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まーいっか





「いやぁ~伊藤さんってイケメンっすよねぇ~」



午後一番は体育の時間だ。

今日はソフトボールをしている。他の授業はサボってた奴も、この時間だけはみんな来た。運動が好きとかかわいーよねぇ。でも、ガラの悪い奴らがバットを持っていると、つい不安感を覚えてしまう俺がいるよ。


3回の表は、俺のいるチームイトウサンズの攻撃だ。チーム名でまでさん付けしなくていーよって言ったんだけど、俺らがしたいんス!!って言われたらそれ以上何も言えなかった。

ちなみにゆうなら俺の隣で寝てるよ。サボってないけどサボりという高等テク。


で、俺のことをイケメンと言ったクラスメイトは、俺をみて、はああ、とため息をついている。



「はあ、ありがとー?」

「俺も伊藤さんみたいな顔がよかったッスマジでー。シュッとしてて色気あって、ホントイケメンッス。あと中身もイケメンッス。杉原さんを鎮めることができんのは伊藤さんだけッスから。昨日のマジシビれたッス」



男に褒められてもねぇ、と思いながら、愛想笑いMAXな俺。


イケメンって言われるのには慣れている。男からも女からもよく言われるから。

でも彼女はいたことないんだよね、なんつーか、寄ってこない。寄って来てもすぐ離れてっちゃう。なんか、私じゃ勝てないからーみたいなわけわかんないこと言って。

てか男友達もなんかあんまいないかも。チームの奴らは友達っつーか仲間?みんな敬語だし。


――てか気付いたら、俺の人生これまで、ゆうとしか一緒にいなくね?



「伊藤さん次打順ッス」

「お、はーい」



何か閃きそうになったそのときに呼ばれ、アイディアは霧散していった。

そもそも何考えてたんだっけ?と思いながら打席に立つと、相手チーム(スギハラサンズ。ゆう参加してないけどね)のピッチャーである赤メッシュが、伊藤さんお願いしまーす!!と腰を90度に折り曲げた。

赤メッシュは、本当に俺らに心酔している。こないだなんか、「俺は杉原さんと伊藤さんと同じクラスになるために留年したんスね!」と謎の運命論を語り出していた。適当に手を振り返してやる。


で、えーと、なんだっけ。


…まーいっか、楽しければ。



カキーン



実はそこそこ運動神経もいい俺が振り抜いたバットは、赤メッシュの球の芯をとらえた。今日はあいにくの曇り空だけど、白球は、それを切り裂くように飛んでいった。

伊藤さんマジイケメンッス!!と、クラスの奴らが盛り上がっていたころ、ゆうは寝返りをうっていましたとさ。





おしまい




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