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【第4巻10/24発売!】高校時代に傲慢だった女王様との同棲生活は意外と居心地が悪くない  作者: ミソネタ・ドザえもん
温泉に行く女王様

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旅先決め

 林のダイエット開始から一か月。

 俺の管理下の元、彼女は無事に三キロの減量に成功した。正直、ここまではかなりいいペース。あまりにも順調に体重が減るもんだから、林のモチベーションも現状はかなり高い。

 まあ、大変なのはこれからだ。

 ダイエット中にはかならず停滞期がやってくる。

 そこでどうモチベーションを保つか。それを考えていかないといけない。


「ふむふむ。石和温泉だとこんなもんか……」


 まあそんなことはともかく、俺は先日林と約束したように、現在二人きりでの温泉旅行を計画していた。

 スマホを操作しながら、候補地にある温泉地をいくつか吟味していた。

 旅行期間は一泊二日。

 費用は、一人あたり二万円前後で考えていた。


「ふむふむ」

「あははー」

「……ふむ」

「草」

「……」

「草草の草」

「林、ちょっとこっちに来なさい!」


 六畳一間。

 ベッドで仰向け状態でスマホを見る林に向けて、俺は怒鳴った。


「……こっちに来いって言う程大きな部屋じゃないでしょ、ここ」

「じゃあ、ベッドから降りなさい!」

「……えー」


 林はスマホをスリープにして、上半身を起こした。


「何さ。あんたが怒るなんて珍しいじゃん」

「そうだろうそうだろう。仏の山本こと俺も今回の件はさすがにぶち切れだ」

「えー……あたし、なんかしたっけ?」


 どうやら心当たりはないようだ。

 やれやれまったく。


「お前も少しは温泉旅行の計画に参加したらどうだ」


 さっきから、こっちが必死に色々調べている横で、林ときたらスマホをポチポチとしてばかりだった。


「こうやって、費用を考えて旅行先を吟味する。これも旅の醍醐味の一つだろう」

「あー……確かに、今のあんた、なんかすごい楽しそうだもんね」

「そ、そうか?」

「うん。相変わらずこういうみみっち……細かいことするの好きなんだろうなーって微笑ましく見ていたよ」

「……照れるじゃないか」


 ……ん?

 なんか俺、今、林に話を逸らされかけてないか?


「いいから、折角なんだしお前も少しは考えたらどうだ」

「と言ってもなー。あたし、温泉地に詳しくないし」

「何? 詳しくないのか。だったらまずは、関東の目ぼしい温泉地の説明から……」

「いいよ。興味ないし」


 ……しょぼん。


「というか、どこ行くかはあんたが決めていいよ。適材適所だよ」

「それっぽい言葉で面倒事から逃げようとしているだろ」

「まあね。でも、実際あんたが決めるのが一番手っ取り早いじゃない」


 ……そうだけども。

 折角温泉地に行くのに……自分の意思が反映されなくてちゃんと楽しめるのか?

 後になって、あたし別の場所が良かったな、とか言い出すタイプじゃん。お前。


「……お前、いつもどうやって旅行先決めてたんだよ」

「え?」

「笠原とかと旅行行ったりしなかったのか。高校の時」

「あー……まあ、灯里に決めてもらってた」


 聞いておいてなんだが、どうせそんな話だと思っていた。

 相変わらず笠原は、林に対して異常なくらい過保護だ。


「わかった。……じゃあ、温泉地で何をやりたいかくらい案をくれないか?」

「やりたいこと?」

「そうだ。温泉に入る以外に、歴史的建造物を観光したいとか、海を見たいとか色々あるだろう?」

「あー……なるほど」


 林は少し考える気になったのか、うーんと唸りだした。


「……あんた、優しいね」

「あん?」

「折角の旅行だから、あたしのリクエストをなんとか少しは反映させたいと思って、色々と言ってくれているわけでしょ?」


 ……質問に答えろよ、もう。


「ありがとっ」

「いいから、早く」

「うーん。……そうだねぇ」


 また林は唸りだした。


「あっ」


 そして、何かを思いついたようだ。


「いくつかいい?」

「ああ、ドンドン言え」

「じゃあまずは、お饅頭食べたい!」


 饅頭……。

 なるほど。一か月ダイエットしていたことも相まって、甘味をご所望と言うわけか。


「後は、海鮮も食べたい!」

「饅頭……海鮮……」

「後は後はっ! 焼肉!」

「……ん?」

「グラタン! お寿司! ハンバーグ! 唐揚げ!」


 ……ダイエットで我慢させすぎたのかな。

 林が不憫になった俺は、一人で旅行先の検討を再開した。無論、林の意向は全て無視するつもりだった。

ダイエットガチ勢だけど1日、2日くらいなら好き勝手に食べても大丈夫です

チートデイってやつです


折角なのでこっちも読んでくれると嬉しいです!

『学校一厳しい風紀委員長が、恋人である俺を校則違反を口実に呼び出しては甘えてくる』

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― 新着の感想 ―
海鮮ならダイエットに反しないのもできないかな。 ひたすらタコを食うとか…… プリン体は多いらしいけど。
>林が不憫になった俺は、一人旅行先の検討を再開した。無論、林の意向は全て無視するつもりだった。 ついに一人旅行になってしまったのですかね。 2人旅だとばっかり
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