった?」

「他の従者は目を伏せていたがあなただけが俺を品定めするように見ていたからだ、カムイ殿ですらそんな視線はしていなかったが?」

「流石8歳にして国王になった男だ」

「だからおやめくださいと私は言ったのです…」

「いいじゃねえか、こういうのが楽しいんだからよ」


どうやらカムイも手を焼いている人のようだ。


「それで、要件は挨拶だけですか?」

「帝国を前にしてその態度はまずいんじゃないのか坊主、余程俺たちとことを構えたいと見えるが?」

「乗りませんよ、殺気がこもって居ませんし試すのはやめていただきたい、シリアスとルルティアが困ってしまっているので」


「ルルティア?そこの嬢ちゃんか」

「俺の婚約者です」

「ほーう?確かに綺麗だな、ガキと婚約するのやめて俺のとこに嫁ぎにこねえか?」

「殺すぞじじい」


俺はホウントを睨みつける。

シリアスが頭を抱えてうずくまっている。

カムイからも緊張を感じる。

大国かなんだか知らないけれどそっちがその気ならことを構えたっていい。


「冗談が過ぎたな、正式に謝罪しよう」


ホウントは俺に頭を下げる。

何がしたいんだこの人は。


「カムイ、例のものを」

「っは」


カムイは懐から小さな箱を取り出し俺に見えるように開いた。

赤く、小さく、美しく、宝石のように見えた。


「それは?」

「何に見える?」


宝石であればルビーだろうか。

赤い宝石をルビーしか知らないというのもあるが、時間を止めてじっくり見たいがここで手の内を晒したくは無い。

宝石を見せるためにわざわざ来たとも考えにくい。

となれば…


「魔道具…ですか?」

「まぁ正解だ、こいつはブラッディトリガーっていう代物でうちの鑑定士によるとこいつが所有者を選ぶらしい、効果は知らん」

「なぜそれを?」

「うちの民全員に見せたけど誰1人として選ばれなかったからな、王が変わったと聞いて手土産にと思ってな」

「気持ちだけで結構…」


俺の横を通り抜けてブラッディトリガーに吸い寄せられていくルルティア。

その目は虚で操られているようにも感じる。


「…嬢ちゃん?」


ルルティアが手を伸ばすとブラッディトリガーが自らの意思で動いているかのようにルルティアに吸い寄せられていく。


「これは…」


ルルティアの手に触れたと思いきや、そのまま体の中に吸い込まれていった。


「肉体を得るのは数千年ぶりだな」


女性の声だがルルティアの声じゃない。




「我が名はエリン、吸血鬼の始祖にしてこの世の頂に君臨するものだ」







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