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【第4巻10/24発売!】高校時代に傲慢だった女王様との同棲生活は意外と居心地が悪くない  作者: ミソネタ・ドザえもん
肥える女王様

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149/164

役得

 林が風呂から上がった後、俺達はどういうわけかリビングで向かい合って座っていた。

 俺はあぐら。

 そして林は……何故か正座。ついでに、何か後ろめたいことでもあるのか、居た堪れなさそうに俯いていた。


「……山本さん、先ほどの話なのですが」


 林の敬語。実に珍しい。


「なんですか」


「しばらくご飯……味気なくさせて頂いてもよろしいでしょうか?」


「……それは別に構わん」


「ありがとうございます」


 林は小さく頭を下げた。

 

「で、何キロくらい太ってたの」


 興味本位で聞いたものの、実にデリカシーに欠けた俺らしい発言だと、言った後に誇らしく思った。


「……まあ、それはいいじゃん」


「良くないだろ。どれくらいの期間、味気ない食事をすることになるのか気になるじゃないか」


「……」


 林は俯いた後、指を一本立てた。


「……ほう」


 一キロ増だったらあんな悲鳴は上がらないだろう。

 となれば……。


「それは結構……キタな」


「あたし、太らない体質だったのにぃ……」


 林は半べそを掻いていた。

 

「なんでぇ? 何が良くなかったんだろう? どうして太っちゃったんだろう……?」


「碌な運動もせず、三食しっかり食べて、ついでに間食も食べていたからでは?」


「今まではそれでも太らなかったの!」


「ふっ」

 

 俺は林の詭弁を鼻で笑った。


「な、何よぅ」


「林、食べても太らない人間なんて存在しないぞ」


「で、でも……本当に太らなかったし」


「考えられるのは二通り。昔は活発に運動していたから、摂取したカロリーをも上回るカロリーを消費していたか、もしくは、実は全然食べていなかったか、だ」


「少なくとも後者はない」


「本当か?」


 俺は得意げな顔で続けた。


「寝起きで気分が優れないから朝食は抜こう、とか、間食食べて腹いっぱいになったから夕飯は抜こう、とか、実はそんなことも多かったんじゃないのか?」


「……た、確かに」


 どうやら思い当たる節はあるようだ。


「おそらく、昔のお前は実はそんなに飯を食っていなかったんだ。だから、運動もせず、食べるだけ食べている今は体重が増えてしまったわけだな」


「……そ、そんな」


「お前には以前話したが……こう見えて俺は一時期ジムに通い詰めていた。筋肉量アップさせるためにネットで情報を入手したりして、色々試してみたさ。その中で、減量させる術もある程度理解した」


「そ、そうなのっ!?」


「ああ、一時期はPFCバランスまで考えた献立にしてくれ、とか色々注文を出したよ。その結果、志穂に言われたよ」


「なんて?」


「きもっ」


「それは……否定出来ない」


 リビングが静寂に包まれた。

 ……ま、まあ、俺も自分で料理をするわけでもないのに、あの時は我侭な注文ばかりしていたし、林と志穂の言い分も今なら理解している。


「と、ともかく、ダイエットしたいなら色々教えてやることが出来るぞ」


 話を逸らすように、俺は言った。


「ただ……太ったと聞いた手前ではあるんだが、お前痩せる必要あるのか? 今の体重くらいがひょうじゅ――ぐえっ」


 俺の口から変な声が漏れた。

 何故か。


「山本せんせぇ! 助けてくださいぃ!」


 目の前に座っていた林が、半泣きで救済を求めてきたからだ。

 押し倒された俺は、後頭部をフローリングに強打。

 

 ただ、後頭部の痛みは大したことはない。

 それよりむしろ……頬が痛いくらいに熱かった。


「は、林っ! 離れろ!」


 何故なら、押し倒された拍子に……柔らかい何かが俺の腹部に当たったから。


「わかった! わかったから!」


 くそっ!

 林の奴、強引にも程がある!

 こんなにも無理やり……ダイエットを手伝うことを了承させてくるだなんて……。


 人の心がないのか?


「……ありがとう」


「い、いいよ。ダイエットの手伝いくらい」


 ただ、まあ……別に痩せる必要ないと思うんだけどなぁ……。

 前よりは太ったとはいえ、さっきも言った通り、今の林の体重は成人女性の平均くらい……いや、これでもまだ細い方な気がする。


「……ジロジロ見ないでよ」


 林に指摘された。


「すまん」


「……そんなに」


「ん?」


「そんなに、あたし太った……?」


「まあ太りはしたな」


 痩せる必要はないと思うが。


「……わかった」


 ……少し考えて、俺は言い方を間違えたことに気がついた。


「あたし、絶対に痩せる」


 せめて、痩せる必要はないと思っている旨は念押しするべきだった。


「そして、またモデル体型に戻ってやる……っ!」

 

「……あちゃー」


 俺は頭を抱えた。

 こうなった林が、俺の話を聞かなくなることは……こいつとの数ヶ月の同棲生活で、嫌というほど理解させられていた。

本作の第2巻発売は2週間後です

そんな直前にまで迫ったにも関わらず、作者はロクな宣伝活動をしていません

人生ナメてるのかと不安になる限りです


わかるか?

俺は今、皆様を脅迫してる


社会不適合者の作者を救えるのは、読者である皆様だけだ!

なので、是非2巻購入の程、よろしくお願い致します

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― 新着の感想 ―
[一言] 中々の増加量だが、途中で気が付かなかったんや…。 あるいはリバウンドで戻る可能性に期待したか?
[一言] 女性でのその重量の増加は… ちょっと大きいだろうなあ。 かなり長く厳しい道が待っていそうw
感想一覧
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