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友達問題

榊が転校して来てから数か月が経った今でも、金髪の不良は学校で有名だった。女子の間で人気のお三方でさえ、規律に沿った制服を着ているというのに、榊は規則を思いっきり無視している。色の濃いTシャツを着てはワイシャツを全開にしているし、33度を超える真夏の日にはタンクトップ一枚で登校している。頭の後ろで結ばれた相変わらず派手な金髪は、教師に注意されていないのか、注意されても無視をしているのか、一向に落ち着く気配はない。

しかし、最初は不良と思われ敬遠されていた榊だが、部活に入った途端、同性の友人がかなり増えた。

「コミュ力の塊め…」

同じバスケ部員と騒がしく挨拶をしている榊の隣で、私はぼそりと呟いた。

中学時代バスケ部だった榊が入部したことにより、試合でも初戦敗退を免れるようになったらしい。そのおかげか、にわかにファンもでき、教師からも一目置かれるようになっている。

「なに、羨ましいの?」

にやりと笑いながら榊が言った。

(羨ましいですが!)

私はそう言いたいのをぐっと我慢した。

正直、白石透になる前も友達の作り方が分からなかった。ドラマや漫画では、学校に行きさえすれば自然と仲の良い友達が出来ている。しかし、現実はそうもいかなかった。

(白石透の設定で友人がいないのだと思ってたけど、私の力が及ばないせい…?)

教室内を見渡し、友人候補になりそうな女子を探す。

郡山や藤堂そして彼女らの取り巻きを抜いたとしても、まだ数名はいるはずなのに、なぜ彼女らと私は一度も会話をしたことがないのか。

(そういえば、伊坂さんの時も、彼女から話かけてくれたんだよな…)

私は頭を抱えた。

長い間蓋をしていた真実に気づいてしまった。

(私、友達作りが出来ない人…)

隣を見ると、榊がクラスメートと楽しそうに、夏休みをどう過ごしたかを話している。

(夏休みを一緒に過ごした友人もいなければ、それを話す友達もいない…)

私は机に突っ伏した。

(友達が榊だけって、どうなの私…)

しかし、榊が隣にずっといてくれるおかげで、いいことがあった。

それは、藤堂と郡山の虐めがなくなったことだ。榊が転校して来てから数日間は、何度か経験したものの、それ以降、ほとんどと言っていいほどない。私が一人の時を狙って、暴言を吐かれることはあっても、以前のように落書きや教科書に大っぴらなイタズラはなくなった。

一躍有名人となった転校生の側にいつもいる私に、手が出しにくくなったということだろうか。

(悔しいが、あんたのおかげね)

子供のように男子とじゃれあっている榊を見つめる。

しかし、この時の私は気づいていなかった。この、虐めが減ったことが次の災難を近づけていることに。


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